金、地位、名誉をバカにする態度。「高踏的」を紹介する

2020.10.20 (火)

「高踏的」という言葉があるらしい。

 

 

ネット辞書のウェブリオで調べてみると、「金銭、地位、名誉などといった世俗的な欲望を超えて、超俗の境地や態度にあるさま」とある。これは、僕が「犯罪や非行に走らない態度」として用いる「一歩引いた視点」にも通じる言葉なので紹介したい。

 

 

「高踏的」という言葉には、夏目漱石の「吾輩は猫である」について調べている時に出会った。歩いていて靴に石が当たったように、その出会いは偶然だった。けれど、僕が好きな雰囲気を表す言葉であって、また一つちゃりんとストックが増えた気分だ。

 

 

僕は「一歩引いた視点」を表す言葉が好きで集めている。「集めている」と意識していたわけではないけれど、今回「高踏的」という言葉を知って、500円貯金が増えた気分がしたので、意識せずとも集めていたのだろう。

 

 

どうして集めるのかというと、文章を書く時に楽だからだ。書きやすいからだ。この「一歩引いた視点」というのが好きで、どうにかしてこの態度を表現したくて。周りの人に理解してもらいたくて文章を書いている。好きだから何回も同じことを言うのだけど、そうすると表現が重複してくる。同じ言葉を何回も繰り返すことになる。

 

 

日本語には「ですます問題」というのがあって、作文中に語尾で「です」あるいは「ます」が続いてしまう現象だ。これの何がまずいのかと言うと、読み手に「飽き」が来てしまう。いくら斬新な視点を表現する文章でも(別に僕の視点が斬新とは言わないけど)、同じ言葉が続いてしまうと読み手は違和感を感じる。毎日、同じユニクロの新作を着ているようなものだ。

 

 

日本語の「ですます問題」は日本語の構造的な問題で、その問題の根っこを探ろうとすると結構深い。日本語が出来上がってきた歴史をも否定しかねないので、根幹を解決するのは難しく、日本語そのものを解体させる他ない。故に「ですます問題」は、テクニック的に解決するしか無いようだ。

 

 

意識して語尾が重複するのを避ける。「『ですます』が続いているな」と思ったら、「だ・である」調をスパイス的に振りかけてみたり、体言止めをしてみたり。そんなこんなで単調になるのを避けながら文章を書いている。おそらく高尚な文章を書く人、プロのライターでも技巧的に解決するしかないはずだ。

 

 

同じ表現が続くと読み手が飽きてしまって、あるいは違和感を感じて伝えたいことも伝わらない。表現の重複を避けることが、文章を書く際の一つの重要なテクニックになる。いくら好きな価値観、伝えたい理想があるからと言って、何回も「一歩引いた視点」とばかり言っていては、最後まで文書を読んでもらえない。悪路を車で走るときのように、つっかえてしまう。

 

 

表現の重複を避ける方法の一つが、他の単語を使うことだ。同じことを言葉を変えて表現できると、それだけ表現の幅が広がるし、なにより書いていて楽だ。違う単語を知っているとそこだけ変えればいいので、省エネで文章を書ける。

 

 

たとえば「野球」を表現しようとして「ベースボール」という単語も知っていれば、そこだけ変えればいい。「野球」あるいは「ベースボール」という単語を用いずに表現を変えるとすると、「ピッチャーがボールを投げてバッターが打って、野手が捕球するスポーツ」とか「甲子園で開催されるている」とか「日本で最もメジャーな」のように、遠回りな表現をせざるを得ない。

 

 

単語の幅があることは、文章を書く上で楽だし、伝えたいことが伝わりやすくなる。

 

 

「高踏的」というのは、高いところから見下ろして「そんなことやってるの? くだらない」と冷めた態度のことを言う。もしも自分が他人からこんな態度をされたら嫌な気分になるかもしれない。けれど「高踏的」の先にあるのは、金、地位、名誉などの世俗的な欲望だ。

 

 

持っていることによって害を及ぼす欲望に対して、冷徹な態度をとる。それによって感情的になることを避ける。犯罪や非行を避けるには、そんな態度が適していると僕は強く思うので、よくコラムに書いている。

 

 

犯罪や非行というのは、囚われることで生まれる。欲望に囚われ、感情的になってしまうのだ。僕たちを囚えがちなのは、金や地位や名誉などの欲望だ。これらを捨てられれば犯罪や非行に走ることもない。これらを捨てるには、欲望を冷めた目で見る態度が望ましい。

 

 

バカにする態度だ。「アホらしくてやっていられない」と思えれば、それに近づくこともなくなるだろう。

 

 

金銭的に損したり、地位を脅かされたり、名誉を傷つけられたりして、人は憤慨する。怒る。そうすると感情的になって犯罪や非行が生まれる。ので、そんな金、地位、名誉を冷めた目で見られることができれば、怒って感情的になることもなくなる。犯罪や非行にも走らなくなる。

 

 

これを言いたくて、この「一歩引いた態度」を表現する言葉を、僕は色々と集めている。今回「高踏的」というのがコレクションに加わった。

 

 

コレクションには他にも「フラットに見る」「多様性を重んじる」「価値観はひとそれぞれ」「同じものを他人が見るとどう思えるか」「構造を理解する」「客観的」「寛容的」「優しさ」などがある。どれも「一歩引いた態度」を表現するのに使う言葉。犯罪や非行に走らない方法を伝えるために用いる意味だ。

 

 

犯罪や非行を防ぐには「高踏的」なことが望ましい。

 

 


 

 

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