子どもどうしのケンカにどう対応するか
よくケンカの仲裁はしますし、子どもだけでなく大人どうしのトラブルの仲裁もします。一番言いたいのは、立場が違えば見えている風景も違う、ということです。ケンカのトラブルは、本当に立場ごとに見えているものが違うんです。しかもお互いが見えているものが違うことにすら気づいていないんです。薄暗い中で二人が三角錐を見ながら議論をしているようなものだと思います。
一人は三角錐を下側から見ています。もう一人は三角錐を横側から見ています。下から見ている人には三角錐が丸く見えますが、横から見ている人には三角錐が長方形に見えます。しかも薄暗い中なので、お互いがどこの角度から見ているのか、それぞれ分かっていない状態です。お互いが同じ三角錐を見ながら議論をしているにも関わらず、話が一向に噛み合いません。
下から三角錐を丸く見ている人は、相手が三角錐を長方形に見ていることに気づいていません。それどころか、違う角度から見ていることにも気づいていません。違う角度から見られることに気づいていないのです。他の視点があることが、頭の中から綺麗さっぱりなくなっているのです。
横から見ている人も、議論をしている相手が三角錐を下から見ていることが、頭の中に入っていません。この人も、他の角度から三角錐を見られることに気づいていないのです。
ケンカの仲裁は利害関係のない第三者が行うのが適当ですし、第三者にしかできないはずです。当事者では自分の見ている視点に執着してしまうので、自己中になりやすいのです。感情が高ぶって、相手の視点を想像しにくくなっているので、当事者にケンカの仲裁はできないでしょう。
当事者というのは、ついつい自分の視点にこだわりがちです。特に子どものケンカとなると、そのこだわりが強く出る傾向にあります。自分の子どもは可愛いし、子どもは自分の側に都合のいいことしか言わないし、物事をよく理解しないで説明するし、嘘を平気でつくし。子どもの説明を真に受けることは絶対にしないほうがいいでしょう。もし「自分の子どもが悪いとは絶対に思えない」「明らかに非は相手にある」と思ったら、視野が狭くなっていると思って間違いありません。
子どもの状況を見てもいない大人が、子供からの説明のみを聞いて判断して、「絶対に」とか「明らかに」という結論は出るはずもないからです。もしそのような結論が出たとしたら、判断が隔たっていると言っていいはずです。
怖いところは、誰も嘘をついていないかもしれないことです。もちろん、どちらかが嘘をついている可能性もあるのですが、嘘をついていない可能性もあります。三角錐を二人で別の角度から見る場合も、本当のことを言っているにも関わらず、片方には丸く見えて、片方には長方形に見えます。
ケンカも、見る角度によって全く別の風景が出てくるのです。しかも子どもは、その時の状況を大人に事細かく説明できるはずもありません。大人も自分の子どもには甘く判断するので、どんどん間違った方向に進んでいくのです。
「じゃあどうしたらいいのか」というと、「真相は分からない」とするしかありません。その場で状況を見ていない大人が、子どもどうしの空気感、温度感を知ることができない大人が、子どもどうしの間であった出来事を見極めようとすること自体が不可能なのです。もしケンカしているのであれば、喧嘩両成敗とするしかありません。
何事も物事をはっきりさせた方が良いとする世の中ですが、はっきりとさせない方がいいことも多々あります。はっきりとさせた方がいいというのは、思い込みでしかありません。抽象よりは具体の方が心地いいので、わかりやすく、はっきりとしたがります。が、人間関係においては特に抽象的な解決手段も視野に入れた方がいいでしょう。分からなないものは無理に結論づけず、先送りでも回答不可能でも構わないのです。
組織だと特に、発生防止方法を考えたり、犯人を探したりしがちですが、現実に効果があるわけではなくパフォーマンスに終わることも多いはずです。白黒はっきりできることばかりではありませんし、デジタルに白とくろが分かれているわけでもありません。グラデーションがあるはずです。
「自分が間違っているのではないか」「自分は視野狭窄に陥っていないか」「目の前にいる人間は、自分には見えていないものを見えているのではないか」という、自分に対する疑いを持つことが大切です。
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