マーケット感覚を身につけよう 〜 非行防止の子育てや原因・家庭環境・少年の心理を探る
この本は、マーケット感覚をつけるための本です。マーケット感覚とは、「商品やサービスが売買されている現場の、リアルな状況を想像できる能力」や「顧客が、市場で価値を取引する場面を、直感的に思い浮かべられる能力」のことです。
この本の構成は、次のとおりです。
序 もうひとつの能力
1 市場と価値とマーケット感覚
2 市場化する社会
3 マーケット感覚で変わる世の中の見え方
4 すべては「価値」から始まる
5 マーケット感覚を鍛える5つの方法
(1)プライシング能力を身につける
(2)インセンティブシステムを理解する
(3)市場に評価される方法を学ぶ
(4)失敗と成功の関係を理解する
(5)市場性の高い環境に身を置く
終 変わらなければ替えられる
「終 変わらなければ替えられる」の中の「親が子どもに伝えるべきこととは?」というトピックで、著者は「変化は恐るものではなく、楽しむものなのだと身を持って教えてあげましょう」と述べています。
例えば、親が30歳のときに生んだ子どもは、親と30年分、別の時代を生きることになります。今の社会の変化スピードはとても速いので、 親の経験は子どもにとってまったく通用しないものになるのです。
学校よりも格安で効率的な学びの場も増えており、学校に通うだけが学びではありません。変化を積極的に受け入れ、学校以外の学びの場も選択肢の一つとして考えておくべきなのです。
著者はどの本でも、 組織に対する批判的な事を述べます。マーケット感覚を鍛える方法のうちの一つ「インセンティブシステムを理解する」の中に「規制や罰則で問題を解決しようとしない」というのがあります。
私がいた組織は、何事も規制や罰則で解決しようとする、古い体質の組織なので、この方法には非常に共感できます。組織の運営上、妨げになるものが出てくる度に、やれ休日返上だの、やれ終わるまで帰れないだの、人間を使うのがとても下手な組織でした。
このような、何かある度に罰則を設けるような組織運営では息苦しくなるだけですし、トップの地位にいて規制や罰則の旗を振っている幹部のリーダーシップのなさに非常に、私は非常に失望しています。
「マーケット感覚を鍛える5つの方法」には、「公的分野の人にも必要なマーケット感覚」や「組織評価からの脱皮」など、知っているだけで、生活や仕事をしたりする上で役に立つ知識が記載されています。
変化スピードが速い今の時代を生き抜くために、ぜひ知っておいて欲しい内容ばかりです。子育てをするうえでも、個々の細かいしつけや教育をする前段階として、マーケット感覚を意識して生活することは、必ず子どもにも良い影響を与えると思いいました。
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