子どもに思いやりを育む理論について(その2)
ケンカやトラブルの現場では、よく「分からない」とか「理解できない」という言葉をよく聞く。自分と相手を違う種類の生物として見ている様である。相手を攻撃するとき、イライラを感じるとき、そこには相手と自分の間に距離があるのだ。でも、同じものとして見ればどうだろう。同じものとして見た瞬間に、どこか親近感を持って見られないだろうか。
それどころか、イライラしている自分が滑稽に思えないだろうか。「相手を攻撃している自分が、実は相手と同じ種類のものだった」なんてことに気づけば、攻撃していること自体が馬鹿らしくなってくるだろう。どんぐりの背比べと同じで、細かい差をめぐって「オレの方が背が高い」「いいや、オレの方が背が高い」と言い争いをしている様なものだ。
例えば、今、日本と韓国で仲が悪くなっている。原因を探れば、どれだけ探っても溝は埋まらないだろう。原因を探れば探るだけ、お互いの澪の深さを痛感するばかりだ。だいたい、どれが元々の原因なのか。それがかみ合わない。いつまでもボタンのかけ違いを繰り返している様なものである。
お互いに自分に都合のいい原因を探して、その行為はエスカレートするばかりである。まるでゴールが遠ざかっている様だ。原因を突き止めれば論争に終止符が打たれる。原因を突き止めれば、どっちが悪いのかはっきりして、争いが終わるのではないか。と思って原因を探しているのであろうが、その原因自体が食い違っている。一方が、ある出来事を原因と出来事としようとしても、もう一方はさらに過去の自分に都合のいい原因を持ってくる。どんどんどんどん、走る距離が長くなってくる。さかのぼる時間が増えてくる。これではどこまでいっても終わりがないではないか。
ここでアナロジーを持ってきて見る。日本と韓国という人間関係の間に、妄想スナイパー理論を持ち出すのだ。共通点を見つける。共通点はすぐに見つかるだろう。似たところばかりである。同じアジアの小国だし。極東アジアだし。漢字圏だし。歴史的に中国の影響が強いし。だいたい、ヨーロッパやアメリカの人たちから見れば、何も変わらないのではないか。争っていること自体が不思議だと思うだろう。同じ県民どうしなのに、隣り合う町どうしで「向こうの方が田舎だ」「いいや、そっちの方が田舎だ」とどんぐりの背比べをしてる様なものである。
海外の人から見れば、韓国人も日本人も変わらない。見た目も同じに見えることだろう。私は日本人だから、なんとなく違いが分かる気がする。着ている服装にも文化の違いが見えるし、髪型などにも違いが現れる。けれど、私は日本人という当事者だから分かるのであって、外から見れば、何も違いなど気づかないだろう。
親近感を持つと同時に、馬鹿らしく思えるだろう。「似た様な民族どうし、仲良くしようと」という気持ちと「同じものどうしで細かいところで争っていて馬鹿みたい」と、自分たちの状況を滑稽に思う気持ちである。この2つが、人間関係にアナロジーを持ち込む理由であって、これが妄想スナイパー理論の効果だ。
だから、物事を一歩引いた視点から眺める視点が必要なのである。この視点を、社会に浸透させることで、社会全体に思いやりや、相手の身になって考えることが広がるだろう。「共通点を見つける」という具体的な行動を示されれば、ただただ「思いやりを持って」とか「相手の身になって考えて」と言われるよりも、よっぽどやりやすいのではないだろうか。よっぽど再現性が高いのではないだろうか。
共通点とは、はっきりしたものでなくとも良い。なんとなく「自分と同じだな」と思えればそれでいいのだ。具体的に「コレ」という共通点がなくとも、「自分も似た様な考えだな」とか「自分も似た様な境遇だな」程度で良い。同じであることすら必要ではなく、「似ている」で十分なのだ。
この理論を社会に浸透させれば、子どもの飛行も無くなるし、社会から迷惑なチンピラという類の者もなくなるに違いない。妄想スナイパー理論は、再現性の高い思いやりを育む方法なのである。一人一人が細かいことにこだわらず、抽象的に社会を眺められるよいうになることで、共通点は見つけやすくなる。薄い絵の具どうしが混ざりやすい様に、重ねて見られる様にするには、抽象化が必要である。この抽象化も、妄想スナイパー理論を実践するための大事な要素なのだ。
「素直さ」を考えるセミナーを定期的に開催しています。スケジュール・詳細はこちらをご覧ください。
自己中が思いやりに、
生真面目が寛容に、
怒りっぽさが優しさに、
そして非行が素直に変わります。
心よりお待ちしております。
[contact-form-7 id=”10255″ title=”セミナー申込みフォーム”]
30分の無料相談を承っています。子ども、非行、犯罪、警察対応、などのキーワードで気になりましたらご利用ください。基本はウェブ会議アプリを使ってのオンラインですが、電話や面談も対応できます。
モヤモヤ状態のあなたが、イキイキとする無料相談です。次の一歩を踏み出すために、お気軽にお問い合わせください。
下記お問い合わせフォームで「相談希望」である旨をお知らせ下さい。
[contact-form-7 id=”2700″ title=”お問い合わせ”]
プレゼントの無料小冊子を更新しました。「子どもの非行を防ぐための素直な頭のつくり方」です。
非行に走る子どもは自己中が多いです。頭が固く、自分の価値観に固執しています。周りの人間の価値観や考えを受け入れられず、自分を通そうとします。自分以外の価値観や考えがあること自体が、見えていないのです。自分が正しくて、自分以外の考えは間違いだという先入観から抜けられない状態です。
子どもは周りから吸収する度合いが強いので、子どもの成長は周りの大人次第の側面があります。「周りの大人が自己中から脱し、素直な頭を持つ事で、接する子どもにも好影響を与えよう」というのが、この小冊子の狙いになります。
頭の柔軟性があり、状況や相手に応じて変化できる事。自分だけでなく、相手の考えも認める事ができる事。一つ上から全体を俯瞰できる事。そんな「素直な頭」をつくるための気づきを、この小冊子から得ていただければと思います。
[contact-form-7 id=”4057″ title=”小冊子ダウンロード”]
関連する投稿
- 犯罪を引き起こす要因、犯罪を減らす方法
- 犯罪をなくすためにできること。犯罪を3つに分類して対処する
- 金、地位、名誉をバカにする態度。「高踏的」を紹介する
- 非行グループから息子を離したいのですが、良い方法ありませんか?
- たとえば、子どもに無理にご飯をたべさせることの功罪
現在の記事: 子どもに思いやりを育む理論について(その2)