女性は男性が守るものという痴漢的解釈〜痴漢外来ー性犯罪と闘う科学

2020.11.19 (木)

 

面白いエピソードが載っていた。

 

 

男性と女性との、ジェンダーに対する意識の違いが表現されているエピソード。これを著者は、「性における男性中心主義」と呼んでいる。

 

 

日本の社会には二重の性差別があるという。1つは「法における男性中心主義」である。これは、法律が男性目線でつくられており、男性と女性が争った場合に男性に有利に働く、というものである。憲法では男女平等がうたわれているが、現実的な目線で見ると、決して男女は平等に扱われていない。

 

 

たとえば性的暴行である。性的暴行とは力関係もあって大抵の場合、男性から女性に対して行われるものである。けれど実際に被害を受けた女性が被害を訴えても、その訴えが認められるには相当な努力と精神的苦痛が伴うことになる。

 

 

というのも、実際にどんなことがあったのか被害の状況を逐一細かく説明しなければならないし、さらには被害に合う過程でどんな風に抵抗したのかを説明しなければならないからだ。

 

 

法治国家である限り状況を細かく説明しなければならないのは仕方ないとして、説明する相手が男性なのは、女性からすれば嫌がらせ以外の何物でもないだろう。

 

 

警察組織も8割は男性である。幹部ともなると、さらに男性の割合は大きくなる。しかも警察署や○○課や○○部など、各ピラミッドの頂点にいるのは男性なので、いくら被害者に対して女性警察職員が接しようと、その状況は男性上司に説明されることになる。

 

 

これは、男女の平等よりも上下関係を重んる風土の結果である。「いくら男女平等が叫ばれていようと、組織の上下関係までは越えられない」「いかに男女平等と言われていようと、組織のトップに男性がいる限りしょうがない」という考えである。

 

 

だから、いくら女性が性的被害を訴えても、それは最終的には男性の目を通さなければならないのだ。上下関係を重んじる組織では決裁がすべてだ。いくら下々の者がなんと言おうと、幹部が決裁印を押さなければことは前に進まない。

 

 

表向きなだけだろうと、実際のところも伴おうと、すべての決定者がトップなのが組織である。そんな「組織」において男性がトップにいることが当たり前になっていると、「男性なんだからしょうがないじゃないか」という風潮がジワジワと広がってしまう。

 

 

たとえば警察署内でセクハラ被害にあった女性がいたとして、被害にあった職員が直接相談する相手は女性上司であろうと、その後に結局は、男性幹部に話を通されることになる。この上限関係だけは崩せない。いくら被害にあったのが女性だろうと、それよりも上下関係が重んじられるのだ。トップに男性がいる限り「しょうがないこと」なのだ。

 

 

もう一つの「性における男性中心主義」とは、女性におしとやかさを求めるような風潮や、男性優位の主従関係を社会に求めてしまう風潮である。

 

 

著者はここで、かつて大学であったエピソードを紹介する。ある男子学生が「自分の彼女が性犯罪にあったら許せない」と力説したところ、女性陣から猛烈な反発にあったという。どうしてか。この男子学生の意図が「彼女の被害」が許せないということではなく、「自分の彼女の被害」が許せないということであったからだ。

 

 

一見同じようだけれど、微妙なニュアンスの違いを感じ取ってほしい。この男子学生の発言には、「自分の所有物への侵害は許せない」というニュアンスが含まれていたのだ。

 

 

面白いのは、この男子学生が、どうして自分が反発を受けたのかわかっていないところ。おそらくこの男子学生としては、自分の正義を主張したわけだから、賛同されるべきだと思ったのだろう。ところが降ってきたのは反発だったので、男子学生は理解できなかったのだ。

 

 

確かに僕たち男性は、女性に対して「守ってやらなければ」という気持を抱いている。実際そんなことをしていなくても、「本来であれば男性が女性を守ってやらねば」というような男性優位の解釈で見ている。こうした、男性優位の解釈が前提だという感じが発言ににじみ出た場合、僕はそれが偏った正義感なのだと思うのだ。

 

 

男性優位の解釈はいつの間には日常に浸透している。僕は小学校の時の出席番号が男子から始まっていたことが男性優位の目線によるものだと言われて驚いたことがある。何に対して驚いたのかと言うと、今まで気づかなかった自分に驚いたのだ。

 

 

確かに言われてみれば、小学校から中学校にかけて、出席番号とは男子から始まって、後から女子がくるものだった。今思えば不思議なことだけれど、当時の僕はそれを当たり前と思って疑わなかった。男子校の高校に進学して、大学に進学して。しばらく出席番号というものから遠ざかっていたけれど、大人になってから「最近の小学校では出席番号が男女混合なんだよ」と聞いて、「そう言えば」と、それまで気づかなかった自分を疑った。

 

 

男尊女卑、男性優位の解釈、女性を男性の所有物と見る風潮は、知らずしらずのうちに広がってたのだ。

 

 

根本の話をすれば、意識の奥底に根を張ったようなこの解釈が、性犯罪撲滅への目標になるのだろう。女性を男性よりも劣った存在として見る見方が、男性の女性に対する「これぐらい許される」という感覚を作っているのだ。

 

 

男子学生の例のように、男性自身でも気づいていないことが多く、この真の意味での男女平等が広がるには時間がかかるかもしれないが、事あるごとに自分を省みなければならない。「自分は男性優位の見方をしていないか」と。

 

 


 

 

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