夫婦ケンカの原因トップ・不倫はなぜ始まったのか
この本が面白いので、今日もまたこの本で論じられていたことを語ってみたい。
警察官をやっていると、ケンカやトラブルといったものと馴染みになる。人はどんな時にケンカやトラブルになるのだろうか。1つは、知らない人とのトラブルというのがある。例えば「向こう側から歩いてきた人と肩がぶつかってしまった」というケースだ。「そんなマンガみたいなケースで他人とケンカになるなんて、ウソをつくな!」と怒られそうなケースだが、これは警察官であれば頻繁に取り扱うケースの1つだ。
というか、一見マンガのようなこのケースは、誰にでもあり得る。それは成人であれば誰しもが「酔っぱらい」というバーサーカー状態に陥る可能性があるからだ。普段、誠実で人の悪口すらめったに言わないような人でも、アルコールが入るとどうなるかはわからないのだ。
他にも知らない人とトラブルになるケースは、運転である。「交通トラブル」と言われている。車は移動の範囲を広げてくれるが、移動の範囲が広がることは、それだけ他人との接触の機会が増えるということ。他人との接触が増えればトラブルも増える。
しかも車にはある仕掛けが施されてあって、それは「ドライバーの気を大きくする」という仕掛けである。車はフロントガラスや窓によって開放感が確保されているとはいえ、基本的には密室である。運転とは、極めて個人的なスペースでするもので、自分の世界に入りやすい。
誰しも世界に自分しかなければ、王様のように振る舞うだろう。自分ひとりしかいない状況であれば、独り言を言ったり、突然変な動きをしたり、どこか強気になってしまう面を持っている。そんな状況でするのが運転なのだ。普段、車を運転していて客観的な評価などされないので、誰でも(特に男性は)「自分は周りよりも運転がうまい」と思ってしまうし、運転とは見ず知らずの他人とのトラブルになりやすい典型なのである。
ケンカやトラブルには、見ず知らずの他人とするものの他に、よく知っている仲間内でするものもある。それの典型例が、夫婦げんかだろう。お互いに好意をもって一緒の生活を始めた者どうしだが、だからこそお互いを束縛しようとする欲が働くし、トラブルが絶えない。
夫婦げんかのトラブルで特に多い原因の1つが、痴話ものであって、いわゆる不倫である。最近でも‥というかいつの時代でも、週刊誌やテレビを賑わせてくれる不動のネタ。どうして男性は不倫をしてしまうのか。これは本「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか」によると、「交尾はなぜ楽しいか」という論題に置き換えることができる。我々は楽しいから不倫に走ってしまう。ではどうして我々は交尾に快楽を覚えるのか。
これは、あらかじめ本能にプログラムサれているもののようだ。交尾を楽しいと思えるから遺伝子を伝達することができるし、遺伝子伝達を最優先に考えることができる。これはなにも人に限ったことではなく、イヌだってトリだって、交尾には快楽を感じているらしい。
ヒトと違うのは、繁殖期間というものが設定されている点だ。ヒトの交尾と他の動物の交尾との大きな違いの1つに、どうして人は一年中交尾を楽しむことができるのか、というものがる。他の動物はいつでも交尾をできるわけではない。排卵の時期に交尾するのであって、遺伝子伝達に繋がらないような無駄な交尾はしない。
排卵の時期が隠蔽されているが故に、人は遺伝子伝達に繋がらないような無駄な交尾をしてしまう。いつでも交尾に快楽を覚えてしまう。どうして人の排卵は隠蔽されているのだろうか。
この本では、二つの説が紹介されている。「マイホームパパ説」と「たくさんの父親説」だ。
マイホームパパ説とは、父親に家に常にいてもらうように、いつでも交尾できるようになった、という説だ。男性は女性と違って、相手を受精させた後でも妊娠期間はない。男性はその期間に他の女性を探した方が、遺伝子伝達的には有利である。けれど女性からしたら、父親がいなくなっては食べ物に困るし、育児の世話が大変。だから父親が家にとどまるように、排卵を隠し、いつでも交尾ができるように進化したのではないか、というのだ。「いつでも交尾」というエサで父親を家にとどまらせている。
「たくさんの父親説」とは、誰が子どもの父親かわからなくする、という説だ。父親とは母親よりも、「その子が自分の子どもだ」という確信が薄い。だから母親よりも自分の子どもに対する執着心がない。逆に、この「もしかしたら向こうのあの子が、俺の遺伝子を引き継いだ子どもかもしれない」という疑いが、子殺しを抑制する要素になる。
ライオンのハーレムなんかを見るとわかるが、ライオンのオスはハーレムを乗っ取ると、それまでのオスの子どもを殺してしまう。そしてメスに自分の子どもを妊娠させる。母親にとっては自分の子どもを殺されて欲しくないので、この子殺しを封じるための手段が、排卵の隠蔽という進化なのだ。いつでも交尾できると思わせておいて、実際は誰の子どもなのかわからなくしておいて、「俺の子どもかもしれない」という疑念を父親に持たせ、子殺しを封じるのである。
警察官が扱うケンカやトラブル。その中でも夫婦間のケンカの原因になりやすい不倫について、進化生物学からの視点を紹介した。警察官と生物学者は同じものを眺めている。どちらも眺めているのは、自然淘汰という動物の営みである。「相手を倒して自分が有利に立ちたい、自分の遺伝子を残したい」という自然淘汰と同じ本能が、ケンカやトラブルの背景にはあるのだ。
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