まるで部活の体罰。犯罪に対する刑罰では目標にリンクしていない。プラスして治療という視点

2020.11.20 (金)

僕たちは犯罪に対する見方を変えるべきなのかもしれない。

 

 

原田隆之氏の「入門 犯罪心理学」「痴漢外来〜性犯罪と闘う科学」という本を読んでいる。読む前と読み始めは「犯罪がやめられないのは忍耐が無いから」「犯罪に手を染めるのは考えがないから」と、積極的に本人の責任ばかりを問うていたけれど、読み進めるうちに考えが変わってきた。なるほど、「刑罰にプラスして治療を」という考えを、僕たちはこれからは積極的に取り入れるべきなのかもしれない。

 

 

「5パーセント」

 

 

これは、性犯罪(刑法犯)の再犯率である。この数字には驚きだ。というのも、警察官をやっていると「性犯罪者は再犯率が高い」というのが当たり前に思えるからである。性犯罪者を捕まえる度に同じような犯歴を持っていることがあり、どうしても「またやってるな」と、「性犯罪の過去のある人間がまた同じように性犯罪を犯している」という目で見てしまう。

 

 

けれどデータを見せられると、それに抗うのが難しい。「わずか5パーセントしかないのか」というのが率直な意見である。

 

 

警察官ですらこうなのだ。普段、犯罪者と接している警察官ですら、そのカンや経験に誤りが出てくるのだ。いかに警察官のカンや経験というものが、自分の体験というごく僅かなデータに基づくものかということを暗示している。要するに「頼りにならない」ということだ。

 

 

著者は本の中で、常々「プラスして治療という考えを」ということを言っている。犯罪一般に言えることで、特に性犯罪について言えることだけれど、「依存症」という考えが必要なのだ。

 

 

何でもかんでも依存症で片付けてしまうつもりではないけれど、中には忍耐力や気合いだけで直るものではなくなっている。刑罰を与えるだけでは、犯罪を犯すことで分泌される快楽物質ドーパミンの働きは抑えられないのだ。

 

 

著者は認知行動療法による治療が必要だという。刑罰ばかりでは抑えられない。治療が必要なのだと。

 

 

ここで考えてほしいのは、「プラスして治療を」という考えだ。というのも、「犯罪者に対して刑罰でなく治療を」というと「そんなのは甘えだ」のような反発が予想されるからだ。著者の「プラスして治療を」をという考えは、犯罪に「病気」という視点を加える考えに基づいている。

 

 

すべての犯罪が、というわけではないが、診断基準を定めて「病気」という位置づけを行い、「治療を」という視点が必要だと著者は述べている。

 

 

僕たちは犯罪を病気と考えることに反発を覚える。「そんなのは甘えだろう」「病気といって責任を回避するつもりか」「病気のせいにするな」と文句を言いたくなる。

 

 

けれど、著者がのべているのは、あくまでも「プラスして治療を」である。その言葉は拡大解釈するものではなく、言葉のとおりに受け止めるべきだ。これまでの視点に加えて、治療が必要という考えも加えてはどうか、というのが著者の言わんとするところだ。

 

 

別に病気ということで、犯罪者本人の罪を軽くしようとする意図はないし、軽くなるものでもない。ただ、認知行動療法による診断も加える、ということを著者は言っている。犯罪によって人生を狂わされた被害者の視点はないがしろにされるものではない。犯罪は罪深いものだし、その罪深さはどんな事をしても消えるものではない。

 

 

ただ、刑罰のみによる対処は理にかなっていないのだ。部活や学校の体罰のようなものだ。「学力向上を」「部活での成績向上を」なんて声高に言いながら、やっていることはケツを叩くだけ。指導する立場にある者が、指導される立場にある者を布団を叩くように気合いを入れている。それでいて目指すところは、学力が強化され能力がアップされている姿である。

 

 

「そんなことでは結果は伴わない」と思うことをやっているのが、犯罪やそれに伴う刑罰の世界なのだ。

 

 

僕たちは犯罪のない世界に住みたいと思っている。犯罪者にはもう犯罪をしてほしくないと思っている。嫌な思いをする被害者が少なるなればと思っている。

 

 

であるならば、いい加減にケツを叩くだけのシステムを改めるべきだ。「犯罪者に罰を」と声高に叫び、罰を与えるだけで「もう犯罪はするなよ」と後は突き放す。それではまるで、学校や部活の体罰と一緒ではないか。やっていることと目指しているところがリンクしていない。理にかなっていない。手段と目標が繋がっていない。

 

 

もしも真に犯罪のない社会を望むので張れば、もしも本当に犯罪者に再犯してほしくないのであれば、もしも嫌な思いをする被害者を増やさないようにしたいのであれば、プラスして考えることが必要なのだ。何をプラスするのかと言うと、「病気」や「治療」という視点である。

 

 

これまでの認識は崩さなくていい。犯罪者本人の罪は軽くなるものではない。責任はなくなるものではない。ただ、プラスして「病気とか治療を」という視点が無くてはらならないのだ。

 

 

科学的とかデータというものを盲信するつもりではない。科学哲学の本を読むと、科学がいかに頼りないものかという考えを読むことができる。ただ、それでも人間の一人の主観や体験よりはマシなのではないか。

 

 

いくら警察官がカンや経験を頼りに社会を眺めたからと言って、所詮は「再犯率5パーセント」に驚く程度である。頼りになるものではない。科学やデータから見えてくる「病気」や「治療」という考えを、プラスして見ることが必要なのだ。

 

 


 

 

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