お巡りさんと刑事の違い、それとヒエラルキー

2019.11.08 (金)

ドラマでこんな場面を見たことがないだろうか。

 

 

例えば殺害されたと思われる遺体が見つかった現場でのシーン。「立入禁止」の文字が書かれたテープが、そこら中に張られていて、現場の入り口には紺色の制服を着たお巡りさんが直立不動で立っている。このお巡りさんは、関係者以外の人が勝手に現場に入って、証拠が無くなったりしないように見張っているのだ。そこへ、後から刑事と呼ばれる私服姿の人間がやってくる。この刑事は、現場入り口に立っているお巡りさんに対し「おう、ご苦労さん」なんて言いながら片手をあげて、「立入禁止」テープを避けて現場に入っていく。その刑事に対して、お巡りさんは敬礼で挨拶を返す。そんな、よくありそうな場面だ。

 

 

とりあえずの前提として説明すると、刑事もお巡りさんも、警察官であることに変わりはない。どっちも同じ警察官である。何が違うのかというと、部署が違うのである。紺色の制服を着たお巡りさんは、地域課の警察官。それに対して刑事とは、刑事課の警察官である。

 

 

地域課の警察官は、交番にいたりパトカーでパトロールをしたり、地域に根ざした仕事をしている。事件や事故に対しても、初動捜査と言われる、動きをする。交番にいたりパトカーで回っていて、どこで発生するかもわからない事件や事故に対して対応しやすいので、とりあえず誰よりもいち早く現場に行って、初期の対応をとるのだ。現場保存をしたり、交通整理をしたり、目撃者を確保したり、状況を把握して無線で報告したり。

 

 

刑事課の警察官は、刑事事件を捜査して、捕まえた犯人を検事に引き継ぐ(送致する)のが仕事だ。現場に早く行かなくていいわけではないが、現場に早く着いた地域課の警察官から事件を引き継いで、犯人を捜す(捜査する)のだ。捜査する手前、動きやすい私服でいるのだ。地域課の警察官は、防犯を担ってもいるので、警察官の存在を周りにアピールできるよう、ひと目で「警察官だ」と分かるような制服を着ている。だが制服だと、動きづらい。遠くからでもすぐに「警察官だ」と分かるので、犯人がいたら逃げられてしまう。だから事件捜査をする刑事の警察官は、周りに溶け込んで行動がしやすい私服なのだ。

 

 

で、もちろん組織上は、どっちが偉くてどっちが偉くない、という違いはない。警察組織における上司部下の位置関係は、階級で決まる。地域課の警察官にも、巡査から警部くらいまでいるし、刑事課の警察官にも、巡査から警部くらいまでいる。もしも「偉さ」があるのなら、それを決めるのは階級のみだ。階級が上であれば、階級が下の者から見て上司になる。階級がしたであれば、上の者から見て部下になる。違いは部署による違いだ。野球とサッカーを比べるようなもので、どっちが上でも下でもない。

 

 

ただ、この「偉さに違いはない」というのは建前の話であって、実際にはヒエラルキーが存在する。スクールカーストなんて言葉が出てきて、目には見えない差を表す面白い言葉ではあるが、このカーストが警察組織内にもあるのだ。地域課の警察官と刑事課の警察官の間にもヒエラルキーはあって、おそらく日本全国どこの警察組織に置いても、刑事課が階層的に上で、地域課が階層的に下だろう。刑事課の警察官は地域課の警察官に対して下に見ることが多いし、地域課の警察官は刑事課の警察官に対して上に見ることが多い。

 

 

これは昭和の時代の古い価値観に根ざしていると思われる。昔は忙しい部署に配属されるのがステータスであり、そこで忙しくセコセコ働くのが、男にとっての、仕事人にとっての幸せだった。ステータス感の一つでもなければ、忙しくやっていられなかったのかもしれない。

 

 

地域課の警察官は地域化の警察官で、こち亀の「両津勘吉」のようなイメージがあるのだろう。「一日中遊んでいる」ようなイメージだ。

 

 

警察学校を卒業した後、初めは地域課に配属されるので、地域課には誰でもなれるが、そこから他の部署に行けるかどうかは、行ける人と行けない人がいる。そういう意味で、刑事課に配属されるとは、希少価値のあることかもしれない。けれど、警察官なら誰でも刑事に憧れるのかというと、そういうわけでもない。昭和の時代と違って価値観が多様化しているので、組織のためにセコセコ働くことに疑問を持っている人が出てきているのだ。そういう人は、わざと地域課に残ることを選んだりする。けれどやっぱり警察組織の中にいると、古いおっさんたちは「警察は刑事をやってなんぼ」みたいな雰囲気を出してくるので、地域課の警察官からすれば生きづらさはある。刑事課になると、古いおっさんから「今日からお前も刑事だ」みたいな発破をかけられて仕事をすることになる。そういうステータス感に敏感な人であれば刑事に行きたがるだろうし、警察官になる若者は、そういう古いステータス感に敏感な人が多いような気がする。いつまでも古い体質が残るのだ。

 

 

ここに、地域化の警察官と刑事課の警察官との間で、ヒエラルキーが生まれるのだ。実際には部署異動が頻繁に行われており、「刑事になればずっと刑事」なわけではない。地域課にも行くだろうし、その後でまた刑事課に行くこともある。当然、地域課経験の長い刑事課の警察官だっているし、刑事課経験の長い地域課の警察官だっている。「地域課を経験したことがない刑事課の警察官はいないが、刑事課を経験したことがない地域課の警察官は存在する」ということが、ドラマのワンシーンに見られるような「刑事>地域」というヒエラルキーを生み出しているのかもしれない。

 


 

 

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