見て すぐわかる犯罪地図 なぜ「あの場所」は犯罪を引き寄せるのか 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー
犯罪機会論を紹介する本です。犯罪機会論とは、「場所」に着目して犯罪を未然に防ぐ考えで、日本で誰しもが防犯と聞いて思い浮かべる、犯罪原因論とは別物であると著者は言います。
例えば防犯と聞くと、誰しもが「不審者を以前に見た」「あの犯罪者が人を連れ去った動機はなんだったのか」「あの人は悪い人に違いない。怪しい。」などの人に着目した防犯意識を持つと思います。
しかし、この人に着目した防犯意識は犯罪原因論と呼ばれるものであり、そこから防犯に繋げるのは非常に難しいものであると著者は説きます。
心の中を読むことは不可能に近いものであり、それが他人であればなおさらです。「どの人が犯罪をこれからしようとするか」を理解することは不可能に近いででしょう。
ですが犯罪とは、犯罪をしようとする人間が、犯罪をする機会に出会った時に起こるものだといいます。犯罪原因と犯罪機会が出会わなければ、犯罪は発生しないのです。そこで出てくるのが、犯罪機会論です。
「犯罪が発生する場所に着目し、犯罪の機会を奪い、犯罪の発生を抑えよう」という考えです。その要点は、犯罪は「見えにくい場所」と「入りやすい場所」で発生する、というものです。
犯罪を誰かに目撃されることなく達成できる、誰からも見られることなく対象に近づくことができる、気づかれることなく侵入できる、そのような「見えにくい場所」
怪しまれることなく対象に近づける、簡単に逃走ができる、侵入する際の障害物がない、そのような「入りやすい場所」
この2つを理解することが、犯罪を未然に防ぎ、子どもたちを犯罪者から守る突破口になるのです。
本書を読んで私は、「柵やフェンスの」方が、「塀や植え込み」よりも防犯に優れているのではないかと思いました。多くの個人宅や学校など、塀で敷地の周囲を囲んでいる場所が多くありますが、それでは外から塀の中を見ることができません。
塀は、確かに外から入りにくくはするものですが、同時に見えにくいものにしてしまっています。「入りにくい」と「見えやすい」を同時に満たす囲いとしては、金網フェンスがいいのではないかと思いました。
ですので、金網フェンスを普及する方法として、デザイン性の高い金網フェンスがあればいいのかなと思います。一般的に金網フェンスといえば、無機質で冷たい印象を持つものが多いのではないでしょうか。
暖かい人気が感じられる、しかもデザイン性のある金網フェンスにすれば、無機質で冷たい印象を与えることもないので、金網フェンスに対するハードルが下がるのではないでしょうか。
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