なぜ未成年は深夜に出かけてはいけないの?

2020.10.21 (水)

法律の話、それと経験からの話をします。

 

 

法律の話

それぞれの都道府県には「青少年健全育成条例」という法律があります。どの都道府県でも作られていて、この法律の中には大抵、未成年の深夜外出を制限する文章が含まれています。

 

 

もしも深夜に未成年が出かけているのが警察官に見つかれば注意されます。これを補導と言います。警察官とは法の番人のようなもので、法律に違反している人がいると注意したり、状況が悪ければ逮捕もします。警察官が深夜に出かけている未成年を補導するのは、「青少年健全育成条例に違反しているから」なのです。

 

 

ではなぜ、青少年健全育成条例なるものが作られているのか。どうして、青少年健全育成条例の中で未成年の深夜外出が制限されているのか。多くの法律は、初めに「どうしてこの法律が作られたのか」「この法律はどういった目的で作られたのか」が書いてあります。まずはそこを見ていきましょう。

 

 

必要な部分だけ紹介しますが、東京都青少年健全育成条例では、条例の目的として

「第一条 この条例は、青少年の環境の整備を助長するとともに、青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し、もつて青少年の健全な育成を図ることを目的とする」

とあります。

 

 

さらに責務(やらなければならないこと)として

「第四条 都は、青少年を健全に育成するために必要な施策を講ずるものとする」

「第四条の二 保護者(親権を行う者、後見人その他の者で青少年を現に保護監督するものをいう。以下同じ。)は、青少年を健全に育成することが自らの責務であることを自覚して、青少年を保護し、教育するように努めるとともに、青少年が健やかに成長することができるように努めなければならない」

と書かれています。

 

 

それと付則(付け足し)として

「われら都民は、次代の社会をになうべき青少年が、社会の一員として敬愛され、かつ、良い環境のなかで心身ともに健やかに成長することをねがうものである。

われら都民は、家庭及び勤労の場所その他の社会における正しい指導が、青少年の人格の形成に寄与するところきわめて大なることを銘記しなければならない。

われら都民は、心身ともに健全な青少年を育成する責務を有することを深く自覚し、青少年もまた社会の成員としての自覚と責任をもつて生活を律するように努めなければならない」

とあります。

 

 

わかりやすく言うと

「東京都では、子どもたちが心身ともに健康に育つように、青少年健全育成条例を作りました。東京都の役所や公務員、それと子どもたちの親は、子どもたちが心身ともに健康に成長するように努力しなければなりません。大人は、子どもたちが健康に成長するような環境を作らなければならないし、子どもも社会の一員ですから進んで健康に成長しようとしてください」

という意味になるでしょう。

 

 

他の県も少し見てみます。どこの県も、だいたい言っていることは同じです。

 

 

神奈川県青少年健全育成条例では、条例を作った目的として

「第1条 この条例は、青少年の健全な育成について、基本理念を定め、並びに県、保護者、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、青少年を取り巻く社会環境の整備を促進し、及び青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止することにより、青少年の健全な育成を図ることを目的とする」

と書かれています。

 

 

千葉県青少年健全育成条例では

「第1条 この条例は、青少年の健全な育成のため、必要な環境の整備を図り、あわせて青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止することを目的とする」

 

 

さらに埼玉県青少年健全育成条例では

「第一条 この条例は、青少年の健全な育成に関する基本理念及び県等の責務を明らかにし、県が行 う施策を定めるとともに、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある行為を防止し、もつて青少年の健全な育成を図ることを目的とする」

とあります。

 

 

どうして未成年は深夜に出かけてはいけないのか。それは「各都道府県では青少年健全育成条例が定められているから」というのが、法律的な答えです。もう少し深く答えると、条例を作った目的が「子どもたちの健全な成長を目指すもの」であり、「その条例に反することはしてはいけない」のです。

 

 

未成年が深夜に出かけることは、心身ともに健康に成長するのを邪魔することだと考えられているのです。

 

 

経験則からの話

では、どうして未成年が深夜に出歩くことが「心身ともに健康に成長するのを邪魔すること」になるのでしょうか。未成年が深夜に出歩いたら、本当に心身ともに健康に成長できなくなるのでしょうか。

 

 

これに対しては、警察官をやっていたときの経験を交えて話してみたいと思います。

 

 

悪いことをしようと考える人は、悪いことをする時に必ず考えておかなければならないことがあります。いつも一緒にいる友人や仲間と同じで、悪いことをする人はこのことをいつも考えています。それは「どうやって見つからずに逃げられるか」です。

 

 

悪いことをして、もしも警察官に見つかれば捕まってしまいます。警察官でない人に見られても、警察に通報されてしまえば捕まることになるので、できれば誰にも見られたくありません。うまく逃げられるまでは誰にも見つかりたくない。「どうやって見つからずに逃げられるか」が悪いことをするうえでは大切なのです。

 

 

そのためには、深夜という時間帯が好都合です。夜には陽の光がなくなるので、暗がりが増えてひと目を避けることが簡単になります。寝る人も多いので、悪いことをしても人に見られる心配がありません。

 

 

深夜になると、高揚感も出てきます。高揚感とは「気分が高まること」です。深夜になると普段は親から「早く寝なさい」と言われますが、特別な日に「夜も起きていて良い」と言われたことがないでしょうか。たとえばクリスマスとか、誕生日とか、お正月とか。

 

 

そんな日に夜に起きていると、楽しくてしょうがないですよね。気分が良くなって、ちょっとしたことが可笑しくて。「もっとずっと寝ないで起きていたい」と思うようになります。これが高揚感です。

 

 

深夜になると、仕事が終わって多くの大人が鎖から解放されます。お酒を飲んだり、美味しいものを食べたり、好きなことをできるようになります。昼間は好きなことができなくて我慢していたものが、深夜になるとできるようになります。

 

 

好きなことをできるようになったのは良いのですが、そのまま高揚感につけこんで、悪いことまでしてしまう大人が多いのです。お酒を飲みに行って。話のできる友人と自慢話をし合って。帰りに見ず知らずの人ととケンカして。いかがわしい行為をして。

 

 

そんな大人に近づけたくない。そんな大人を見てほしくない。そんな大人を真似してほしくない。そんな大人から被害を受けてほしくない。そういう理由から、未成年が深夜に出かけるのを制限しているのです。

 

 


 

 

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