法律ではない、正義の基準について
正義とは何か、というのをよく考えます。法律を守らせる仕事、法律を破る人を罰する仕事をしていた時から、よく考えていました。正義とは何か。それが法律ではないことだけは確かです。法律は画一的で、全ての人にあまねく優しい手を差し伸べるわけではありません。不平等であることは前提で付き合わねばならないのが、法律です。
法律が全てではない。だから、法律を破っても許される場合があります。法律を破っても、「それはしょうがないな」と思える時があります。でも、法律を破られたことに対して憤りを感じる時もあります。で、その基準はどこなんだろう、ということです。法律を破っても「しょうがない」と感じる時もあれば、法律を破られて「これは罰しなけれ」と感じる時もあります。同じように法律を破っているのに、その違いはどこから出てくるのかと思うんです。
基準が法律でないことは確か。ではその基準とは何なのか。私はそれは、「深く考えているかどうか」だと思うんです。深く考えた末の言動なのか、です。たとえ明らかな法律違反をしたとしても、その言動が深く考えた末の行動であり、十分に悩んで、それでもその言動を止めるには至らなかったのであれば、そこに正義があるのだと思います。なので正義とは、深く考えているか、ということになります。
たとえば、ニュースで人目をひく事件に殺人事件があります。これは、全てが全て、悪の行為でしょうか。確かに考えもなしに、いっときの感情に駆られて、過ちを犯すような殺人は悪であり、非難されるべきです。そこに正義はありません。
ですが、もしそれが考えて考えて、悩んで悩んで、頭をフル回転させて、やった後のことをリアルに想像して、「やるのとやらないの」のどっちがいいのかで目一杯に頭を抱えて、リスクも全て理解した上で、それでもなお、避けられないのなら、ストップという考えに至ることができないのなら、その行為に正義が存在すると思うんです。
ニュースを見ていても、決して皆んなが、何の考えもなしに人殺しをしているわけではないですよね。悩んでいるんですよ、皆んな。外から我々が想像したのでは想像しきれないほど。当の本人出なければ分からない痛みをその身に浴びて、切り刻まれるほどに、苦しんでいるんです。その上での犯行もあるんです。
そういう犯行は、やってもしょうがないと思うんですよね。正当防衛とか緊急避難とか、そんな簡単なケースでは無く。
まあ、「一番悪どい犯罪でも、正義がある場合がある」というのを言いたかったので殺人なんてのを例にあげましたが、決してそれを正当しようとしているのではありません。あくまでも例です。
なぜ考えて、悩むことが正義なのか。というのも、一生懸命やっている証しだと思うんですよ。悩んだり考えたりするのって。多くの抵抗があって、それでも前に進まなきゃなくて。迷ったり悩んだりするのって、ただただひたすらであることの証明だと思うんです。一生懸命するのって、一番つらいけれど、一番伸びる時でもある。抵抗があるなか進むのは、確かにつらいです。けれど、抵抗があってもなお進もうとしているならば、その抵抗は全て力に変わります。
抵抗があった方が筋肉がつくのと同じです。軽く筋トレするのと、負荷を大きくして筋トレするのでは、筋肉のつき方が違いますよね。一生懸命であることは、結構、何よりも尊いと思うんです。よく馬鹿にされがちじゃないですか。一生懸命って。「なにバカなことやってるの?」「なに必死になってるの?」「なに無駄なことやってるの?」って。そんな声が聞こえてくるんです。心が折れそうになる。けれど、それでもなお前に進もうとする姿は、美しいんですよね。
そんな一生懸命さが伝わるから、悩むこと、迷うこと、考えることは、尊いんです。故に、そこには正義がある。一般的に非行と言われる、深夜徘徊、コンビニでのたむろ、暴力行為、など。一概に責められるものではない。もしその非行が、一生懸命考えた末でのものなら、悩んで迷った末のものであるのなら、たとえ警察に捕まったとしても、そこには正義があるのだと思います。それは本人にしか、分からない正義です。他の人が知る必要はない。本人だけが分かっていればいい、正義です。そんな正義は、周りからたとえ非難されたとしても、胸を張るべきなんです。
「素直さ」を考えるセミナーを定期的に開催しています。スケジュール・詳細はこちらをご覧ください。
自己中が思いやりに、
生真面目が寛容に、
怒りっぽさが優しさに、
そして非行が素直に変わります。
心よりお待ちしております。
[contact-form-7 id=”10255″ title=”セミナー申込みフォーム”]
30分の無料相談を承っています。子ども、非行、犯罪、警察対応、などのキーワードで気になりましたらご利用ください。基本はウェブ会議アプリを使ってのオンラインですが、電話や面談も対応できます。
モヤモヤ状態のあなたが、イキイキとする無料相談です。次の一歩を踏み出すために、お気軽にお問い合わせください。
下記お問い合わせフォームで「相談希望」である旨をお知らせ下さい。
[contact-form-7 id=”2700″ title=”お問い合わせ”]
プレゼントの無料小冊子を更新しました。「子どもの非行を防ぐための素直な頭のつくり方」です。
非行に走る子どもは自己中が多いです。頭が固く、自分の価値観に固執しています。周りの人間の価値観や考えを受け入れられず、自分を通そうとします。自分以外の価値観や考えがあること自体が、見えていないのです。自分が正しくて、自分以外の考えは間違いだという先入観から抜けられない状態です。
子どもは周りから吸収する度合いが強いので、子どもの成長は周りの大人次第の側面があります。「周りの大人が自己中から脱し、素直な頭を持つ事で、接する子どもにも好影響を与えよう」というのが、この小冊子の狙いになります。
頭の柔軟性があり、状況や相手に応じて変化できる事。自分だけでなく、相手の考えも認める事ができる事。一つ上から全体を俯瞰できる事。そんな「素直な頭」をつくるための気づきを、この小冊子から得ていただければと思います。
[contact-form-7 id=”4057″ title=”小冊子ダウンロード”]
関連する投稿
- 日本語文章を書く際の注意点とは。AERAのムックで大御所連中が言っていたこと
- 親は教育ハラスメントに気づくべきだ。9年浪人するという妄信
- 岸辺露伴から教わったリアリティーの話。文章と言葉に説得力を持たせる方法
- 権威の否定。プロとして仕事をするよりもアマチュアの方が尊いという話し
- アドバイスでなくてユーモアを提供しよう
現在の記事: 法律ではない、正義の基準について