セブ島英会話スクール創始者の熱い想いが伝わる〜英語の多動力

2018.08.12 (日)

 

この本の魅力は3点。

・自動翻訳機が隆盛となるこの時代に、なぜ英語が必要なのか。

・セブ島の英会話スクールであるQQ English創始者である藤岡頼光氏のインタビュー

・厚切りジェイソンさんの話

 

 

大まかな内容は、以前読んだ「多動力」と同じようなものです。著者が言っていることは、良く言えば「一貫性がある」で、悪く言えば「同じ」です。で、今回の「英語の多動力」も同じようなものかなと思って読みましたが、違いました。そこに「英語」という視点があるだけで、一段上の魅力を引っさげてきています。

 

 

自動翻訳機

まずは「自動翻訳機が隆盛となるこの時代に、なぜ英語が必要なのか」ですが、皆んながなんとなく思っていることを、この本ではうまく言葉にしています。この辺のモヤモヤをモヤモヤのままにせず、うまい言葉や語彙を使ってアウトプットできるから、著者の本には魅力があるし、本というものにも魅力があるんdなと思います。

 

 

自動翻訳機と言っても、結局はまだまだ翻訳に時間がかかるんです。「まだまだ」と言っても、それはほんの数秒でしょう。ですがそのほんの数秒が、リアルな会話にとってのストレスであり障壁なのです。地球の裏側の人と話す時、ほんの少しのタイムラグがありますよね?あれと同じです。

 

 

秒数にしたらほんの数秒のタイムラグが、「生」かそうでないかの違いであり、違和感を感じる部分であり、「自動翻訳機では物足りないなあ」と感じる部分なのです。それは技術的な意味もあるでしょう。間に機械という媒介があるが故のタイムラグです。人間と人間の間に機会が入ることによって、一つ経由しなければならない場所ができます。これはテクノロジーが進歩すれば限りなく解消するかもしれませんが、問題はそれだけではないようです。

 

 

そもそも英語と日本語では、語彙の繋がり方が正反対です。例えば、「I have a pen」を和訳する際、「私はえんぴつを持っている」となります。日本語に和訳するには、最後まで相手の話を聞かなければならないのです。日本語の早い段階で出てくる「えんぴつ」という単語を、英語では後の方で言うので、「ロス無く和訳する」というわけにはいかないのです。

 

 

言葉の構造的な問題です。もともと日本語と英語では作られ方が違うので、つむがれている単語の順番が違うのです。だから相手の話を最後まで聞かなければ、和訳しようにもできないのです。英語話者が話し終わった時点で、自動翻訳機が和訳を話すので、なかなか「違和感なくリアルな会話」にはならないのです。

 

 

QQ English創始者のインタビュー

それと、藤岡頼光氏のインタビュー記事を読むだけでも、この本を買う価値はあります。もしあなたに子どもと接する機会があり、その子どもの将来が気になっているなら、この本を買ってこのインタビュー記事を読むべきです。

 

 

未知に飛び込む熱いエネルギーを、きっと感じると思います。それは、著者でいうところの「多動力」です。藤岡氏は

 

 

・英語を話せるようになる

・アジアの熱気を肌で感じる

・発信力をつける

 

 

という3つの事を、今すぐにやるように言っています。結局は多動力なのです。世界はアジアを中心に動くようになるので、世界のど真ん中であるアジア、特にこれから世界に躍り出ようという国の熱気を感じてインスピレーションをもらうようにと言っています。

 

 

その手助けとなるのは英語でしょう。英語を話せるようになれば、話ができる人間の数が桁違いに増えます。英語ができなければ、ストレスなく話ができるのは日本国内のみです。その違いは歴然です。

 

 

話ができる人が増えれば、それだけ耐性が強くなります。変化に対する耐性です。変化する世の中なので、変化を受け入れられない、昔にこだわる人には難しい社会になります。強さでも賢さでもなく、必要なのは変化に対応できる事なのです。

 

 

藤岡さんは、「みんな急げよ」と言っています。これほど噛みしめるべき言葉はないでしょう。多くの人が、今すぐに自分を見つめ直して、未来をのあるべき姿を構築するべきなのです。その際に、おそらく今までの延長の姿はないでしょう。

 

 

過去の自分を見つめ直し、世の中の情報を広く取り入れて、将来自分がどうなっていたいか。そんなことを考えたときに、「まずはいい資格を取ろう」とか「とりあえずいい学校に入ろう」という選択肢は入ってこないのではないでしょうか。

 

 

みんな急ぐべきなのだと思います。そう簡単に、将来の姿が作れるはずがありません。急いで過去の自分を見つめ直し、世の中の情報を広く取り入れるべきです。走りながら。

 

 

厚切りジェイソンさんの話

最後に厚切りジェイソンさんの話で、これは「楽しくなければ成し遂げられない」という事です。楽しくなければ、英語を話せるようにならないのです。それは、続かないからです。英語は継続性が物を言います。英語だけに限らず、言語を勉強するということは、継続して勉強しなければならないのです。

 

 

絶えず学び続けることが必要になるのです。母国語でない以上、決して母国語のようにはなりません。すぐに置いて行かれるし、忘れてしまうでしょう。だから続けなければならないのです。集中して学べば、一次的に話せるようにはなるかもしれません。ですがあくまでも一時的です。一過性の頂点は、すぐに過去のものになってしまいます。

 

 

継続して英語を勉強できることが必要で、そのためには楽しくなければならないのです。そのためのヒントとして、little by little だそうです。「少しずつ」です。一気に詰め込もうとしても、絶対に続きません。「少しずつ」が楽でしょうし、それが最良の方法でもあるのです。

 

 

量が増えると楽しくありません。人間は、基本的にはエネルギーを使うことを嫌います。英語を話せるようになる過程も、少なからずエネルギーが必要になります。だから、少しずつするのです。少しずつであれば、必要なエネルギーは格段に減ります。

 

 

必要なエネルギーが減れば、ハードルが下がります。ハードルが下がれば楽になります。英語を話せるようになることに、楽しむ余裕ができるのです。詰め込みすぎていっぱいいっぱいでは、楽しむ余裕なんかあるはずがありません。

 

 

「あれもやらなきゃ」「これもやらなきゃ」と、首が回らなくなります。そうすると達成できない自分にも嫌気がさしますし、きっと周囲の人にもつらく当たってしまうでしょう。そうするとイライラがさらに自分に跳ね返ってきて、まさに負のスパイラルです。英語は少しずつ。little by little す。

 

 

というわけで、非常に興味深く読むことができた本でした。子どもの教育と英語は切っても切り離せないので、子どもと接する機会のある人にも為になる本だと思います。英語の勉強にしても、これと言った正解はもちろんありません。ですが、と言うかだからこそ、自分の考えが必要なのだと思います。

 

 

正解がない中で、「自分はこう思う」という自分の意見です。そんな「自分の意見」を作るのにちょうどいいのではないでしょうか。

「英語の勉強に関して自分はこう思う」

「子どもの語学環境に関して、私はこう考えている」

そんな意見を作り上げるのに、必要最低限の情報が載っている本です。著者やその他のインタビューアーの熱い思いが伝わってきます。その熱い思いを、じかに活かせる先が子育てです。このエネルギーは子どもと接する際に大いに役立つもの。ぜひ感じていただければと思います。

 


 

 

 

 

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