遠藤周作の今風な人生テーマ。オーソリティーよりもマイノリティー
「日本人でありながらキリスト教徒である矛盾」
これは遠藤周作の人生のテーマらしい(ウィキペディア参照)
なるほど、これは面白い。おそらく遠藤周作は、自分がキリスト教徒としては不完全だと考えていたのだろう。キリスト教の本場はヨーロッパ。アジアの極東である日本に生まれた遠藤周作には、それがウィークポイントだったのだ。葛藤だったのだ。
どうあがいても本物にはなれない。
どう背伸びしても届かない「アジア人である」という出生に、卑屈感を持っていたのだと思う。
で、僕はこの感情を、とても今風だと思っている。大きなストーリーよりも小さなストーリーを好む源田には、この偽物感(言い過ぎた表現かもしれないけれど)が受け入れられるのではないかと思っている。
今世の中は、大きいものよりも小さいものに興味をもつ人間が増えている。ゴレンジャーで言えば、アカレンジャーよりもキレンジャーといった具合だ。誰もが欲しがるような目立つ存在よりも、誰も欲しがらないところに目を向けられることがカッコいいと思われているのだ。
大きな会社に勤めて、給料をたくさんもらって、高価な家に住んで、かっこいい車を所有して。そんな価値観やライフスタイルが前時代的だと思われている。大きな会社よりも、個人で隅にまでてが届くよう個人事業主。給料をたくさんもらうよりも、好きなことを第一と考える仕事感。家は購入よりも賃貸。車はカッコよさよりも実用性、さらにそれよりも所有しない。そんなライフスタイルがジワジワと勢力を広げている。
これは、完全なものよりも不完全であることにカッコよさを見出す価値観だと思う。いかにして不完全なままで生きていくかだ。
一般的にはプロであった方がうまくいきやすいのだろうけれど、プロだとガチなようでかっこ悪い。アマチュアとしての自分に、他との違いを見出す方法だ。
起業よりも副業がカッコいいとされている。10年くらい前は起業がカッコいいと目されていた。だけど、結局は起業もどこか前時代的な価値観になってしまった。別に起業する人が悪いとは思わないし、起業する人の能力が低いとは思わない。けれど起業に対して「頭のいい」とか「金持ち」なんかの完全感がつきまとってしまって、不完全感がなくなってしまったのではないかと思う。
僕は今の時代を不完全が好まれる時代だと思う。うまく適切な言葉が見つからないまま書いているけれど、中途半端が好まれる、のようなニュアンスだ。
アカレンジャーよりもキレンジャー
起業よりも副業
束縛よりも自由
会社役員よりもフリーター
プロよりもアマチュア
大きいよりも小さい
長いよりも短い
高価よりも実用性
重いよりも軽い
オーソリティーよりもマイノリティー
購入よりも賃貸
一番かどうかよりも相違点があるかどうか
メジャーよりもマイナー
物持ちよりもミニマリスト
車よりも自転車
一生動かないよりも柔軟に対応できる身軽さ
そんな完全よりも不完全のような中途半端さを、僕は遠藤周作の「日本人でありながらキリスト教徒である矛盾」という人生のテーマに感じるのだ。
完全よりも不完全を求める、というのは難しい。というのも、世の中を見る時に僕たち人間は、不完全な方向から完全な方向を見るようにできているからだ。小さい部屋に住めば「もっと大きな部屋に住みたい」と考える。いくらかばかりの給料を得られるようになれば「もっとたくさんの給料を得られるようになりたい」と考える。会社に入れば「もっと自分の立場を上げたい」と考える。乗り物に乗っている時に進む先を見つめるように、僕たちは完全を求めて生きている。
けど完全を求める気持というは自然であるのと同時に、どこか「欲に従順」のようなイメージがある。ちょうど「お金持ちはあった方がいいけれど、お金持ちはイメージが悪い」のような感じ。でもって、皆んながやっていることなので、自分を持っていないようでかっこ悪い。「自分はどうしたいか」を考えていないようで思慮深さがない。
今の時代は、皆んなが求めるカッコよさよりも自分だけのカッコよさを求める時代だ。つまり、メジャーよりもマイナーが好まれる。マイナーを突き詰めるのは。メジャーを求めるのよりも難しい。メジャーというのは、行き先が決まっている。目的地が決まっている。「何処で降りたらいいか。下車したらいいか」が決まっている。皆んながそれを欲しがるから。
けれどマイナーというのは行き先が決まっていない。「行き先は自分で決めてください」といスタンスが、マイナーにつきまとう運命だ。目的地が決まっておらず、「何処で降りたらいいか。下車したらいいか」すら自分で決めなくてはならない。
それはそうだ。人間が何も考えなくても突き進んでいく先が、メジャーであり、オーソリティーであり、所有の方向だ。深く考えず、自然に身を任せていれば、そこに目がいってしまうのが人間のサガだ。
そんな人間のサガに逆らうのが、マイナーであり、マイノリティーであり、賃貸の方向だ。答えは自分で決めなければならない。そのために自分で考えなければならない。完全よりも不完全。
遠藤周作の人生のテーマを読んで、そんな現代っぽさを感じた。
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