カーナビからに見る、子育てのヒントとは

2018.10.04 (木)

警察官ってパトカーを運転する手前、よくカーナビを操作することがあるんです。考えてみれば、このカーナビっていうのも具体と抽象が組み合わされたものですよね。広域で抽象的にすれば、今いるところが全体的にわかるし、狭域で具体的にすれば、今いるところが細かいところまでわかるし。

 

 

例えば今いるところがA市だとして、A市をそのものを画面に出すには、広域的に表示するしか無いわけです。遠目からの視点で、A市を出してやっと、A市全体が画面に表れるのです。もしこれを狭域でやってくれと言われてもうまくいきません。

 

 

狭域で全体を表すことはできないのです。狭域で表すことができるのは部分部分です。狭域で表すことができるのは、A市の一部でしかありません。もちろん、一部分を何個も繋げて行けば、やがて全体を表すことはできるかもしれません。ですがそれには途方もない時間がかかります。具体的に表示していればいるほど、繋げなければならない数は増えていくのです。

 

 

このように、具体で表すことができるのは細かいところであって、全体では無いのです。具体でA市を表すことができないように、具体でそのものの本質を表すことはできないのです。具体で表すことができるのは、あくまで表面的な一部分一部分です。もしも本質を求められたら、抽象的な表現にならざるをえません。それは、A市全体を表すには広域にして抽象的にナビ画面に表示するしか無いのと同じです。

 

 

抽象的にすればするほど、広く、浅く、全体を、本質を、コアを、そのものを、ボヤッと表示する事になります。具体的にすればするほど、狭く、細かく、表面的に、一つ一つをはっきりと、詳しく、現実的に表示する事になります。

 

 

この本質の部分が、多くの人が忘れがちな事です。本質をついた表現、本質を表した表現、本質を含んだ表現とは、抽象的にならざるをえないのです。多くの人は、はっきりとしたわかりやすい具体を求めます。

 

 

具体的であることが善であるように、「具体性に欠けている」と評価したり、「具体的でいいねぇ」と褒めたり。具体と抽象を一方向でしか見ていません。万物にメリットとデメリットがあるように、具体と抽象にもそれぞれメリットとデメリットがあります。

 

 

具体とは、わかりやすく、現実的で、はっきりとしているが故に、表面的なのです。抽象とは、ボヤッとしていて、現実感がなく、遠くにある感じであるが故に、本質的なのです。

 

 

子どもの育児にも、この具体と抽象という概念は応用が効きます。ハッキリとしたものばかりを追い掛けていると、本質を忘れがちです。テストの点数や習い事の勝ち負けなど、確かにハッキリとしているが故に気になるものですが、それで子どもの本質が計れるわけではありません。

 

 

子どもの本質とは、もっとモヤっとしていて、わかりにくいもの、表現しづらいものなのです。子供らしさ、素直さ、可愛さ、道徳観、自己肯定感、などなど。本当に必要だと思われるものとは、抽象的で取り止めのないものです。ですが、抽象的であるが故に本質的なのです。

 


 

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