決断力 〜 非行防止の子育てや原因・家庭環境・少年の心理を探る
将棋棋士である著者の、将棋に対する考えを羅列した本です。
本書で著者は、いろいろな事が便利になり、近道が非常に増えた時代だと述べています。何かをやろうと思った時に、さまざまな情報があり、安易な道や、やさしい道が目の前にあります。楽に進める環境も充実しています。すると、わざわざ遠い一本の道を選んで行くのは損だという思いにかられます。しかし、遠回りをすると歩みの過程で思わぬ発見や出会いがあったりします。対局で、未知の場面に遭遇した時には、直接的な知識や経験以外のものが役に立つのだと著者は述べています。
著者は子ども時代を回想し、目標への達成感が将棋の世界へ没頭させるきっかけの一つになったと述べています。
小学校1年で友人の家に遊びに行った際に将棋と出会い、小学校5年でプロ棋士の養成機関に入門したとそうです。将棋と出会ってからはのめり込み、道場に通ったり、地域の将棋大会に出場したりして将棋の世界に身を置いていたそうです。
将棋に限らず習い事は、自分が少しでも進歩しているのがわかると継続できるが、足踏みし上達しないと嫌になってしまいます。だから、子どもにとっては「できた!」という喜びが、次の目標に向かうやる気をふくらませるエネルギー源になる、と著者は説いています。
モチベーションの維持が大事とも述べています。何かに挑戦したら確実に報われるのであれば、誰でも挑戦します。報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続してやるのは非常に大変なことであり、それこそが才能です。そして「天才とは1パーセントの閃きと99パーセントの努力である」というエジソンの言葉を引用しています。
この本の構成は以下のとおりです。
第一章 勝機は誰にもある
第二章 直感の七割は正しい
第三章 勝負に生かす「集中力」
第四章 「選ぶ」情報、「捨てる」情報
第五章 才能とは、継続できる情熱である
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