本音に勝る武器はない

2018.12.07 (金)

私はよく、警察組織を批判するコラムを書いています。「警察のこんな所が悪い」とか「警察のこんな所が時代遅れ」とか「警察のこんな所は建前でしかない」とか。それっていうのは、警察組織の姿勢が時代に追いついておらず、建前ばかりの組織になっているからです。

 

 

時代は変わっているのに変わろうとしない。変わらない姿勢を崩さない。変わらない事がいまだに美徳だと思っている。

 

 

確かに、警察に対して昔からの変わらない姿勢を求める世論はあります。何か新しい事や珍しいことをするとすぐに「警察がそんなことをしていいのか」という輩の声です。今までにない警察の雰囲気を目にすると、文句を言わずにいられない輩の声です。

 

 

ですが、変化することに対する批判こそが批判されるべきなことは明白です。いつまでも昭和の価値観のままでは、警察はその力を発揮できないでしょう。警察は時代に追いつかなければならないんです。

 

 

・・とまあ、この様なことを時々コラムで書いているのですが、そんな私でも警察をしていた時、警察組織と方向性が合う時がありました。普段は警察組織に対して批判的な姿勢ですが、警察組織の立場に立てる瞬間があるんです。それは、私の本音と組織の方向性が合っている時です。

 

 

例えば、私は交通取り締まりには賛成です。どんどん取り締まった方がいいと、心から思っています。確かに「弱い者いじめではないか」とか「ただの点数稼ぎじゃないか」とか「意味がないんじゃないか」という声は時々聞きますが、そんな声は自分勝手な声でしかありません。歩行者にとって危険な存在である車が規制を受けてこそ、社会は回るのです。

 

 

交通取り締まりの様に、本音を言える状況になると、後ろに引かない強さを出す事ができるんです。交通取り締まり中に違反者から文句を言われても動じない意志の強さ、そんなものを発揮できるのは、本音を言えるからなんです。

 

 

本音を言えることは強いです。もちろん、腕力的な強さではありません。手を出すことは法律的にも社会的にも負けでしょう。だから手を出すことを抜きにした強さです。が、口は滑らかに動くし、態度は動じないし、です。

 

 

本音を言う際、口は滑らかに動きます。自分の芯にある言葉をそのまま口にするだけなので、余計な算段を頭で考えないからです。「これを言ったらまずいかな」とか「こんなことは言わない方がいいかな」と、頭でいちいち話を精査したりしません。余分に言葉を加工したりしないんで、原材料をそのまま吐き出しているんです。

 

 

本音でなければ、精査して「言っていい言葉か」「言って悪い言葉か」を見極めて、言うか言わないかの判断をするところです。ですが、その精査する部分がないわけですから、自分の芯から溢れる言葉を垂れ流している状態です。口は滑らかに動くんです。

 

 

相手の言葉にも動じません。言葉は悪いですが、相手を見下す事ができるんです。相手よりも自分が常に有利だと思えるんです。動じないから有利だと思えるし、有利だと思えるから動じない。いい感じのループです。

 

 

思考が深いところまで掘り下げられているんです。さっきの例で言えば、交通取り締まりです。それに対して普段から「交通取り締まりはこうあるべきだ」とか「交通取り締まりは社会の中でこうすべきだ」と言うのが自分の中にあるんです。

 

 

だから、交通取り締まりに対して表面的に言った意見などに、論破される事がないんです。自分の本音とは、自分の心の奥底で気になっているトピックです。普段から意識しても意識しなくても、考えているものです。自分の意見が確立されていないわけがありません。

 

 

本音を言う事ができる人間は強いです。加えて、そんなに人間には人も集まります。陰日向があるよりかは、ない人間の方が周りも安心するのではないでしょうか。陰で悪口を言う人よりも、言わない人の方が誰でも好きになりますよね。

 

 

だから、強いに人間とは、本音を言う事ができる人間のことを言うのでしょう。更に言えば、強くなるには本音を言える様になることです。二つの方法があるでしょう。自分が変わる方法と、周りを変える方法です。

 

 

自分が変わる方法とは、本音を話せる様に自身がなることです。世の中には本音を言えない人がたくさんいます。もしかしたらそれは、日本の文化と関係があるのかもしれません。日本の武士道精神みたいな。だけど、そんな古いことは、本音を言える人の前では無力でしょう。

 

 

本音を意識する事が大切なんです。疑問を持つんです。「自分のこの感情は本音だろうか」「周りに流されているけれど、自分は本当は何をしたいんだろう」って。そうする事で、本音を言えない状態から、本音を言える状態に変わる事ができます。

 

 

もう一つは、周りを変える方法です。本音を言える環境に身を置く、と言うのが、強くある一つの仕方です。やはり本音を言いやすい環境と言いにくい環境があります。企業で言えば、本音を言いやすいのがスタートアップとかの比較的小さい企業。本音を言いにくいのが伝統的大企業、と言う事でしょう。

 

 

本音を言いやすい環境に身を置いて常に本音を意識しておけば、本音に対してアクセスがしやすい状態ができます。自由に出し入れができる様になるんです。本音を言いたい時にパッと取り出す事ができる様になるんです。そうする事で、本音にも磨きがかかるでしょう。

 

 

本音は強いです。建前に加工する手間もないし、後ろめたさがない。本音を意識する事、本音を言える環境に身を置く事、それが強くなるコツですね。

 


 

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