あらゆる原因はウソっぱちだ〜哲学の教科書

2020.04.19 (日)

 

もしかしたら僕の解釈違いかもしれない。

 

 

もしかしたら、著者は別のことを言いたかったのであって、著者の真意は別にあるのかもしれない。けれど、僕はこのように解釈したのだ。

 

 

「哲学の教科書」という本である。この本の第三章に、こんなタイトルのトピックがあった。「因果関係という謎」。

 

 

よく哲学関係の本を開くと、「因果関係なんてウソっぱちだよ」という内容が出てくる。「原因と結果の関係なんて、時間的な前後の差でしかない。だから思い込みだよ」という話である。

 

 

このような内容を読む度に、僕はいまいち腑に落ちないでいた。「そうは言っても‥‥」という反論が、その都度わき上がって来ていたのだ。けれど今回、「哲学の教科書」を読んで、無事に腑に落とすことができた。飲み込むことができた。

 

 

たとえば、こんな交通事故を想定してみよう。「十字路交差点で、トラックが赤信号を直進して、横断歩道を青信号で歩行中の女の子を轢き殺してしまった」という物騒な想定である。

 

 

こんな交通事故があると、被害者のお母さんは嘆き悲しみ、警察に「事故の解明を」と依頼する。警察も警察で、事故の状況を捜査することになる。聞き込みだったり、ドライブレコーダーだったり、証拠品探しだったり、取り調べだったり。で、この交通事故がどんな状況で起きたのかを、できるだけ再現できるようにするのだ。

 

警察の捜査で、こんなことが解明されたとする。

1. トラックの運転手は、運転中にスマホを見ていて、赤信号を見逃していた。

2. トラック運転手の職場の上司が、急いで目的まで行くように支持していた。

3. トラック運転手は当時、家庭内不和で、精神的に不安定だった。

4. トラックは人を殺せるほどの速度性能を有していた。

5. トラック運転手のスマホは運転中も作動する仕組みだった。

 

 

これらは事故の原因である。ある特定の結果を引き起こす条件が原因だとした場合、これらは確かに原因だと言える。これらが一つでも欠けていたなら、結果は引き起こされなかったかもしれない。

 

 

けれど、被害者のお母さんがこれらの原因を全て受け入れられるかと言えば、そうではないはずだ。

 

 

例えば警察が記者会見してこの交通事故の原因として4番や5番を挙げたとしても、被害者のお母さんは納得できないだろう。被害者のお母さんが求めている交通事故の原因は、この中で言えば1番なのである。あるいは2番と3番も、交通事故の原因として被害者のお母さんが求めているものになり得るかもしれない。

 

 

結果に対する原因とは、いくつも挙げられるが、その中には納得できるものと納得できないものがあるのだ。

 

 

確かに被害者のお母さんからすれば4番は納得できない原因であるが、例えばトラックメーカーの社長からすれば、考えるに値する原因だろう。自社の商品をどうやって人殺しの道具でなくするかは、トラックメーカーの社長であれば気になる所だからである。

 

 

他にも、被害者のお母さんからすれば5番も納得できない原因であるが、スマホメーカーの社長からすれば、十分に自社の商品に活かせる原因である。

 

 

結果に対する原因とは、このように、人それぞれの立場によって違ってくるものなのである。皆んな、自分がわかる範囲、自分が関係する範囲でしか物事を見ることができない。よって、人が変われば見える風景も変わる。人が変われば、結果に対する原因も変わるものなのだ。

 

 

世の中には、膨大な数の結果が転がっている。どの現象も結果としてピックアップしようと思えばできるので、世の中のあらゆるものを結果とすることができる。そんな結果に対する原因を考えた場合、確かに原因というのは色々と考えられる。

 

 

先の例で言えば、僕は1番から5番まで原因を挙げてみた。けれど、この原因の中にも、納得できる原因と納得できない原因があるのだ。どうして納得できる原因と、納得できない原因があるのか。納得できる原因と、納得できない原因を分けるものは何なのか。

 

 

この「哲学の教科書」によれば、それは「個人的な思い込み」でしかないそうだ。

 

 

多分に僕の解釈が含まれているかもしれない。著者の真意は別にあるのかもしれない。けれど、僕はこんな風に受け取った。

 

 

結果に対する原因とは、極めて主観的なものなのだ。

 

 

原因なんていうと、いかにも客観的で、「誰が見てもそうなるもの」というイメージがあるが、じつはそうではない。見る人によってそれぞれ異なるものを見てしまうのが、原因である。

 

 

そもそも原因を追求しようとすること自体が、感情論になりやすい。

 

 

原因を追求しようとする行為は、嫌なことがあって初めて注目されるからだ。通常の流れからの逸脱があって初めて、「原因を追求しよう」となるのだ。予想通りのことが想定内で発生している限りは、原因を追求しようとは誰も思わない。

 

 

スポーツで自分のチームが勝っていれば安心して見ていられるが、負けはじめれば途端に「原因は何だ!」と気になるのである。

 

 

原因の追求とは、極めて個人的なものなのだ。

 

 

よくニュースなんかを見ていると、被害者が記者会見して「二度とこんな事故(事件)が起きないように、しっかりと原因を追求してほしい」なんて言う場面があるけれど、この「二度と起きないように‥‥」というのは、綺麗事でしかない。

 

 

こんな万人に通用するような、誰のためにもなりそうな理由は、原因を追求する理由としては不純なのだ。原因を追求する理由としては、極めて個人的なものこそが馴染みやすい。「腹の虫がおさまらない」とか「犯人を許せない」とか「自分はまだ納得できない」などは、純粋で馴染みやすい。

 

 

交通事故でもなんでも、誰が見ても納得する様な客観的な原因というものは存在しない。見る人が違えば、納得できる原因も違ってくるのである。

 

 

ある現象の結果に対する原因は無数にあるが、納得できる原因と納得できない原因がある。それを分けるのは、思い込みでしかないのだ。

 

 

 

 

 


 

 

 

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