小5男子、海を舞台にした事件〜真夏の方程式
夏休み、小学校5年の男の子が親の都合で預けられた宿での事件です。海岸を目玉として観光業が主要産業の町の宿、そこに湯川博士も泊まっていて‥‥というストーリです。
さすがに引き込まれます。ちょっとだけ、最初のさわりだけを読もうと思ってページを開いたら、どんどん先を読みたくなりました。最近知ったんですけど、こういう「ついつい読んでしまう」感じ。読み始めたら止まらない勢い。読みやすさ。このようなものをリーダビリティって言うそうです。
「面白さ」なのかとも思うんですけど、それと一緒に「読みやすさ」ってのも、リーダビリティの条件の様です。まあ確かに、難解な漢字とか表現とかを使っていたら、読む気がなくなってしまいますもんね。さらにそれがほんの最初にあったら「なんだこの難しい本は」って思って、本全体が難しく感じてしまいます。
おそらく加減がむずかしいんでしょうけどね、リーダビリティって言うのも。著者が書きたい内容と、作りたい雰囲気と、読者が読みやすい表現と、そんなものがうまく高い位置で一致したものが望まれるんだと思います。
あんまり読みやすくしたんじゃ雰囲気が軽くなってしまうんでしょうし。だけど、重い雰囲気を作ったのではリーダビリティがなくなってしまうでしょうし。その前に自分が書きたいストーリーに沿っていなくてはならないでしょうし。
で、冒頭の入りやすさや引き込まれ感はかなり感じて読み始めたんですが、最後の方は尻すぼみな感じがします。なんとなく中途半端な尻切れトンボな感じです。他の東野圭吾作品もそうだと思うんですが、最後で余韻なく終わってしまう感じです。
全部読んでいるわけではありませんが、私も東野圭吾作品好きです。ですが多くが尻切れトンボだと思うんです。何年か前も、他の人に「途中まではいいんだけど、東野圭吾の本って最後が変なところで終わるよね」って話した記憶があります。
著者的にはどうなんでしょう。そういう中途半端な終わり方を意図して作っているのかもれませんので、好き嫌いの問題なんでしょうか。ジャストフィットして終わるのは「容疑者Xの検診」くらいなのでは。私は著者の本、全部読んだわけではないですけど。
それと、湯川博士の言葉で共感できるのがありましたね。確か「因縁をつけてるだけ」って言っていたと思います。海底資源を採掘しようとする企業と、それを止めようとする地元の反対派。両者の話し合いは噛み合いません。そんな時、地元反対派の女性に対して湯川博士が言うんです。「君たちのしていることは因縁をつけていることでしかない」などと。
話し合いや議論において、相手を知ろうとせず、自分の意見ばかりを通そうとするのは、因縁をつけることそのものです。建設的でなく、時間の無駄です。この本の場合では、地元の反対派には、科学に対するリスペクトがないんです。科学の発展、つまり人類全体への貢献と、それに伴う海への被害、両方を天秤にかけることが重要なんです。何事にもメリットとデメリットは共存します。だから、相手の目線に立つことも重要なんですよね。
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