読書感想文が書けなくなったときの対処法。「〇〇だと知っておどろいた」をやめよう

2021.02.08 (月)

読書感想文が書けないときはどうしたらいいのか。

 

 

2月5日の毎日小学生新聞に、「第66回青少年読書感想文全国コンクール」の受賞作品が記載されていた。いずれの作品にも、本を読んでどれだけその本から影響を受けたか。本から受けた影響がどれだけ大きくて素晴らしいものだったのかが書かれている。

 

 

「びっくりしたのは◯◯と書かれていたところです」

「〇〇だということは知りませんでした。」

「本を読んでおどろいた」

「本を読んで驚愕した」

 

と、自分の気持ちがいかに揺れたか表現しようと画策した痕が見て取れる。

 

 

まあ正直に言うと、読書でここまでの気持ちの変化は起こらないのではないか、と思う。

 

 

その本を読んでの気持ちの変化を書くのが、読書感想文であると言われている。だから感想文に書くべきものは、その本を読んで自分の気持ちがどう変化したかである。けれど、実際にはそれほど大きな変化を、本は読み手に与えてくれるものではない。

 

 

「〇〇だと知っておどろいた」という類の言葉が読書感想文には書かれることが多い。本を読んでの感想を書くにはインパクトの大きいことの方が書きやすいし、得たことのインパクトの大きさを表現するには「〇〇だと知っておどろいた」という書き方が一番正解に近いようにも思う。けど、同時に「安易だな」とも思う。

 

 

僕も小学生の頃、読書感想文を書いている時に、「〇〇だと知っておどろいた」という言葉をつかっていた記憶がある。けれどそれは、「こう書くのが読書感想文にとっては正解なのではないか」という忖度の気持ちからである。本心で「〇〇だと知っておどろいた」と思っていたのではない。

 

 

読書感想文には「読んで一番心を動かされたことを書く」というルールがあるのを知っていたし、読み手、つまり当時の先生も「こういう書き方を望んでいるのだろう」というのを察していたから「〇〇だと知っておどろいた」という表現をつかっていた。

 

 

今、大人になって思うのは、読書感想文において、本を読んで感じた素直な気持ちの書き方を教えられず、「〇〇だと知っておどろいた」のような模範解答を子どもが書いてしまうようなプレッシャーを大人が与えてしまっていることだ。

 

 

子どもに罪はない。子どもがやってしまっていることは、大人が教えているか、大人がしていることを見て子どもが勝手に覚えたことだろう。

 

 

読書感想文における大げさな表現、ウソ臭く誇張された表現、模範的な道徳表現。これらも大人が知らずしらず、あるいは知っていわざと教えているものに違いないのだ。

 

 

「〇〇だと知っておどろいた」のようなことを書くのが読書感想文ではない。読み手が驚いたことがあればそれで良いのだろうけれど、たかが本である。しかも10代、あるいはそれよりも若い世代が読む、たかだか本である。驚くほど新鮮な情報なんてのは「無い」と思って間違いない。

 

 

ならば「〇〇だと知っておどろいた」なんて表現をつかおうとするのではなく、もっと地面にしっかりと足のついた書き方をするべきだろう。周りの大人はそう指導するべきだろう。

 

 

読書感想文は、本にこだわらないことが大切だ。読書感想文の模範解答が「〇〇だと知っておどろいた」なのであれば、無理に「おどろいたこと」を書こうとしないことだ。自分が「おどろいたこと」を本の中に探そうとしないことだ。

 

 

本にそれほどの変化は載っていない。あくまで紙の本である。数ページの本である。子どもたちがそれまでの生涯で見聞きしたことのない驚くべき事実。そんなものが載っていることはない。

 

 

「だったら読書感想文には何を書けばいいのか」というと、本とは関係のないことを書いてはどうか。

 

 

読書感想文コンクール受賞作品を読んでいると、あまりにも本の内容にこだわりすぎていると思わせられる。

 

 

「本の内容に関係することしか、読書感想文には書いてはいけない」という先入観があるから、書き手は手が止まってしまう。なぜなら「〇〇だと知っておどろいた」の〇〇に当てはまるようなことが本の中に見出せないから。

 

 

読書感想文に書く内容は、読んだその本との接点が少しでもあればいい。読書感想文を読んで、「確かにどこか繋がっているね」とか「繋がっていないとも言えないね」と思える程度でいい。本とそれに伴う感想の交わりは微々たるものでいい。考えの広がり。思考の拡張・展開。それこそが大事なのだ。

 

 

だいたい、本を読んで考えたことなんて、体外のものはあらかじめ読み手にも想像できる。本の教訓なんてのは決まっているのだ。その本の教訓が「戦争はやめよう」だったら、「戦争は悪いことだと思いました」とか「そんなにもたくさんの人が死んだと知っておどろきました」なんてことが感想文に書かれるのは想像できる。その本の教訓が「家族愛」だったら、「お父さんお母さんを大切にしようと思いました」とか「家族とケンカすることは悪いことだと思いました」という感想が書かれることは、想定の範囲内だ。そんな想定内のことを書かれてきたところで、読み手は面白くもなんともない。

 

 

もっと突飛なことを書いてきたほうが良い。その方が、子どもたちも書きやすいのではないか。思考の対象を本だけにするのではなく、もっと広げるのだ。「う〜ん、書けない」と本を眺めているのではなく、顔を上げて他になにか書けそうなことはないか探すのだ。なんでもいいから最近、おもしろかったコトをかくのだ。昨日やったこと。昨晩見たユーチューブの話。それをかくのだ。最後の方で少しだけ本の内容との共通点を指摘してやれば、それは立派な読書感想文だ。本を読んで感じた感想になる。

 

 

「〇〇だと知っておどろいた」をやめること。それが読書感想文には必要だ。その方が書き手の本心を表現できるし、個性が出る。子どもたちにとってもその方が、手が止まることもないのではないか。

 

 


 

 

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