犯罪の定義は何ですか?

2020.03.19 (木)

「構成要件に該当する有責・違法な行為」

 

「刑法」を勉強しようとすると一番初めに覚えるのが、この定義である。法律的な視点から犯罪を見ると、この言葉に「犯罪とは何か」のすべてがつまっている。「構成要件に該当」して、「有責」で、「違法」な、「行為」が、犯罪なのである。この4つのフィルターをすべて通り抜けたものが、晴れて犯罪と呼ばれるのである。

 

 

「構成要件に該当する」

「構成要件に該当する」とは、あらかじめ定められている、ということである。「あらかじめ刑法に定められている」とか、「条例に書かれている」ということである。法律や条例を構成する要件に該当していなくては、まずは犯罪とは見なされない。初めに法律や条例があって、それから犯罪が無くては犯罪とは言えないのだ。

 

 

何か悪いことをした人がいて、その人のやったことが法律や条例で罰することができない場合、新しく法律や条例を作って、それからその人を罰する、ということはできないのだ。すでにある法律や条例で対処するしか無い。

 

 

「有責」

犯罪は、有責でなければならない。犯罪者には責任がなくてはならない。「そんなの当たり前だろう」と思うかもしれないが、責任がない場合も存在する。どんな場合かと言うと、まずは「心神喪失者」である。精神的な障害のせいで、自分が何をしているかもわからない。何がやってよくて、何がやってダメなのかを理解できていない人に、罪を着せることはできないのである。

 

 

それから子どもだ。刑法では「14歳未満の者」には罪はないとしている。子どもは精神的に未熟であり、物事の判断や善悪の判断を、完璧にできるとは言い難い。まだまだ親などの保護者がついていなくては生活できない存在なのだ。

 

 

「違法」

犯罪とは、違法で無くてはならない。これも「そんなの当たり前じゃないか」と思うかもしれないが、そうでもない。違法でない場合はどんな場合かというと、まずは「正当防衛」や「緊急非難」である。

 

 

たとえば痴漢に襲われそうになって、怖くなって他人の家に逃げ込むのは犯罪になるのだろうか。住居侵入として警察から捕まってしまうのだろうか。あるいは、今にも沈没しそうな船に自分が乗っていたとして、自分が生き延びるために、一人しか乗れない脱出ボートに他の人を押しのけて乗るのは罪になるのだろうか。自分が生きるために他の人を結果的に殺したからといって、殺人罪に問われるのだろうか。これらは「緊急避難」であって、罪にはならないのである。

 

「正当防衛」というのもある。よく言われるのは、ケンカの現場だろう。街のゴロツキからケンカを売られたとして、殴りかかってくるゴロツキを制圧したとする。これは暴行になるのだろうか。自分が急迫不正の侵害を受けているのに、黙って甘んじるわけにもいかないだろう。ただ、「過剰防衛ではないか」という視点も必要なので、「正当防衛だから」といって何でもやっていいわけではない。

 

 

正当な業務も違法とはいえない。たとえば医者である。医者が手術で患者の体をメスで切るのは傷害罪なのだろうか。それと格闘技である。相手を投げたり、殴ったり、蹴ったり、極めたり。これは暴行罪あるいは傷害罪なのだろうか。そうとはいえないだろう。医者も格闘技選手も、正当な業務の中で相手を傷つける分には、違法性は無いのである。

 

 

「行為」

最後に行為である。犯罪とは行為でなくてはならない。相手を「殺してやろう」と思ったからといって殺人罪にはならない。相手を「殴ってやろう」と思ったからといって暴行罪にはならない。ケンカの現場では「手を出したら負け」という言葉があるが、手を出した時点で(行為の時点で)犯罪になるので、法律的に言うと、「手を出したら犯罪になる」という意味なのだ。

 

 

以上が法律的な意味での犯罪である。「犯罪とは何か」を考える時に、僕たちに具体的にのしかかってくるのが法律であって、僕たちの行動を制限しているのも法律なので、まずは法律的な意味での犯罪を知らなければどうしようもない。

 

 

