主人公とネジの差が、エンタメをとおして見る警察と現実の警察の違いである

2020.07.29 (水)

漫画デスノートを読んでいるのだけれど、デスノートには警察組織が描かれている。

 

 

主人公の夜神月(やがみ らいと)の父親はキラを追う捜査本部の長であり、夜神月の周囲には常に警察の目がある。そんな監視されているような中で、夜神月はキラとして行動する。捜査本部を影で指揮しているエルと夜神月の推理対決が、この本の見所だ。

 

 

この本はたしかに面白い。絵もきれいだし、ストーリーも早く続きを読みたくなるくらいだ。全12巻なので、手に取りやすくもある。

 

 

ただ、この漫画に描かれている警察組織は、本当の警察とは異質のものである。決定的に違う。けれど、この警察組織の描写の間違いは、他のエンタメ作品でも見られるものである。警察を描いたドラマ、あるいは警察が関係している小説。すべての警察関係の作品に共通して見られる間違いだ。

 

 

あるいは、ドラマ、小説、漫画、アニメといったものは、警察をそのように描くしか無いのかもしれない。これらの媒介をとおして警察を見ようとすると、どうしてもそのように描くしかないのかもしれない。

 

 

それは、「個人」と「その他大勢」の違いだ。

 

 

 

デスノートもそうだけど、警察組織を題材にしたエンタメ作品を見たり読んだりしていると、どうも個人の推理など、勝手に物事を進められるように描かれている。テレビドラマの刑事モノなんて、まさにそうだろう。古畑任三郎もそうだったけど、個人がどんどん推理を進めていく。自分で思いついて、自分で行動して、自分で犯人に接触して。

 

 

漫画、アニメ、ドラマ、小説といったものは、主人公がいるし、スポットライトを浴びるべき少数のグループがいるので、こういう描かれ方をせざるを得ないのだろう。エンタメの中で警察組織全体にくまなくスポットライトを当てたら一人ひとりの影が薄くなるので、主人公はいなくなり、見ている側にとっては面白くもなんともなくなる。主人公のいない作品なんて聞いたことがない。「主人公」という一人をつくって、そこを中心に物語が進んでいくのがエンタメだ。

 

 

じゃあ実際の警察組織はどうなのかというの、一人にスポットライトが当たることは決してない。「自分」という存在は常に組織の歯車だし、数百あるいは数千あるネジの中の1つである。

 

 

現実の警察組織の中にいると、自分という個人はどんどん薄くなっていく。警察の根本である「悪をくじき、正義を実現する」という理念は、人間関係の中でどんどん後回しになっていき、誰もが自分の人生優先で生きるようになる。

 

 

捜査にしろ何にしろ、多くの人間と一緒に仕事をしているので、自分ひとりでできる範囲などたかが知れている。自分一人でできる範囲に仕事を絞ろうとしても、その他の部分は他人にやってもらわなければならないので、自分ひとりで仕事をしようとすればするほど他人を頼るようになる。

 

 

実際の警察とエンタメをとおして見る警察との違いは、この個人で動けるのか、それとも個人で動けないのか、の違いである。

 

 

警察以外の人間は、警察を見ようとすると、エンタメをとおして見ざるを得ない。警察以外のいわゆる一般人は警察との接点がないため、警察のイメージをエンタメをとおして見たものに隔たりがちである。

 

 

エンタメも引きが強いので、人々はエンタメをとおして見た警察の姿こそが、現実の警察組織だと勘違いしやすい。ここに勘違いが生まれる。

 

 

エンタメを見て、あるいはエンタメから影響を受けて「警察官になろう」とする人間が実際の警察に入って首をかしげる一番の違和感は、この「個人にスポットライトが当たらない」感なのだ。

 

 

エンタメで描かれている刑事や警察に憧れる人は、おそらく個人で探偵でも始めた方がいい。漫画、アニメ、小説、ドラマで描かれている刑事象あるいは警察象は、探偵に近い。警察をやっていると組織で動かざるを得ない。組織人にならざるを得ない。その他大勢の中に埋もれなくてはならない。

 

 

もしも「『自分』が事件を解決する」とか「『自分』が正義を実現する」とか「『自分』が悪を倒す」というのなら、それは探偵にでもなった方が、イメージに近いだろう。もっとも、探偵といってもそっちだって組織の中の一人になるのかもしれないけど。

 

 

そう考えると、エンタメをとおして見た職業感っていうのは、勘違いを生み出しやすいものなのだ。面白さを生み出し、読者をつかむ為に主人公を作らなければならないエンタメ。それに対して決して一人ひとりが主人公にはなりえない現実。

 

 

それがわかった途端、自分っていう存在がとても小さいものに思えて、喪失感が出てくるのかもしれない。個人でできる仕事をしようとしている人は、「エンタメをとおして職業を見た際のヒーロー感」なんてものを、職業に反映させようとしている表れなのかも。

 

 

でも人生なんて、所詮は自己中なもので、「客観だ、客観だ」とは言いながら主観から逃れることはできない。そう考えると、いかに自分にスポットライトを当てるかが、人生の進んでいく方向だと考えることもできる。その他大勢から自分を切り分け、確固とした輪郭を引っ張る作業。

 

 

「自分にスポットライトは当たっていない。自分はネジの1つでしか無い」という喪失感は始まりであって、ここからスポットライトをいかに自分の方に持ってくるかが、人生と言える。

 

 

エンタメの中の警察と、現実の警察の違い、という話でした。

 


 

 

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