「痩せる」と「コンビニのデザート」の関係。具体的と抽象的は両極であって良い悪いではない

2020.11.24 (火)

「具体」と「抽象」という言葉は知っていても、両方を同じくらい大切なものだと考えている人は一握りなのではないかと思う。

 

 

何かにつけ「具体的に」なんて言われるし、あたかも具体的であることが正義で、その反対の抽象的であることが悪者のように扱われてしまう。

 

 

どうして僕たちが「具体的」であることを求めるのかと言うと、具体的とはわかりやすいことだからだ。抽象的とはモヤモヤしているのに対し、具体的とははっきりとしていて、スッキリとわかりやすい。だから抽象と具体とがあった場合、どうしても具体の方に流れてしまう。たとえ抽象的な問いをされても、「例えばどういうこと?」と具体例を求めて返してしまう。

 

 

たしかに相手に何かを伝えようとした場合、具体例があった方がわかりやすいんだけれど、具体例はああくまでも具体例であって全体の中の一部でしかない。全体を語ろうと思ったら、難しい言葉や難しい言い回しを用いるしかない。具体例とはそのものではないので、具体例を用いて說明することは全体を歪んで表現することにもなりかねないのだ。

 

 

例えば「小売店」という言葉があるけれど、この言葉は僕的には非常にわかりにくい。どうしてもっと簡単な言葉を使わないんだろうと思う。けれど、小売店はあくまでも小売店でしかないのだ。具体例を上げればイトーヨーカ堂とかウェルシアとかヤックスドラッグとかあるのだけれど、例えば小売店全体の話をしようとしているときに、イトーヨーカ堂とかウェルシアとか、具体例を出しては相手の意識がイトーヨーカ堂とかウェルシアの方向に流れてしまう恐れがある。イメージに引っ張られてしまうだの。

 

 

理解しようとすれば簡単な話の方が理解しやすいし、簡単な話にしようと思えば具体例が入っていれば簡単になるのだけれど、話はそう簡単なものではない。説明を受ける方、これから理解しようとしている側は、具体的な表現なしで話を理解できるように頭を工夫したほうがいい。抽象的な表現に留まっている場合は、抽象的な表現に留まっているだけの理由がある場合もあるのだ。

 

 

抽象的な話をする人を外側から見ると「どうしてもっと簡単な表現を使わないんだ」と思うけれど、抽象的な表現で表現しよとする世界は、具体的な表現で表現することが難しい。これは日本人のくせにカタカナ語をわざわざ使うことに似ている。エビデンスとか、クオリティー・オブ・ライフとか、オンラインとか。これらの言葉を日本語を使って表現することも、できないでもない。エビデンスは科学的根拠だし、クオリティー・オブ・ライフは生活の質だし、オンラインはインターネットに繋がっていることだ。

 

 

けれど、これが一対一の訳になっているのかというとそういうわけではない。微妙なニュアンスの違いがあるはずだ。エビデンスには科学的根拠の他に、証拠という意味もある。クオリティー・オブ・ライフには生活の質の他に、人生の充実度のようなニュアンスもある。オンラインを単純に「インターネットに繋がった」というと、オンラインショッピングとかオンラインアシスタントとか、うまく言い切れない。表現に工夫が必要になる。日本語ではうまく言い表せないからカタカナ語を使うのであって、日本語で表現しようものなら、ニュアンスがうまく伝わらない場合も多いのだ。

 

 

抽象的な表現もこれと同じで、抽象的な表現を使う理由は、具体的な表現では表現しきれない微妙なニュアンスがあるからだ。それまで日本語しか使わなかった人が、一度カタカナ語を使い始めると使わずに表現することができなくなるように、抽象的な表現も自分のものになると、具体的な表現をしていた頃には戻れない。

 

 

何がいいたいかと言うと、抽象的とは決して一方的に悪いことではないのだ。

 

 

確かに抽象的な表現は、逃げの道の場合もある。「善処します」とか「いずれ」なんていう表現は、逃げの表現だろう。煙に巻くような表現で答えをボカシているのだ。自分の首を締めるのを防いでる。

 

 

けれど抽象的な表現というのは、具体的な表現の対局に位置するのであり、どっちが悪いとか良いとか言えるものではない。決して逃げの表現だけではない。

 

 

実務的で、具体的なことにしか興味のない人は、抽象的な魅力の世界もあるということをわかってほしい。決して「手で掴めるもの」「目で見えるもの」「身の回りのもの」だけが人間の興味の対象ではないのだ。

 

 

ただ、具体に比べて抽象は非常に分が悪い。どうしてか。具体とはわかりやすいことで、抽象とはわかりにくいことだからだ。はっきりとしてわかりやすいことは、万人受けすることでもある。分かりにくいことをわざわざ選ぶ人はいない。

 

 

遠くにあるものよりも近くにあるものを選ぶのが人間だ。遠くにある「痩せたい」という目標よりも、近くにある「コンビニのデザート」に目が眩むのも、その一例だろう。「痩せる」というのが目標であるのに対して、「コンビニのデザート」は実物だ。目で見えるし、手でも触れるし、口に入れて味わうこともできる。「コンビニのデザート」に対して「痩せる」は、どうしても劣勢を強いられる。

 

 

なので抽象は具体に比べて不利な闘いになることはしょうがないのだけれど、具体的なことを求める人は、「抽象的な魅力もある」ということはわかっておいてほしいと思う。抽象とはけっして至らないものなのではなく、具体の対局に位置するものなのだ。

 

 


 

 

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