ZINEって究極のD2Cじゃないか

2020.08.11 (火)

HILLS ZINE MARKET 2020 というのが、六本木ヒルズのウェストウォークA/Dギャラリーで開催されていたので行ってきた。

 

 

以前からZINEに興味があったので、この開催の知らせが友人から届いた時は「お? これも寝耳に水か?」と思った。行ってみるしかないだろう。行って見てみるしかないだろう、と。

 

 

まず僕のZINEに対するイメージを書いてみるのだけれど、「ZINEとは個人の自己紹介冊子」というのが、簡単な言い方になるだろう。自分がどんな人間なのか、何に興味があって、どんなことをしている人間なのか。普段は何を考えて、どんな世界を見ているのか。自分に見えている世界はこんな感じですよ、というのを他人に紹介するのが、僕の考えるZINEだ。

 

 

これは、「個人」という色彩が強い。この個人という色彩の強さが、そのままZINEの強みとなる。

 

 

企画というものは人数が増えれば増えるほど、コンセプトの色彩は薄れることになる。一人が独力で作り上げた作品は、大勢の人数で作り上げた作品よりもコンセプトが色濃く残ることになる。

 

 

たとえば自動車のデザインも、デザインする段階では少人数である。コンセプトカーというものがあるけれど、コンセプトカーにはデザイナーの思惑が色濃く残っている。デザイナーの「こんな自動車を作りたい」「俺が描く自動車のデザインはこれだ!」という思いがコンセプトカーには込められている。

 

 

けれど実際に市販車の段階となると、もはやそこにデザイナーのコンセプトは、少なくとも色濃くは残っていない。デザインから徐々に作っていく過程に移行することによって、個性が削ぎ落とされていくのだ。幹部、他セクション、総務部、営業マン、いろんな人の思惑が絡まる。

 

 

市販車という最終段階になると、もはやデザイナーが一人でデザインしていたコンセプトカーとは違うのだ。大勢の思惑、利害、嗜好が、一人のデザイナーのデザイン性や個性を削ぎ落とす。個性は関係する人数が多ければ多いほど削ぎ落とされる。

 

 

ZINEには個性が光る。個性の色濃いものが多い。これは多人数でない、個人という発信者が自己を発信していることによるのだと思う。他の人と打ち合わせをして方向性を決めていくのではなく、他人の利害や人間関係を考えてデザインを決めるのではなく、そこにあるのは自分のみ。まったくの一人である「自己」が自分をさらけ出すもの。「これが俺の見ている世界だ!」と開示するもの、それがZINEなのだ。

 

 

こんなことを書くと、「個人なんかにそんな魅力はあるの?」と思う人もいるのではないだろうか。「個人よりも人数が多いほうが、クオリティの高いものが作れるのでは?」と思う人がいるのではないだろうか。

 

 

ここで僕は、「マイノリティにこそ魅力は宿る」ということを言いたい。大勢で作れるようなもの、大勢でなくては作れないようなものに、もはや魅力は無くなってきているのだ。人から理解されない、つまりマイノリティであることこそ魅力なのだ。

 

 

考えても見てほしい。僕たちは常に「周りと同じになりたくない」と思って生きてきたはずだ。

 

 

着ている洋服だって、他人と同じでは気持ち悪い。せっかく買った車も他人と同じでは格好悪い。街で同じ服を着ている他人と会ったらバツが悪いし、信号待ちで同じ車が2台並んでしまったら、なんだか下を向きたくなるだろう。

 

 

確かに周りと一緒であるほうが安心感は得られるかもしれないが、それ以上に本来は、周りと違う自分であることを望んでいるはずだ。「周りと違う。けれど不安はない」みたいな。一緒という安心感以上に、別物という特別感を求めるのだ。

 

 

魅力はマイノリティにこそ宿る。大きくて、偉そうで、権威があって、高価そうで、そんなものに魅力なんかない。そんなものは、むしろ格好悪いし品がない。光を浴びるべきなのは、小さくて、素朴で、一見みっともなくて、お金もしなくて。そんなマイノリティこそに、僕たちが欲するべき魅力があるはずなのだ。

 

 

では究極のマイノリティとは何か。それは個人である。たった一人の自分である。つまり個人とは、大いに魅力を発揮できる存在なのだ。今まではその手段が限定されていただけだ。

 

 

なぜ急に個人に光が当たるようになったのか。それは、今まではその手段が限定されていただけだ。光が当たるようになったのは、言うまでもなくインターネットの力だ。

 

