登校中の生徒が自転車にぶつけられたら、被害届は出せるのか

2017.12.26 (火)

先日、教育関係の仕事をしている人からこんな相談を受けました。

 

 

「生徒が登校中に、自転車にぶつけられたんです。生徒から聞いたんですが、その自転車は歩いて登校している生徒にぶつかった後、止まりもしないでそのまま走って行ってしまいました。おそらく自転車もぶつかったのは知っていたんだと思います。これって犯罪ですよね。被害届って、出したほうがいいですか?」

 

 

朝の時間帯は誰しもが急いでいるので、あなたもこんな危ない目にあった経験はあると思います。自転車は、歩道を走ったり車道を走ったりするので、歩行者にとっては厄介な乗り物です。

 

 

しかも速度が速い。競技用や電動など、楽にスピードを出せる自転車を通勤に使っている大人も多いので、特に登校中の子どもにとっては危険な存在です。

 

 

さて今回の相談された様なケースですが。まず、被害届は出せません。これは交通事故であり、犯罪被害ではないからです。警察に届け出るとしたら、交通事故の届け出になります。

 

 

そもそも「犯罪だから被害届を出したほうがいい」とか「悪いことをされたから、その人を罰した方がいい」と、「犯罪者=罰せられるべき」という考えはあまりにも短絡的です。と言うのも、被害届を出さない方がいい場合が往々にしてあるからです。

 

 

もしかしたら自転車でぶつかって行った相手にも、相応の理由があるのかもしれません。家族が倒れたなどで急いでいたかもしれないし、体調が悪くてダルい状態で自転車に乗っていたのかもしれません。本当のところは実際に聞いてみないとわからない上に、実際に聞いて見ると予想を上回る状況だった、と言うのはよくある話です。

 

 

それに「自転車でぶつかって行くなんて許せない。一言言ってやりたい。」と思った瞬間に、どっちが追い詰めている立場かわからなくなります。「被害者」と言うのは、あくまでも立場であり、権利では無いのです。いくら被害者だからと言って、相手を追い詰めていい権利はないのです。

 

 

「被害者というのは、立場であって権利ではない」ことは、多くの被害者が忘れてしまいがちなものです。すぐに被害にあった自分しか見えなくなり、視野が狭くなってしまいます。

 

 

被害にあったとしても、被害に遭う前と変わらない生活を続けられるのであれば、ただ単に「一言言ってやりたい」という程度なのであれば、わざわざ被害届を警察に出す意味はないでしょう。警察に同じことを何回も話すのが嫌になって、警察に協力をしなくなるのがオチです。

 

 

被害届というのは「出しておいた方がいい」という単純なものではありませんし、「犯罪者=罰せられるべき」という安易なものでもありません。非常にセンシティブなものなのです。

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