「人生をどう好転させたらいいのか」が具体例でわかる〜最強!のニーチェ
19世紀に生きたドイツの哲学者、フリードリヒ・ニーチェの実存哲学について書かれた本になります。20代の女性ビジネスマン・アキホちゃんが、作家である著者とニーチェ哲学について問答する形です。
第五章まであるうち、第一章と第五章が面白かったと思います。第一章については「哲学とは何か」についてざっくりと著者の視点で述べられており、第二章から第四章まではニーチェについて、で、その後の第五章で著者の個人的な体験について述べられています。
まず第一章ですが、著者は哲学を「白哲学」と「黒哲学」に分けられると言っています。白哲学とは哲学の王道で、「正義とは何か」とか「愛とは何か」とか「人生とは何か」とか。目に見えないモヤモヤとした抽象的なものを考える哲学です。物事の本質を考える哲学になります。本質っていうのは概念的なことです。
目に見えて、手に触れて、そんな現実にある、目の前にあるモノを考えるのではなく、実体のないモヤモヤとしたもの。実態に騙されなで、そのモノの中心にあるものに目を向ける哲学です。抽象的だから本質的、本質的だから抽象的な話にならざるを得ないものです。
でも、そんな現実にない抽象的なものに目を向けず、目の前にある現実存在に目を向けようというのが、著者のいう黒哲学です。
古代ギリシャの時代から約2000年も続いた白哲学を批判する形で生まれたのが黒哲学、いわゆる実存哲学だそうです。我々はこの白哲学を批判する意味での実存哲学について、第三者的に「ふーん」って感じですが、当時としては権威に逆らうようなものだったそうです。えらすぎて何も言えなくなっているものに対してタブーをいうようなものかもしれません。裸の王様に「あなたは服を着ていませんよ」って言うような。長嶋監督に「あなたは野球が分かっていませんよ」って言うような。ヨボヨボの武術の達人に対して「あなたは保護されている」って言うような。実存哲学を表に出すことは、それほどインパクトのあることだったそうです。
で、ニーチェとは実存哲学に分類される哲学者で、「非現実な存在について話すのやめて、現実存在について話そうぜ」ということのようです。
第二章から第四章まではニーチェについて。「ありもしない架空の価値観に振り回されて不幸になってない?」とか「強い人とかお金持ちに対しての『そんなの意味もないよ』などの批判は、弱者のルサンチマンでしかない」とか。おそらく「強者がダメだ」という奴隷道徳は、社会的に影響力の強い組織なんかによって作られたものなのでしょう。その方が都合がいいから。我慢して弱者でいることが美徳とされている方が、革命が起こらなくて都合がいいからなのでしょう。
で、永劫回帰。永劫回帰はフィクションかもしれないけれど、怠惰になって無気力になってしまうには今この瞬間を肯定して、自分の成長に喜びを見いだせれば楽になるようです。私の解釈ですが、超人とは「自分の成長に価値を見出して力強く自分の道を突き進む人」なのではないかと思います。既存の価値観・レッドオーシャンに惑わされず、混沌とした社会を自分の目で見て、自分でラベルを作り出せるような人。ラベルに自分の考えをかけるような人。自分で言葉を作って、自分で区切りや境界を作っていける人。自分の今の価値観を信じて、そんなラベル貼りを前向きにできる人のことをいうのではないかと思います。
第五章では著者の過去を思い返しながら、実際にどんな風にニーチェの実存哲学が人生を切り開くのかを説明しています。この個人的な体験が書かれているから、この本にはオリジナリティがあって、他の本と一線を画すものとなっています。ニーチェに対する信頼を多くの人と共有できる内容になっています。「ニーチェっていいよね」と、なんとなくモヤモヤしていた人も、「やっぱりニーチェは人を救うことができるんだ」と確信を持って人に勧められるようになっています。
やっぱり、「思い込みを外す」ことって重要ですよね。新しい価値観に出会うこと。「それまでの自分の見方が隔たった見方だったんだ」と気づかせてくれる考え。新しい視点。これって、物質的には何もない、ただの考え一つでしかないんですが、人生を変えるものっていうのは得てしてこの「見方ひとつ」であることが多いと思います。
説明するのが難しいんですが、やっぱり人生を変えるには、自分の中での問答と、外部からの新しい価値観の二つだと思うんです。山の向こうを見渡せるような遠くを見られる視点を外部からもらう。これっていうのは、どんなに自分で悩んでも考えつかないものですから。それと同時に、現実を疑って、「自分は本当は何なのか」「自分は何を望んでいるのか」「自分はどうしたいのか」っていう自分との問答です。
自分の下にひたすら穴を掘って深くしていくと同時に、遠くまで見渡せるように高い視点を持つこと。一見すると相反するように思えるこの二つのことを繰り返すことが、超人を目指すってことなのではないかと思います。で、その超人を目指すことと楽しさがマッチすれば、人生ってのは楽しくなり、死ぬ間際に「またやってやろう」って思えるのではないかと感じています。
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