子どもの非行を防ぐ抽象化思考の、おさえておきたい性質とは(4、線が引けない)
世の中の問題は、線を引いて白黒はっきりさせることが出来ないものがほとんどです。「これは正解、これは間違い」のように、明確にすることが出来ないのです。
例えば、大人と子どもを分ける年齢。非常に曖昧になっています。一般的には20歳以上が大人とされています。成人式は20歳の時にやりますし、今はまだ選挙権は20歳以上です。お酒やタバコも大人とみなされる20歳以上になったら許可されます。少年法は20歳未満に適用されるので、犯罪者は基本的に20歳以上となります。
ですが高校の卒業は18歳です。中には中学校を卒業してから職に就く人もいるでしょうが、多くの人が高校を卒業します。そして高校を卒業した後の進路が、進学か就職かで大きくわかられる所です。大学を卒業して22歳から社会に出る人と、高校を卒業して18歳で社会にでる人、2通りの通ってきた道が存在するので、混迷するのです。
18歳から20歳は、果たして子どもなのか大人なのか、はっきりしない年齢となっています。人間の、大人としての習熟度は人によってまちまちです。ですので、一概に線を引けないのが当たり前なのです。それなのに社会の都合で一律に線を引こうとするから、曖昧な部分が出てくるのです。
文法もそうです。もともと言葉は人間が自由に話していたものです。それに対して、後から「分かりやすくするために」という理由で適用としたのが文法です。文法によって、動詞や名詞や形容詞が出てきました。「このような場合には動詞」「このようなケースの後には形容詞が続く」という枠をはめるようになったのです。
ですがこれは、「何もはっきりと言うことはできない」「何事も主張できない」ことを言っているのではありません。白黒ははっきりしていなくとも、大きな流れ・方向性は存在しています。白と黒とで分けて世の中を見るのではなく、「こっちは東」「こっちは西」と言うように方向性でとらえるといいでしょう。
ネット上の議論で、物事をはっきり言う人に対して「いや、それに当てはまらないケースもある」と異論を唱える人がいますが、あれは具体度(抽象度)がかみ合っていない議論の典型と言えるでしょう。物事をはっきり言う人が抽象的にとらえて主張しているのに対し、個別ケースをあげて「そうではない場合もある」と言う人は、具体的にしか周りを見えていないのです。
白と黒とで周りを見ていると、大きな方向性などはないように見えます。例外がいくらでも存在するので、「大きな目で見ればこの方向に動いている」「大局観で見ればこのように見える」と言うのが主張できないのです。
それに対して、物事をはっきりと主張する人は大抵、大局観物事をとらえています。例外がいくらでも存在することはわかった上で、大きな流れを主張しているのです。ですから、「例外はいくらでもある」「それに当てはまらないケースもある」と言う主張は的外れと言えます。白と黒とでしか見ていないから、例外が気になるのです。
「どこまでが正しくて、どこからが間違いなのか」「どこが白で、どこが黒なのか」と言うデジタル的に社会を見るのではなく、白と黒が連続的に変化しているようにアナログ的に社会を見ることが、重要です。
これは、抽象的なメッセージが本質的、具体的なメッセージが表面的、ということもできます。表面的なメッセージは、具体的でわかりやすいものがほとんです。「この場合にはこうするべき」と言う個別のケースに応じたものです。
「本や雑誌類は、出入り口近くに並べる」「ドリンクやアルコール類は、店の奥の方に並べる」一つ一つの具体的なアドバイスを追って言ったら、一つ一つが繋がりません。「さっきは出入り近くって言っていたのに、今度は店の奥の方に並べる、かよ」と、具体的に個別に見ていくと矛盾していることを言っているようにも聞こえます。
ですが本質は「お客様第一」と言うことです。個別具体的にはそれぞれ矛盾しており、バラバラなことを言っているようにも見えます。ですが一歩引いた視点、抽象的な視点でそれらのメッセージをとらえると、芯が一本、真ん中に通っているのが見えます。それが本質と呼ばれるものです。
本質は大きな方向性です。右から左へ流れており、どこかで右と左をスパッと切れるわけではありません。デジタル的に物事を捉えようとすると、本質を見誤る危険性があります。抽象的に見ると、社会に正解はありません。「どこからどこまで」と言う線が引けない連続変化なのです。
プレゼントの無料小冊子を更新しました。「子どもの非行を防ぐための素直な頭のつくり方」です。
非行に走る子どもは自己中が多いです。頭が固く、自分の価値観に固執しています。周りの人間の価値観や考えを受け入れられず、自分を通そうとします。自分以外の価値観や考えがあること自体が、見えていないのです。自分が正しくて、自分以外の考えは間違いだという先入観から抜けられない状態です。
子どもは周りから吸収する度合いが強いので、子どもの成長は周りの大人次第の側面があります。「周りの大人が自己中から脱し、素直な頭を持つ事で、接する子どもにも好影響を与えよう」というのが、この小冊子の狙いになります。
頭の柔軟性があり、状況や相手に応じて変化できる事。自分だけでなく、相手の考えも認める事ができる事。一つ上から全体を俯瞰できる事。そんな「素直な頭」をつくるための気づきを、この小冊子から得ていただければと思います。
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