けれど、これで「犯罪とは何か」を言い切ったことにはならない。法律的な視点の他にも、世の中には色々な視点が存在する。たとえば、こんな言葉もある。

「ある行為が犯罪であるから非難するのではなく、それを避難するから犯罪なのである」

構成要件に該当する有責違法な行為であるかないかに関わりなく、僕たちは倫理的に「悪いものは悪い」「ダメなものはダメ」だと思う心を持っている。たとえ許されているにしても、戦時中に敵兵を殺すことに喜ぶ人はいないだろう。相手を傷つけたり痛めつけたりすることには、法律があろうとなかろうと心を痛めるものである。「緊急避難」にしたって、たしかに罪には問われないが、かといって白黒をハッキリとつけられるものではない。「どこからどこまでが法律違反か」は、一概に白黒ハッキリつけられず、法律だけで対処できるものでもないのである。

 

 

「法律で決まっているから」ではなく、「何が犯罪か」「何が悪いことか」「何がやってダメなことか」は、倫理的な視点や社会的な視点など、色々な視点から検討しなくてはならないのだ。

 

 

 

 

 


 

 

 

イライラは良くないし、できればイライラしないで生活したい。 感情的になりがちな性格をコントロールして、楽しく笑いながら生活するためのヒントを載せた本です。 違反者や酔っぱらいなど、警察の世界にひしめく怒りっぽい人たちを観察してきた著者が、子ども相手についイライラするお父さんお母さんに向けて書きました。

 

電子書籍でも買えますし、紙の本(プリント・オン・デマンド)も選べます。

 

「人に優しくなれる発想法」購入ページへ

 


 

 

「素直さ」を考えるセミナーを定期的に開催しています。スケジュール・詳細はこちらをご覧ください。

 

自己中が思いやりに、
生真面目が寛容に、
怒りっぽさが優しさに、
そして非行が素直に変わります。

 

心よりお待ちしております。

[contact-form-7 id=”10255″ title=”セミナー申込みフォーム”]


 

 

30分の無料相談を承っています。子ども、非行、犯罪、警察対応、などのキーワードで気になりましたらご利用ください。基本はウェブ会議アプリを使ってのオンラインですが、電話や面談も対応できます。

 

モヤモヤ状態のあなたが、イキイキとする無料相談です。次の一歩を踏み出すために、お気軽にお問い合わせください。

 

下記お問い合わせフォームで「相談希望」である旨をお知らせ下さい。

[contact-form-7 id=”2700″ title=”お問い合わせ”]

 


 

 

ようやくできました。「妄想スナイパー理論」です。タイトルは「インパクトがある方が人目につくかな」と思って、こんなタイトルにしていますが、中身は「犯罪と非行をなくして、思いやりを育む方法」になります。

 

思いやりってけっこう、掴みどころのないものだと思うんですよ。昔から「思いやりを持ちなさい」とか「思いやりが大事です」なんて周りから言われることは多いと思いますが、「それって何なの?」と聞かれた場合や、「それってどういうこと?」と深く知ろうとした場合、それと「どうやって持つことができるの?」となった場合に、うまく答えられないと思うんです。

 

そこで、一つの具体案として、「スナイパーのようなものだと」というのを示したいと思います。スナイパーとは、遠くから銃で相手を狙う、狙撃です。思いやりとは、スナイパーのようなものなのです。もちろん、思いやりっていうのは頭の中のことなので、実際に銃なり狙撃なりはしませんが、遠くから狙うすスナイパーと思いやりっていうのは、似ています。

 

スナイパーと思いやりはどうして似ているのか。スナイパーと思いやりの間の共通点とは何なのか。スナイパーと思いやが似ているのだとしたら、思いやりを育むにはどうすればいいのか。そんなことを、この小冊子には載せてみました。35,222文字です。目次はこちらで公開しています。

 

下のフォームにてお名前とメールアドレスを入力のうえ、無料でダウンロードできますので、ぜひ読んで頂ければと思います。

 

[contact-form-7 id=”4057″ title=”小冊子ダウンロード”]

▼シェアをお願い致します!▼

関連する投稿

現在の記事: 犯罪の定義は何ですか?

お問い合わせ・ご相談はこちら

メールでのお問い合わせ

contact@konokoe.com

フォームからのお問い合わせ

お問い合わせフォーム »

コラムテーマ一覧

過去のコラム

主なコラム

⇑ PAGE TOP