自己の確立が幸福感をうながす〜もういちど読む山川倫理

2020.02.17 (月)

 

 

大部分は西洋哲学史と日本の思想史、それと少しだけ諸子百家と三大宗教の始まりが載っている。どの分野も広く浅くではあるが、教科書をベースにしているだけあって、わかりやすく重みのある文章である。

 

 

序章が素晴らしい。以下、「」内は序章プロローグの抜粋。

 

 

「日常生活の中で、ふと、自分は何のために生きているのあろうか、自分はこれでよいのだろうか、これから自分はどうなるのだろうかという、さまざまな自己への問いかけが生まれることがある。私たちは、このような心にわきあがる問に対して、自分なりの答えを見つけ出そうとする。そのような試みの一つが倫理、すなわち人間の生きる道筋を考えることである。人間は生きている限り、自己の生き方を問いかけ、倫理を模索し続ける存在といえるかもしれない」(本文より引用)

 

 

人生はうまくいっているときは対象に没頭してしまい、没頭している対象以外が見えなくなってしまうけど、うまくいかなくなると「自分の人生はこれでいいのか」ということを考えてしまう。おそらく人とはそういうもので、自分の理想と現実が合わなくなってきているときに、こんな根本的な問いが湧き上がってくるものなのだろう。僕も仕事がうまく行かなかった時、それと、仕事はうまくいっていたけれど子どもが生まれた直後なんかに、こんな根本的な問いに直面した。

 

 

たとえ仕事がうまくいっていたとしても、子どもが生まれたことによって人生観が変わり、理想も変わった。子どもが生まれる前の感覚でいえば、仕事がうまくいっている感覚はあったのだけど、子どもが生まれたことによって人生に対して求めるものが変わった。それまでは自分のことだけ見て自分の幸せを追求すればよかったのが、子どものことを見て子どもの幸せを追求するようになり、その結果、見る世界が変わったのだ。理想が変わったのだ。

 

 

僕も今、抗(あらが)っている。この抗いは一筋縄ではいかない。人生を賭けた抗いである。何に対して抗っているのかというと、「自分の程度に対して」である。自分はこれまでの人生での積み重ねの結果、今の人生を生きるに至っている。今までの人生での積み重ねと、現在の自分の位置はイコールだ。

 

 

が、僕は現実の人生に満足していない。本当なら過去を変えて、これまでの積み重ねを変えられれば一番いいのだ。今までと違う人生をもう一度歩んで、将来を見据えて戦略的に人生を進められれば一番いいのだ。

 

 

けど現実的にそんなことはできない。これまでの積み重ねを変えることはできない。なのに今、目の前に広がっている世界を変えたいと思っている。これまでの積み重ねがあるから、今の目の前の景色なのに。これまでの積み重ねの結果、イコールとして目の前の風景があるのだというのに。

 

 

それは、料理を作った過程があるにも関わらず、出来上がった結果としての料理を変えようとしているようなものだ。カレーを作ろうとして、カレーを目指して料理を作ってきたにもかかわらず、出来上がった料理にカレー以上のものを求めるようなものである。

 

 

人参を切って、じゃがいもを切って、ためネギを切って。それらと肉を鍋に入れて煮て、最後にカレールーを入れたにもかかわらず、カレー以上の料理を求めるようなものである。過程の結果として出てきたものに、それ以上のものを求めているのだ。

 

 

だから、抗うという言葉がふさわしいと思っている。自分の程度、自分が置かれた立場、自分の人生そのものに抵抗して、違う結果を、それ以上のものを求めているのだ。

 

 

「地球には、今まで無数ともいえる多様な生物が生まれてきた。その中で私たち人類は、あるときから命の神秘と価値に目覚め、命を守り、成長させることが善であり、命を傷つけ、破壊することは悪であることを知った。人類だけが倫理や道徳という文化をもつことは、命の価値を自覚できる唯一の生きものとして、命への責任のあらわれといえよう。それはまた、命を生み、育てる奇跡的な地球の自然への畏敬の念にもつながる。倫理を始め、哲学・宗教・芸術などの文化が生まれた根源は、そのような人類の命への目覚めや、自然への畏敬にあるといえよう。倫理はあたえられた命の重さをかみしめ、命を生み出した自然への畏敬の念をあらたにすることでもあるだろう」(本文より引用)

 

 

抗っているのはいえ、「抗うことに何の意味があるのだろう」とも思う。別に抗わなくてもいいのではないか。別に無理して背伸びをしようとしなくてもいいのではないか。だって、人という種は僕一人ではないのだ。僕は地球という星の中の、何億人という人びと、そして数え切れないほどの生物の中の一つでしか無いのだ。

 

 

僕が抗ったところで世界は変わらないだろうし、僕が抗っていることに誰も気づかないだろうし、何の影響も無いだろう。波すら立たない。僕の力は本当に微々たるものでしかない。抗いたいが、抗いに対する抵抗も半端ないし、抗い自体が意味あるものなのかどうかも怪しい。

 

 

抗うことに意味なんかないのではないか。抗ったところで、他の人に何かしら影響を及ぼせるのか。ケガ人を助け、病人を安堵させるような、正の影響を誰かに与える事ができるのだろうか。たとえ僕が頑張って波を起こしたところで、それでも世界は僕に関係なく回っていくだけではないのか。

 

 

「私たちは、このような人類の精神が目覚める歩みの中に生きている。それは自己とは何か、人間とは何か、人生とは何かを問い続ける長い心の旅である。その度の道しるべとして、先人たちのさまざまな思想について学んでみよう」(本文より引用)

 

 

こんな中で、他の人たちはどう考えているのだろう。人生に迷ったとき、失敗に直面してるとき、子どもができたりして価値観が変わってしまったとき。先人たちはそのような時に、何を考え、何を思い、何を夢見て生きていったのだろう。ただひたすらの、自分の夢だろうか。それとも社会全体を見て公共の利益を追求したのだろうか。人生の道標として、迷った時に歩を進めるブースターとして、先人たちの思想に触れるのも悪くないだろう。

 

 

 

 

 


 

 

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