英語の話し方 〜 非行や子育てについて考えるためのブックレビュー
子どもと英語は切っても切れない関係です。子どもを考えると教育が浮かび、教育を考えると英語というジャンルが思い浮かびます。
「子どもに英語をどうやって教えたらいいんだろう」と悩やむ人は多いと思います。私も「どうやったら効率的に、子どもが英語を勉強できるんだろう」「身近な英語勉強ツールはなんだろう」「嫌いにならず、英語になじみを持ってくれるには」などと考えます。
が、本書のまえがきで著者は、英語に近道はないと断じています。
「ところが、不思議なことに外国語となると、まあ、私たち日本人にとっては多くの場合英語ですが、練習が必要だという当たり前のことにきづいていないというか、気付いていても頑固に認めたがらない人が多いですね。」
「ところが、英語となると錯覚する人が続出します。「自然に」を「努力しているようには見えないで」と解釈している間はまだよろしいのですが、それを結果ではなく、プロセスにあてはめて「努力せずに」となると、ストンと落とし穴にはまってしまいます。
逆立ちは、自然には出来ません。外国語としての英語もごく特殊な例外をのぞいて自然には出来ません。」
世間には、英語を「努力せずにモノにできる」とでも言うようなうたい文句の英語教材が出回っていますが、「何事も努力せずにモノにできるものはなく、英語も例外ではない。楽して英語を身につけられるわけがない。」というのが、著者のスタンスです。
英語の勉強法として、第1章で著者は繰り返し朗読することを勧めています。何回も何回も繰り返しです。それも難解な英語ではなく、自身でもわかるようなレベルの英語をです。
その理由として、
1 直読直解が可能になる
英語をひたすら音読することによって、英語の語順どおりに意味を取っていくという思考パターンが脳の中に深く刻まれます。
2 有意義な多読が可能になる
英語の勉強では、精読したものを繰り返し音読して身につけて初めて、多読が意味を持ちます。
3 自分が必要とする英会話表現を、いろいろな媒体から取り込む力がつく
基礎的な英語の「磁石」が頭の中にあれば、自分のニーズに関係ある表現を見聞きした時、すぐさまその場で吸収できます。
4 英作文の力が会話力になる
いくら頭で見事な英語を作れても、出力器官の口が自由に使えなくては、会話力にはなりません。
5 難しい英語に取り組む力がつく
中学程度だけでも音読し、習熟度を極限までたかめておくことが大切です。
をあげています。
本書全体をとおして非常に丁寧な日本語で書かれており、おそらく著者の人柄を現すものなのだと思います。とても昭和の香りのする日本語の言い回しで書かれており、そのあたりも興味を持って本書を読める理由です。
英語教育を考える上での一助になる本です。
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