 

ダイエットをしようと思っても、コンビニのスイーツに負けてしまったことは誰にでもあるだろう。宿題や課題をしようと思っても、ユーチューブを見て時間を過ごしてしまったことはあるだろう。長期的な利益よりも短期的な利益に、人は負けてしまうのだ。ぼんやりしたものよりも、ハッキリしたものに、人はうかつにもひかれてしまう。理性よりも感情が強いのだろう。「象使いよりも像」なのだ。

 

 

人間は具体的なものに惑わされてしまう。これまでも個人のぼんやりした魅力は存在していたけれど、うまくそれを発信できないでいた。けれど、インターネット技術の向上によって大きさのメリットは失われてしまった。小さいものが発信しやすくなった。小さいものにも光が当たりやすくなったことで、個人が大いに力を発揮できる時代がやってきたのだ。

 

 

D2Cという考えがある。日経新聞でD2Cの記事が最近、2面に書かれていたのだけれど、これは「ダイレクト トゥ コンシューマー」の略である。新聞でも、これまで以上に個人が直接自己を発信できる世の中を示している。これからも、これまで以上に個人が力を発信していける時代なのだ。

 

 

ZINEにあるのは、そんな個人の魅力である。個人のパワーである。「手作り感」と言えばそうなのかもしれないけど、そんな使い古された言葉ではいまいちZINEを語ることができない。個性という自分一人に宿った魅力、決して大勢に負けない魅力を発揮する媒体。それこそがZINEなのである。

 

 

さて今回、僕はHILLS ZINE MARKET 2020 に行って、ZINEを2冊買ってきた。Ootsu MoenoさんのFAR AWAYと、YUTANPO SHIRANEさんのAND YET SUMMER IS COMING である。

 

 

この2冊のZINE、FAR AWAYの方はジャバラ式に綴じられていて、中にはストーリーがあるであろう絵が描かれている。AND YET SUMMER IS COMING の方は、水着姿や下着姿の女性の絵が描かれている。

 

 

今回のHILLS ZINE MARKET 2020 では、主に‥というかほとんど写真や絵のZINEだったのだが、この2冊のZINEの作者を僕は知らない。だからこの2冊のZINEを買ったのは、たまたまだ。HILLS ZINE MARKET 2020 のギャラリーを歩いて回って、たくさんのZINEを手にとって見て回って、「これは面白そうだ」という作品を買ってきた。

 

 

この2つの作品の何が良かったのか。想像を膨らませられるところにひかれた。おそらくZINEを手に取る多くの人が同じように考えると思うのだけど、これらのZINEの中身を見てみても、ハッキリと何なのかはわからないだろう。

 

 

何が書いてあるかわからない、というのが率直な意見だと思う。この絵は何を意味するのか。この写真は何を物語っているのか。このストーリーはどう解釈すればいいのか。この絵やストーリーから何を得れば良いのか。作者は何を意味してこれを作ったのか。何を想像して欲しくてこれをつくったのか。ZINEを表面的に見ただけでは、さっぱりわからない。

 

 

この「作者の意図が簡単にはわからない」というのが、ZINEの魅力なのではないかと思う。想像する楽しさだ。作者の意図を、この小さなZINEからどう読み取るのか、この絵の意味を、この綴じ方の意味を、このデザインの意味を、手のひらサイズのZINEの奥底から想像するのだ。

 

 

さらには、作者はどういう人なのか、どんな人柄なのか、どんな仕事をどんな思いでやっているのか。思いを馳せることに、ZINEの面白さがあるのだと思う。当たり前だけれど、そこに正解はない。ネットで作者を調べて見れば答えがわかるわけだけど、外れても面白いし、大方当たっていても面白い。ZINEとは、そんなものなのだ。

 

 

というわけで、ZINEについて書いてみた。HILLS ZINE MARKET 2020 に行ってみて思ったのだけれど、ZINEとは、個人色の強い自己紹介冊子である。当然、個人では大したものは作れないわけだけど、その反権威的なマイノリティ感にこそ、魅力が宿るのだ。

 

 

ZINEは中を開いてみても、簡単にはその意味がわからない。作者の意図を察知できない。だからこそ想像力を働かせて、思いを馳せるのである。この作者はZINEで何を伝えたかったのか。作者は普段、何を見ているのか。何をどう考えているのか。作っている相手の個性を想像する。そこにZINEの面白さがあるのだと思う。

 

 


 

 

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