天才発明家にも先駆者がいることを忘れてはならない〜銃・病原菌・鉄(下)

2019.04.28 (日)

 

小学生の頃、子ども向けの漫画か何かで読んだことがあるのですが、ライト兄弟よりも早く飛行機を発明していた日本人がいたと言います。名前は忘れてしまいました。世界的に有名なライト兄弟と同じように、飛行機を作り、飛行機で空を飛び、鳥のように人間が空中を自在に移動する様を思い描いていたようです。少なくとも、私が当時読んだ漫画にはそんな様子が描いてありました。

 

 

なのになぜ、ライト兄弟の方が有名になってしまったのか。それは簡単に言ってしまうと、「運」のようです。その時の、その場所で、たまたま。そんな土壌があってのライト兄弟の功績なのです。想像でしたかないのですが、「ライト兄弟が飛行機を発明した」といわれている背景には、需要があったのだと思います。戦争のために飛行機技術を欲しがる政府がいたり。ライト兄弟を「飛行機の発明家」と世間に広げる下地がそろっていたのでしょう。「発明家」として世界的に広げることが、どれだけ世間に対するリードを生むのか、当時のアメリカ社会ではわかっていたのではないでしょうか。だから、おそらく資金も十分にあったのではないかと想像されます。

 

 

それに対して日本人の飛行機発明家。名前も忘れてしまったこの人の周りには、「飛行機発明」に対する理解がなかったのではないかと思います。「飛行機を発明した」と認定されたり、実際に飛行機を発明することが、どれだけの価値を生み出すか。それを分かっているがいなかったのではないでしょうか。当時、この日本人発明者も含めてかもしれませんが、飛行機を発明して、飛行機を発明したといわれて、それがどれだけ社会的なインパクトか、社会的なインパクトに持っていく方法とか。だから、それほど野心的な思いでとりくんでいたのではないのではないか。

 

 

この本に載っているのは、スコットランドのジェームズ・ワットです。「やかんから立ち上る湯気にヒントを得て、1769年に蒸気機関を発明した」といわれているようです。ですが実際には、ワットが発明したのは、それよりも57年前にトーマス・ニューカメンが発明した蒸気機関を修理していた時のようです。しかもその前にも、イギリス人のトーマス・セイヴァリーが1968年に蒸気機関の特許を取っていたようです。さらにその前にも、1680年にフランス人のドニ・パパンが蒸気機関を設計しており、オランダ人のクリスティアーン・ホイヘンスという人も蒸気機関に注目していたようです。

 

 

一般的に、発明は「○○が△△を発明した」と言われます。ですがこれは正確ではありません。というのも、誰か一人の人間が、思いも寄らないアイディアを急に出すことがないからです。色々なところからインスピレーションをもらっていることはよく言われていますが、発明そのものが時代をまたいで複数人の合作である場合がほとんどなのです。「発明家」として世界的に知られている人たちも、多数の先駆者のアイディアの末の発明であることがほとんどなのです。ライト兄弟しかり、ワットしかり。他にもエジソンの白熱電球、モースの電信機。結局は改良でしかないのです。時代をまたいで発明され続けてきた発明品が、需要がある時、土壌が出来上がった時、運が向いた時、その時にいた人間にスポットライトが当たってしまうのです。

 

 

もちろんライト兄弟、ワット、エジソン、モースなど、歴史に名前を残した発明家をないがしろにするわけではありません。が、歴史とはそういうものなのです。安易に歴史を勉強していると、表面的なものに踊らされます。単純に「A=B」と覚えてしまいがちですが、それはあくまでも勉強しやすくするためのものです。れ基礎を学ぶために、単純にしなければ覚えられないものではあるのですが、絶えず裏を見ておくことが大切です。見えない抽象的なものを意識しておくこと。目に見えているのはえ表面的な、学ぶための具体であって、本当の史実は、そんなに簡単なものではない。

 

 

といのが、本書には載っています。これがなんなのかというと、1907年にクレタ島で見つかった、「ファイストスの円盤」と呼ばれる出土品です。これは作成年代が紀元前1700年代と推測されるのですが、この円盤には文字がプレスして掘られており、印刷技術の始まりを予感されるものなのです。

 

 

ですが、印刷技術が始まったのはそれから2500年後の中国で、です。このファイストスの円盤は、結局は、印刷技術にならずに終わったようです。だから、せっかくの技術があったとしても、それが日の目を見るかどうかは、運にも左右される、ということです。

 

 

歴史の中で征服したり征服されたり、滅ぼしたり滅ぼされたり、ということがよくあります。しかし、征服されたからといって劣っているのかというと、そうではありません。滅ぼされたからといって劣っているのかというと、そうでもありません。歴史は運でもあるのです。16世紀に将軍ピサロ率いるスペイン軍がインカ皇帝アタワルパを捕獲したことは事実ですが、だからといって、アメリカ先住民が人間的に劣っているかというとそうではない。現在、世界には先進国と途上国というのがありますが、先進国民が優秀かというと、決してそうではない。それぞれに違う歴史をたどってきている、ということなのです。

 


 

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