国ってなんだろう? 〜 非行や子育てについて考えるためのブックレビュー
この本を読んで得られるのは、国家に対する新しい視点です。私たちが今住んでいる日本という国をはじめ、世界地図に線引きされている世界の国々に対する客観的な視点です。
今、世界では「国」という枠組みに疑問をもつ機会が多くあります。中東ではイスラム国がシリアやイラクなど複数の国にまたがる地域に領土を作っています。その影響で、ヨーロッパには難民があふれています。
そのヨーロッパでは、移民と呼ばれる人たちが単発的にテロを起こしています。中東からやって来たはいいが、世代をまたいで、フランスやベルギーなどのヨーロッパの国に馴染めないでいるというバックグラウンドが指摘されています。
日本でも朝鮮民族やアイヌ民族の問題は常に指摘されています。中東の難民を受け入れていないという問題も指摘されています。
そもそも、正式な国民として国のサービスを胸を張って受けられる「国民」とはどこからどこまでで、どこからが「移民」という枠組みなのかが、日本でははっきりしません。
現在ある、世界の国々に対する客観的な視点のコアになる考えが、「国民国家」という考えです。これは18世紀末のフランス革命と、その後の変化の中で形作られたものです。フランス革命を機会にスパッと変わったのではなく、ゴタゴタの中で何百年を要し徐々に「国民国家」という考えが形作られたのです。
フランス革命で「国の正式なメンバーである国民が国家を構成する」という考えが方が打ち出され、その後何十年にもわたる社会の変化の中で、次第にフランス全域の多くの人が自分のことを国に結びつけて認識するようになり「フランス人」「フランス国民」という共通の認識を持つようになったのです。
今、旬な話題の「国」という枠組みについて、客観的な視点が得られる本です。
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