君に友だちはいらない 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー
仲間づくりに焦点を当てた本です。
本物の資本主義が日本を侵食しつつある中で、我々が幸福に生きていくためには、仲間を作ることが必要。常に複数の穏やかなつながりを持った組織に身をおき、解決すべき課題を見つけて、共通の目標に仲間とともに向かっていくこと。
いくつか著者の本を読みましたけど、どの本も時代背景が共通していますね。時代背景というのは、「どういう状況を解決したいのか」「どういう状況の中でこの本が有効なのか」「著者は今の日本をどのように見ているのか」ということです。
それを著者は、「本物の資本主義」と言っています。これまでのように政府の護送船団に乗っかっていれば渡っていける資本主義ではなく、真の実力主義の資本主義です。
ただただ「より良いものをより安く」「少しでも良いものを、より安く買いたい」という資本主義の真髄を体現した、純粋な資本主義です。
本物の資本主義の背景にあるのは、グローバル化です。自分の国の中だけでなく、個人も企業も国境を超えて、世界の中で競争していかなければなりません。私たちは何かが欲しいと思ったら、世界の中から欲しい商品を探すことができます。
競争力のないものは、あっという間に「コモディティ」となってしまいます。商品だけでなく、人間もです。次々に変わるビジネスモデルの中で、人間がコモディティ化されるのです。
「より給料が安くて、より良く働いてくれる人」が求められます。どんどん人材が安く買い叩かれます。ゆくゆくは、無給で無限に働く機械に仕事を奪われるでしょう。
そしてグローバル化を防ぐことは不可能です。
私たちがコモディティ化から逃れ、人間としてより豊かに、幸福に生きるためにはどうすれば良いか。その答えが、「仲間をつくること」だと著者は言うのです。
本書は以下の構成となっています。
第1章 秘密結社をつくれ
第2章 本当の「よいチーム」とはなにか
第3章 ビジョンをぶちあげろ、ストーリーを語れ
第4章 よき仲間との出会いのために
第5章 チームアプローチはあなたと世界をどう変えるか
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