怒りを放出するうまい表現方法について〜怒る技術

2020.05.04 (月)

 

無責任な「世間的な怒り」

例えばこの本では「世間的な怒り」という言葉が使われている。著者は「世間的な怒り」よりも「個人的な怒り」を学ぶべきだといっており、そのこと自体には共感はしないが、「世間的な怒り」に対する違和感は、僕も時々感じることがある。

 

 

人は他人に対する文句を言う時に、無責任にも「自分が怒っている」とは言わずに「世間が怒っている」ことにするのである。「怒る」ということの責任の所在を自分ではなく、実態のない「世間」にもっていくのである。

 

 

そうすることによって、「自分はあなたを不快に感じている」と伝えることに対するリスクを減らしている。けれど、それでは怒ることを十分にできないと思っている。僕は怒ることは完全に悪だと考えているが、本書を読むと怒ることは、相手に自分の思いや考えを伝えるという意味で有意義であるという。

 

 

が、その有意義であるというのは、個人的な怒りにおいてのみである。世間的な怒りによっては、自分の考えを十分に相手に伝えることができない。当事者が自分であることを隠そうとするからである。

 

 

たとえば僕は集合住宅に住んでいるのだが、職場にいて小学生の子どもが一人で留守番をしているときに、「大音量で音楽を聞いている」と苦情の電話を受けたことがある。近所の人が、音量を下げるようにインターホンを鳴らしたが、子どもはインターホンさえも聞こえないほどの音量で音楽を掛けていたらしい。

 

 

結局このときは、近所の人たちどうしで話し合った挙げ句、ベランダ越しに、部屋の中にいる子どもに、音量を下げるように注意して、音量を下げさせた。

 

 

その件を電話で聞いた僕は、「それは申し訳ない」と思って帰宅後に近所に謝罪に回ったことがあるが、どの人も「ウチは気にしなかったんだけど、他の人が気にしていて‥‥」と言うのだ。

 

 

面白いのは、結局どの近所の人も「言い出しっぺがウチ」であることを言わなかったことだ。この件に関わった人たち全員が「ウチは気にしなかったんだけど‥‥」というので、「だったら気にする人なんていなかったんじゃないか。迷惑を誰にも掛けていなかったんじゃないか」とも思ってしまった。

 

 

それがこの本で言う「世間的な怒り」なのだと思う。すぐに逃げられるように、自分の内面を見せず、表面的に感情を伝えるだけで終わらせてしまう「世間的な怒り」。自分に責任が来ないように、個人的な感情を世間の感情に置き換えてしまう技術である。これでは自分の本心を伝えていることにならない。

 

 

怒りにメリットがあるとすれば、本音で議論ができることだとは思うが、「世間的な怒り」では、本音の議論さえできないのだ。

 

 

怒りをコントロールする方法

怒りはどうしたらコントロールできるのか。それは発散することだとしている。著者曰く、怒りは自然である。人間が生物であるかぎり、怒りの感情から逃れることはできない。ムリに抑え込もうとすれば、怒りを放出できないストレスが蓄積されていく。

 

 

蓄積されて蓄積されて、ある日、我慢でき無くなる現象が、いわゆる「キレる」のようなもので、これは怒りのコントロールができない状態にある。

 

 

堤防が決壊するようなもので、抑えていた川の水が一気に溢れだす。もはや制御不能である。堤防の結界のようにならないためにも、徐々に水を抜いていく作業が必要だ。

 

 

本書の共感できる部分だけを参考にするが、怒りの放出は、文字に書くことでできると思っている。うまく言語化するのだ。そのためには、自分の素直な気持ちに向き合わなくてはならない。自分は何に怒っているのか。何が自分の心に怒りという名の波風を起こすのか。自分はどうしたいのか。どうすれば怒りが静まると考えているのか。

 

 

「美味しい冷凍食品は美味しさを急速冷凍して閉じ込める」というが、怒りを急速冷凍するのだ。急速冷凍技術は、言語化である。食品をすぐに食べる代わりに冷凍するように、怒りを相手に向かって発散させる代わりに、文字に書き記すのである。

 

 

ストア派のセネカに言わせれば、この言語化が、「怒りを理性で抑える」ということなのだと思う。著者は本書の中で怒りを肯定しているが、結局、言っていることは「感情を理性の統治下に置く」というセネカの主張と一緒だ。

 

 

怒りは相手にアウトプットしなければ、無くなることはない。発散させなければ無くなることはない。大事なのは、相手にぶつけることではなく、表現することなのだ。目の前にいる相手に話して伝えようとすると、語気が荒くなって、怒ることになってしまう。それよりも文字で書き記すほうが、僕は平和的だと思っている。

 

 

怒りは確かにモチベーションとしては素晴らしいものがある。とてつもないエネルギーを秘めている。けれど、この感情を相手に直接伝えてはトラブルの元になる。

 

 

だから文字にするのである。自分の考えが構築されていくし、「自分はこんなことで怒っているのか」と客観視できるようになる。そう考えると、怒りとかキレるのうまい解決方法は「言語化」ということになる。相手を傷つけない、うまく「怒り」の表現方法。それが言語化なのである。

 

 

 


 

 

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