自然淘汰を考えると悪妻も良妻である。いいアドバイスとは

2020.12.20 (日)

「悩みを解決する」とはどういうことか。

 

 

世の中にアドバイザーと呼ばれる人は数多くいるだろうし、今も社会のどこかで「相談する人」と「相談される人」がいて、二人の間を相談が行き来しているに違いない。それほど多く世の中には相談事が転がっているのだ。

 

 

僕は「非行診断士」を名乗っているので子どもの非行に関する相談をいくらか受けたことがあるし、警察官をしていると犯罪に関してや人間関係に関してや道路交通法に関してやいくらでも相談を受けることになる。

 

 

僕自信もわからないことについては相談することがよくある。僕の相談相手はもっぱら本である。本というのは僕にとって格好の相談相手になる。

 

 

まず、ある程度の適格性が保証されている。著者として本を出しているにはそれなりの専門性や知識があるだろうし、自己表現の手段として本を選択したということ自体が、知性の表れだと思える。本を読むのはある意味で苦行のようなもので、読めない人にはまったく読めない。

 

 

僕も本を読むようになったのは30代になってからなのだけれど、それまでは本のメリットが理解できなかった。他にも面白いものがたくさんあるのにどうして本を読まなければならないのかわからなかった。今では本を読むことで得られる想像や空想、膨れる知識の世界、広がる目に見えない世界、繋がる点と点。そんなものが本の魅力だと思っている。本に興味がある、人生の一部に本が存在することは、知性があることの証明と言えるのだ。

 

 

それから本が相談相手だと、余計な人間関係を心配する必要がない。本は目の前に著者がいるわけではないので、「自分に合わないな」と思ったらパタンと閉じてしまえばいい。生の人間に対する相談だと、相談内容とは別に人間関係という余計なものまで気にかける必要が出てくる。

 

 

相談して的はずれな答えを返されても、おいそれと閉じることができない。人間関係を気にするので、「なるほど」とか「それはありますね」と思っていもいないことをわざわざ持ち出して来ざるを得ない。

 

 

だから僕は本を相談相手にしているのであって、悩みの解決はもっぱら本を頼っている。

 

 

相談に対する良いアドバイスとは何か。それは、相談者が一歩引いて見られるようになることだと思っている。自分たちの状況を距離を置いて冷静に眺められるようになることだ。

 

 

「心が軽くなった」という言葉がある。相談を終えた後に、相談者が口にするセリフ。これなど、まさに一歩引いて見られるようになった状況では無いかと思う。

 

 

相談するということは悩んでいたということであって、それだけその問題が自分の中で大きい存在だったということだ。問題の規模が大きくて、自分でもどうしたら良いのかわからない。問題が重すぎて他のことが一切見られない。対象に目を近づけて見ているようなもので、他のことが視界に入らなくなる。世界がその問題一色になっている。

 

 

一歩引いて見られるというのは、その問題全体を見られるようになったということ。目の前いっぱいに広がっていた問題が小さく見えるようになる。それまでそのことで悩んでいた自分が滑稽に思えるようになる。

 

 

「なんだそんなことか」と、前提をひっくり返すようなもの。新しい発見をしたかのように、最小の力で最高の効果を導き出す。テコの原理で舞台そのものをひっくり返すようなものだ。

 

 

最近でいうと、坂口安吾の悪妻論を読んで「なんだそうか」「確かにそのとおりだ」と思った。トラブルが絶えない夫婦関係を、一歩引いて見られるようになった。

 

 

知性あるところ、女は必ず悪妻となる。

Ango Sakaguchi. Akusairon (Japanese Edition) (Kindle の位置No.42-43). Kindle 版.

 

 

夫婦関係になると盲目になりがちだけれど、これは人間関係の真理をついている。知性を持っていたら意見があるのは当然だ。夫の言うことよりも「こうした方が良い」というのが見えるからだ。知性がなければ夫の言うことやなすことに文句の出ようはずもない。

 

 

自分ではわからないことには文句のつけようもない。文句をいうということは、そこに改善の余地を見出しているということであって、それゆれにただただ夫に追随することができないのだ。

 

 

人間は基本的にアメリカ人のようなもので、誰もがチャンピオンになりたい。相手をバカにして自分が格上であることを示すことはマウンティングと呼ばれているけれど、マウンティングは人間、というか動物の本性だ。

 

 

自然淘汰も優秀な物が生き残って子孫を残せるように働いており、優秀でなければ絶滅してしまう。今生き残っているものたちは、自分が優秀であることをアピールしてここまで生き残って来たものたちなのだ。

 

 

もし夫が妻へのマウンティングに成功しているのであれば、夫自信は優越感を感じるかもしれない。けれど夫婦あるいは家族という単位で見た場合、それは果たして良いことなのだろうか。ただ単に井の中の蛙のような状態になっているのではないだろうか。

 

 

自分を批判してくれる人間がいるから人間関係はより高いステージへと発展する。悪い意見は駆逐されて絶滅する。より優秀な意見が生き残る。自然淘汰と同じだ。

 

 

自分に追随してくれる妻がいて家庭円満。そんなものはお山の大将であって、自分は優越感を感じていいのかもしれないけれど、家庭という枠で見た場合には発展を望むべくもない。極めて不利な状態なのだ。

 

 

こんなことを、「悪妻論」を読んで考えた。それまで夫婦間の意見の違いで悩んでいたものが、「むしろこの状態は望ましいものなのかもしれない」と心が軽くなったのだ。一歩引いて見られるようになった。それまで悩んでいた自分を滑稽だと思えるようになった。

 

 

 

良いアドバイスとは、相談者の心を軽くするものだ。たった一言で前提を覆す。最小の力で世界観をひっくり返す。それまで悩んでいた問題を、一歩引いて見られるようになる。

 

 


 

 

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