事象の奥を読む考え方〜「Why型思考」が仕事を変える
事象には表と裏が存在していまして、表ではなく裏を読む事で本質を理解する考え方を提唱しています。表面に現れる現象は、あくまでもただ見えているだけであり、そこだけ見て物事を決めたり行動したりしたのでは、何事もうまく行きません。
表面にある見えやすい現象の向こう側にあるものを見て、物事を決めたり行動したりするからこそ、本質を捉える事ができ、その結果として仕事もできるようになるのです。
見えている現象の向こう側を見るためのキーワードは「なぜ?」です。「なぜ?」は、表面的な事象の向こう側を見るための扉の役割を果たしています。「なぜ?」と問うことによって、表面的でない、物事の核心部分に手を伸ばす事ができるのです。
本書では、物事の向こう側を見ようとするタイプ(Why型思考)と、表面しか見ないタイプ(What型思考)の人間を比較することによって、物事の核心部分と表面部分の捉え方を説明しています。
規則は守るためにあるか、打ち破るためにあるか。他社の事例は真似するためにあるか、真似しないためにあるか。過去の経験をそのまま教訓とするか、ヒネリを入れるか。言われたことをそのままやるか、理由を考えて一度押し返すか。問題解決とは与えられた問題を解くことか、自分で発見・定義してから解くことか。などなど。
猿の例が記載されてありました。数匹の猿をスプリンクラーのある部屋に入れて、天井からバナナを吊るします。猿がバナナを取ろうとしたら、スプリンクラーが発動して水が猿に掛かるようにするのです。始めバナナを取ろうとした猿はやがて水を嫌がって、バナナを取ろうとはしなくなります。
その後、一匹の猿を交換して、新たに別の猿を部屋に入れます。スプリンクラーの発動を知らない新しい猿がバナナを取ろうとすると、スプリンクラーの発動を知っている他の猿たちは、新入りの行動を止めようとするのです。さらに一匹ずつ交換して行き、実際にスプリンクラーの水まき被害にあった猿は一匹もいなくなります。
ですがその部屋の猿たちの間には、バナナを取ろうとしてはダメという流れができているそうです。スプリンクラーを外しても、その部屋の猿たちはバナナを取ろうとする新入りが現れると、その行動を止めるのだそうです。
猿の例のように、理由を考えずに表面的な部分だけを見て行動していては、たとえ前提が変わって状況が変化していても、その違いに合わせる事ができません。職場にも、目的不明で残っている古い慣習があるのではないかと思います。
「なぜ?」と問うて本質にせまろうとするか、見えている部分だけを見て行動するか、その違いをこの本では、学ぶ事ができます。
関連する投稿
- どら焼きを食べながら「怒りについて」を読もう
- ローマ皇帝は桜木花道なのか。BBC「ザ・ローマ」に見るレトリックと詭弁
- すべての本の共通点。本には何が書かれているか〜ドラえもんの読書感想文が書ける
- 正当な対価という自己都合な倫理〜お金は銀行に預けるな
- どうして文章を書いていると考えがはっきりするのか〜伝わる・揺さぶる!文章を書く
現在の記事: 事象の奥を読む考え方〜「Why型思考」が仕事を変える