人それぞれの幸せを追求する〜藤原先生、これからの働き方について教えてください。
今までの社会構造とこれからの社会構造の違いを明確にし、これからの社会で幸せをつかむためのヒントが記載された本です。ヒントはキーワードとして、読者の印象に残るように記載されています。キーワードはいくつかあり、下に書いたものがそれです。私の印象に残ったキーワードです。
・自分の仕事の付加価値
・レアな存在
・信任(クレジット)の三角形
・みんな一緒からそれぞれ一人一人へ
・情報処理力よりも情報編集力
・自分も他社も納得できる納得解
・正解主義から修正主義へ
・ナナメの関係の人を巻き込む
・組織と個人のベクトルの和
・坂の上の坂
世の中には多くの仕事がありますが、自分の稼ぎを客観的に測る方法はどんなものがるでしょうか。それは、自分の仕事の付加価値を知ることです、どれだけ価値あることを世の中に提供しているのか。それを知るには時間給を計算してみることです。一時間当たりの稼ぎ。年収を一年間の労働時間、それか月収を一ヶ月の労働時間で割ってもでます。
これで、自分の仕事の不可価値がわかるはずです。労働時間は短く、かつ収入が多くなければ、付加価値は高くなりません。だいたい3千円〜5千円が公務員、多ければ8万円強、少なければ800円などです。仕事の優劣ではありません。あくまでどれだけの価値を生み出しているかです。
これからの時代、価値を生むには、レアな存在にならなければなりません。わかりやすくいうとレアカード、レアキャラになる、ということです。そのためには、100万人に一人にならなくてはなりません。1つのことをとことん追求するのにだいたい一万時間。これで1つの足場が出来上がり、100人に一人になります。これを3回重ねるのです。
1万時間ほど追求したものを3つ。これで100万人に一人の存在になれます。これだけ希少な存在になれば、あなたのレア度はとても高いものになるでしょう。この足場を3つで作った三角形を、信任(クレジット)の三角形と呼ぶそうです。
これからは、みんな一緒からそれぞれ一人一人への時代だそうです。スマートフォンを国民一人一人が持つ時代になりました。結婚式の引き出物も、カタログが主流になりました。みんな一緒から、ひとりひとりの時代なのです。
この時代では情報処理力よりも情報編集力が求められます。今までの時代では、与えられた問題を正解に向かって計算する情報処理力が求められました。これは、正解が決まっていたからです。
ところがこれからの一人一人の時代では、答えが決まっていません。価値観がひとりひとり違うわけですから。ですから情報処理力では対処できないのです。求められるのは情報編集力です。情報編集力とは、自分も他者も納得できる納得解を導き出す能力なのです。
それは、正解主義から修正主義へ、という言い方もできます。決まっている正解へ突き進むのではなく、決まっていない正解を模索する力です。そこで有効なのは、修正する力です。試しては修正、試しては修正、を繰り返し、納得解を模索するのです。
他社も納得する納得解を得るには、自分の考えを人に伝え、共感してもらう必要があります。そのトレーニングとして有効なのが、ナナメの関係の人を巻き込むことです。コミュニケーションが苦手な人が多く出てきています。特に若者では自己肯定感が低く、自分の意見を堂々ということができません。
そこで、自分の考えを言うトレーニングとして、斜めの関係の人を巻き込むことなのです。横の関係の人間ばかりでは、トレーニングになりません。自分の同僚とならなんとでも言えます。ですが上司となると、萎縮してしまって言いたいことが言えず、これもトレーニングになりません。
そこでナナメの関係なのです。利害関係のない第三者との対話、特にブレーンストーミングをすることがコミュニケーション能力を鍛えるのです。
それぞれ一人一人の時代には、組織と個人の関係が、これまでとは違うものになります。今までは組織の中に個人が包まれる形でした。個人が無理に組織にベクトルを合わせていたのです。
これからは、個人は無理に組織にベクトルを合わせる必要はありません。個人と組織、それぞれのベクトルの方向を見極め、それらベクトルを辺とした平行四辺形を描き、その対角線を和とする考えが必要です。組織と個人のベクトルの和、それが個人も組織も両方とも活性化させるコツなのです。
これからの時代、人生は100歳くらいまで長くなるでしょう。今までは、明治時代の古い人生観を引きずっている人が多くいました。それは坂の上の雲のような人生観です。人生のピークである40歳付近に向かって走り、それからは引退していく人生です。
ですがこれからは坂の上の坂、のような人生です。人生に1つのピークがあるのではなく、幾つものピークが連なっているイメージです。人生は100年の時代です。1つのピークでは、最後の方は落ちていくだけです。これからの時代に幸せな人生を送るには、坂の上にまた坂があるような人生が求められるでしょう。坂の上の坂なのです。
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