諦める力 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー

2017.09.18 (月)

 

元トップアスリートによる人生論、という感じです。

 

 

題名の「諦める力」とは、もっと選択肢があっていいのではないか、という著者の考えから来ています。日本では、1つのことにまっしぐらに突き進むことが美学とされています。脇目も振らずに1つの目標に向かって突き進んで潔く散る。

 

 

ですが1つのことにこだわらず、他の選択肢も視野に入れてはどうかというのが著者が説いているところです。著者自身も、100メートルから400メートルハードルに種目を変えた過去があります。

 

 

「諦める」とは「明らめる」ということであり、自分の立ち位置や状況を客観的に把握するという意味もあります。自分にとっての目標とは何なのか。自分は何を成し遂げたいのか。手段は何であり、目標は何なのか。

 

 

そこを明らかにし、必要とあらば一心不乱に打ち込んで来たことを諦め、他の選択肢を探る。そこには世間が抱いている「諦める」に対するネガティブなイメージがあるのではなく、前向きに目標に向かって突き進むポジティブなイメージがあると、著者は説きます。

 

 

他にも本書には、元トップアスリート視点による人生論が多数、書かれています。

 

 

「夢は叶う」「努力が足りないから勝てない」「●●は僕の人生です」など、日本のスポーツ界には、人を惹きつける言葉が蔓延しています。オリンピックをはじめ、スポーツが報道される時は必ずこれらの言葉が取りざたされます。

 

 

お茶の間は選手にこれらの言葉や、これらの言葉に即したバックグラウンドを選手に期待し、選手も期待されているように振舞います。「ですが実際のところどうなのでしょう」というのが、著者の問題提起であり、著者の答えが本書には書かれています。

 

 

日本のお茶の間から美学のある振る舞いや言動を期待され、「アスリートならばこうである」という視線を受けてきた著者が、日本の社会に蔓延する、ある意味タブーを切ります。

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