興味が拡散する。エニグマからアラン・チューリングへ〜暗号解読

2020.11.21 (土)

 

別の視点というのは、僕たちに面白みを与えてくれる。一般的に知られている視点とは一歩ずれた視点だ。

 

 

たとえばアマゾンで検索して見るだけで、歴史に対するオリジナルの視点を持った本が多数見つかる。「地図で読む世界史」「お金の流れでわかる世界の歴史」「影響と連鎖の全世界史」「名著で読む世界史」などというタイトルの本が、アマゾンでも見つかる。どれも学校で習った歴史にプラスして、著者独自の視点を加えてくれるに違いない。

 

 

「暗号解読」は、「暗号」という視点をもって歴史を見させてくれる。本書で「世界史」と呼べる歴史を通して網羅しているわけではないけれど、歴史の裏舞台で活躍する暗号とそれにまつわる天才たちの攻防が書かれており、面白く暗号という視点を頭に入れることができる。

 

 

古代ローマの時代には、カエサル暗号よ呼ばれる暗号があった。中世イギリスでは、スコットランドの王女メアリーが暗号を使ってイギリスの女王エリザベスの暗殺を企てた。第一次及び第二次世界大戦の時代には、ドイツ軍がエニグマという暗号作成機を使い、さらにはイギリス軍も暗号解読部隊を作ってエニグマを破った。

 

 

それぞれの時代の裏には、暗号という忍者のような存在があったのだ。そして、暗号の歴史とは、暗号作成者と暗号解読者の戦いの歴史でもあるという。

 

 

頻度分析というのを知っているだろうか。暗号を解読する際の古典的ツールである。それぞれ文字が他の文字に置き変えられているタイプの暗号の場合、この頻度分析というのが威力を発揮する。9世紀のイスラム世界にはあったらしい。

 

 

僕たちは毎日文章を書いて、毎日文書を読んでいるけれど、50文字ほどある日本語の文字のすべてをくまなく使っているというわけではない。頻繁に使う文字と、それとは逆にめったに使わない文字がある。

 

 

たとえばあるサイトによると、日本語では平仮名でよく使われる文字は「い」で、8パーセントだという。その他にも「ん」と「か」と「し」が6パーセント。逆に使われない文字は「ー」の0.6パーセント、「む」の0.5パーセント、「へ」の0.5パーセント、「ぬ」の0.1パーセントだという。

 

 

そういえば警察官をやっていたころ、交通切符を切る時に、切符に車のナンバーを書くのだけれど、「ぬ」とか「む」という文字を書こうとすると書き慣れない感覚があった。使用頻度の低い文字を書こうとすると、ペンを持つ指がいまいちスムーズに動かないものである。

 

 

で、この使用される頻度を暗号解読に利用するのだ。文字がそれぞれ別の文字に変わっていても、頻繁に出てくる文字は決まっているのだ。たとえば暗号文の中で「ま」という文字が頻繁に出てくるとなると、「もしかしてその『ま』は、使用頻度の高い『い』なのではないか」という見方が出てくる。さらには「暗号文の中でその次に頻繁に出てくる『と』という文字は、もしかして『ん』ではないか」とか。

 

 

そうやって頻度分析を使って、暗号文を問いていくのだ。暗号文は、何か1つがわかるとその他も次々とわかってくることが多いという。小学生の時にやった算数の虫食い算でも、どこかがわかると釣られて別の箇所もわかってくる、というのがあった。1つ判明すればそれがきっかけになって、まるで橋が倒壊するときのように連続的に謎が崩れるものかもしれない。

 

 

それと、この本ではエニグマのところが面白かった。つられて「イミテーション・ゲーム」という映画をアマゾンプライムで見てしまったほど。

 

 

第二次世界対戦時の話。ドイツではエニグマという暗号作成装置を使って通信していた。地球を飛び交う通信。その通信には「どこに〇〇を展開しろ」とか「いつまでに〇〇を補給しろ」なんていう作戦の詳細が込められている。もしも相手国の通信の知ることができれば、自国は戦争を優位に進めることができる。

 

 

イギリス軍にあった暗号解読部隊。ドイツの暗号通信を解読するために集められた者たち。というか「イミテーション・ゲーム」は、その中のアラン・チューリングという人物のヒューマン・ドラマである。

 

 

アラン・チューリングの人間性、人生、功績が面白くて、この「暗号解読」から数学史に興味が広がった。現代コンピュータがどうやって作られたのか、どういう考えに基づくものなのか、どういう天才たちが作ったのか、彼らの人生はどんなものだったのか。そっちの方にも興味が拡散した。

 

 

天才的な頭脳の持ち主で、だけど最後は青酸カリを塗ったリンゴをかじって自殺した人生。エニグマ解読という偉業を成し遂げているにもかかわらず、イギリス軍の極秘任務のために表向きには「なんの貢献もしていない」というレッテルを張られた仕事ぶり。マラソンも得意だったけれど、同性愛者であるがゆえに迫害を受け続けた日常。それがアラン・チューリング。

 

 

アラン・チューリングに興味が伸びたことが、この本を読んで一番の収穫だったかもしれない。

 

 

というわけで暗号解読。「フェルマーの最終定理」「宇宙創生」「代替医療解剖」に次ぐ、僕にとっては最後のサイモン・シンだった。相変わらずの科学の面白さである。

 

 


 

 

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