不老超寿 〜 子どもの非行を防ぐためのブックレビュー
最先端の予測医療を紹介するとともに、これからの医療について書かれた本です。岩盤と言われ、絶対に崩れない既得権益を強固に守っている医療関係者ではなく、医者ではない著者だからこその視点で書かれた、健康と幸福をいかに求めるか、についての本です。
本書で紹介されている最先端医療は、主に以下のものです。
・分子栄養学に基づく「栄養分析プログラム」
・食物アレルギーには後から出てくるものがある「IgG検査」
・人はなぜ老けるのか?「酸化抗酸化検査」
・腸は脳と同じだ!「腸内フローラ検査」
・ストレスと可視化する「24時間ステロイドホルモン代謝検査」「唾液コルチゾール検査」
・副腎疲労症候群「アドレナル・ファティーグ」を解消せよ
・あなたの「生まれ」つきの個性を示すSNP
・メチレーションであなたの「育ち」を知る
・性格は遺伝子によるものだ
・日本人には必須「有害重金属検査」
・今後10年の脳梗塞・心筋梗塞の発症を予測「LOXインデックス検査」
・「悪玉コレステロール」は本当に「悪玉」なのか?
・心臓の血管の詰まり具合を見る「有害有機化学物質検査」
・テロメア年齢と超早期がん発見「ミルテル検査」
・遺伝子の強度を調べる「テロメアテスト」
・A〜Eの5段階でがんのリスク評価を行う「ミアテスト」
この本のテーマである「健康」も、私の専門である「非行」も、先天性と後天性の両方が原因にあります。
犯罪に走ることなく健康で、しかもより幸せなライフスタイルを求めるには、まずは先天性である遺伝子がより良いものでなくてはなりません。それから後天性です。これは環境のことで、栄養や教養や運動など、生活の質を上げることです。
「環境は変えられるけれど、生まれ持った遺伝情報は変えられない」という前提の元に「いかに生活の質を上げるか」や「生まれ持ったものだからしょうがない」という漠然としたイメージで健康や非行が語られることが多いですが、両方を改善するに越したことはありません。
そして科学技術の発達により、生まれ持った遺伝ですら手をつけられる社会が訪れるのかもしれません。
電気自動車の普及により、自動車業界にはそれまで自動車とは縁がなかった家電やネットの会社が参入しています。彼らにはそれまでの「常識」や「しがらみ」が通用しないため、新しい革新的なサービスが誕生しています。
今後、医療の現場も、医者以外の参入者によって革新的なサービスが待っているのかもしれません。医者の経験則でしか語られることがなかった病気が、我々一般人でもわかるように可視化され、医者を通さずに病気を予測して対処する社会が待っているように思います。
非行も経験則で語るのではなく、誰でもわかるように可視化される時代がくるのかもしれません。
スマートフォンやウエアラブル機器で対象を計測し、クラウドでデータを送って、結果が送られるくるのを待つ。数分後には、ビッグデータや遺伝子学の知見からの結果や対処法が、スマートフォンに送られてくる。そんな未来を想像してしまう本でした。
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