子どもに思いやりを育む理論について(その2)

2019.09.06 (金)

ケンカやトラブルの現場では、よく「分からない」とか「理解できない」という言葉をよく聞く。自分と相手を違う種類の生物として見ている様である。相手を攻撃するとき、イライラを感じるとき、そこには相手と自分の間に距離があるのだ。でも、同じものとして見ればどうだろう。同じものとして見た瞬間に、どこか親近感を持って見られないだろうか。

 

 

それどころか、イライラしている自分が滑稽に思えないだろうか。「相手を攻撃している自分が、実は相手と同じ種類のものだった」なんてことに気づけば、攻撃していること自体が馬鹿らしくなってくるだろう。どんぐりの背比べと同じで、細かい差をめぐって「オレの方が背が高い」「いいや、オレの方が背が高い」と言い争いをしている様なものだ。

 

 

例えば、今、日本と韓国で仲が悪くなっている。原因を探れば、どれだけ探っても溝は埋まらないだろう。原因を探れば探るだけ、お互いの澪の深さを痛感するばかりだ。だいたい、どれが元々の原因なのか。それがかみ合わない。いつまでもボタンのかけ違いを繰り返している様なものである。

 

 

お互いに自分に都合のいい原因を探して、その行為はエスカレートするばかりである。まるでゴールが遠ざかっている様だ。原因を突き止めれば論争に終止符が打たれる。原因を突き止めれば、どっちが悪いのかはっきりして、争いが終わるのではないか。と思って原因を探しているのであろうが、その原因自体が食い違っている。一方が、ある出来事を原因と出来事としようとしても、もう一方はさらに過去の自分に都合のいい原因を持ってくる。どんどんどんどん、走る距離が長くなってくる。さかのぼる時間が増えてくる。これではどこまでいっても終わりがないではないか。

 

 

ここでアナロジーを持ってきて見る。日本と韓国という人間関係の間に、妄想スナイパー理論を持ち出すのだ。共通点を見つける。共通点はすぐに見つかるだろう。似たところばかりである。同じアジアの小国だし。極東アジアだし。漢字圏だし。歴史的に中国の影響が強いし。だいたい、ヨーロッパやアメリカの人たちから見れば、何も変わらないのではないか。争っていること自体が不思議だと思うだろう。同じ県民どうしなのに、隣り合う町どうしで「向こうの方が田舎だ」「いいや、そっちの方が田舎だ」とどんぐりの背比べをしてる様なものである。

 

 

海外の人から見れば、韓国人も日本人も変わらない。見た目も同じに見えることだろう。私は日本人だから、なんとなく違いが分かる気がする。着ている服装にも文化の違いが見えるし、髪型などにも違いが現れる。けれど、私は日本人という当事者だから分かるのであって、外から見れば、何も違いなど気づかないだろう。

 

 

親近感を持つと同時に、馬鹿らしく思えるだろう。「似た様な民族どうし、仲良くしようと」という気持ちと「同じものどうしで細かいところで争っていて馬鹿みたい」と、自分たちの状況を滑稽に思う気持ちである。この2つが、人間関係にアナロジーを持ち込む理由であって、これが妄想スナイパー理論の効果だ。

 

 

だから、物事を一歩引いた視点から眺める視点が必要なのである。この視点を、社会に浸透させることで、社会全体に思いやりや、相手の身になって考えることが広がるだろう。「共通点を見つける」という具体的な行動を示されれば、ただただ「思いやりを持って」とか「相手の身になって考えて」と言われるよりも、よっぽどやりやすいのではないだろうか。よっぽど再現性が高いのではないだろうか。

 

共通点とは、はっきりしたものでなくとも良い。なんとなく「自分と同じだな」と思えればそれでいいのだ。具体的に「コレ」という共通点がなくとも、「自分も似た様な考えだな」とか「自分も似た様な境遇だな」程度で良い。同じであることすら必要ではなく、「似ている」で十分なのだ。

 

 

この理論を社会に浸透させれば、子どもの飛行も無くなるし、社会から迷惑なチンピラという類の者もなくなるに違いない。妄想スナイパー理論は、再現性の高い思いやりを育む方法なのである。一人一人が細かいことにこだわらず、抽象的に社会を眺められるよいうになることで、共通点は見つけやすくなる。薄い絵の具どうしが混ざりやすい様に、重ねて見られる様にするには、抽象化が必要である。この抽象化も、妄想スナイパー理論を実践するための大事な要素なのだ。

 

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