悩み苦しんでいる時に、人はもっとも幸せになれる〜フェルマーの最終定理
「人は、悩み苦しんでいる時に、もっとも幸せになれる」
そんなことを感じる本でした。数学を紹介する上で、数学を人に勧める上で、その人を洗脳するのに一番効果的な方法は、「フェルマーの最終定理」について話をすることかもしれません。フェルマーの最終定理とは、17世紀のフランスの数学者、ピエール・ド・フェルマーによって予想された数学の定理です。一見、簡単そうに見える定理、これが真であることを証明せよ、というです。300年近くも証明されることのなかった定理です。多くの数学者がこの定理の証明に挑みましたが、ずっと証明されなかったのです。
このフェルマーの最終定理ってのは、とても難しいパズルなので、そっとやちょっとの努力では証明することができません。また、フェルマーのメモ書きのようなもので「この定理の驚くべき証明を私は知っているが、それを書くにはこの余白は狭すぎる」なんて書かれていただけなので、本当に証明することができるのか、ただのフェルマーの勘違いではないのか、あるいはいたずらのようなトラップではないのか、なんて思うのも普通だと思うのですが、それでも著名な数学者たちが、この定理を証明しようと年月をかけてきたのです。
で、舞台は17世紀から20世紀にかけてなのですが、この時代というのは安穏とした時代ではありません。ヨーロッパにしてみれば暗黒時代です。奇妙なことをやっていればすぐに「魔女だ」なんて言われて、火あぶりにされて殺されてしまうような時代です。その中で多くの人が、この数学という分かる人にしか分からない分野に命をかけてきました。
中でも、女性数学者たちがこれを証明しようとしたってのが凄かったですね。「女性は数学なんかしないで」、それどころか「勉強なんかしないで……」と言われていた時代です。今でいうアフリカ大陸の未開の地で行われ地得るような女性差別が、ヨーロッパで当たり前に行われていた時代です。中には、男装をしてまで数学を学び、フェルマーの最終定理の証明に一役買った数学者もいたそうです。で、その数学者は、火あぶりにされて処刑されてしまったと。確か、「貝殻で生きたまま肉をこそぎ取られ、火あぶりにされた」ようなことが書かれていました。
それに、このフェルマーの最終定理は難しいので、挑戦するのはいいんですけど、自分の数学者としてのキャリアを捨てることになります。できるかどうか分からない、完成するかどうか分からないパズルを生涯するよりも、もっとキャリアに役立つものを選択すれば、彼らの人生はもっといい方向に向かうはずです。
ですが、それでも歴史上の数学者たちは、立ち向かわずにはいられなかったようです。たとえ自分が証明することができないとしても、挑戦せずにはいられなかったのです。
でも、こういう自分の一生を向けられる、挑戦できる「何か」があるっていはいいことだと思うんです。この上ない「幸福」です。というのも皆、自分なりのその「何か」が分からないでいるのですから。歴史上の数学者は、自分のキャリアと最終定理を天秤にかけて、どっちをするべきか悩んだのだと思います。この定理の証明以外にも、やるべきことがあっただろうと思います。おそらく悩んだことでしょう。「そこまでこの最終定理にこだわるの?」なんて疑問もあったことでしょう。
けれど多くの人が、この最終定理から逃れることができなかったのです。悩み、苦しんだ末の、最終定理に人生を賭ける、ということの選択です。
おそらく、この「悩む」とか「苦しむ」ってのは、正しい選択なのでしょう。なぜなら、一生懸命やっていることについて回るものですから。一生懸命やっていれば、それは何であれ、悩んだり苦しんだりすることになるでしょう。一生懸命するわけですから、自分の限界を知ることになるし、「道が閉ざされた」と悲しくなる時もあるでしょう。それでも、悩み、苦しんで前に進むから、そこに輝きが生まれるのです。
そこがいばらの道だから、簡単には通れない道だから、自分の限界を超えて考え、苦しみ、悩まなければならない。そんな状態で、それでも前に進もうとするから、必死になるのです。それゆえに、そのストーリーには人を惹きつけるものが宿るのでしょう。
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