ねじれに対して人は興味を持つ〜本質を見通す100の講義
ねじれ、というのを意識したことはあるでしょうか。例えば雑巾を絞る時のことを想像してください。雑巾の端の方と端の方を掴んで、腕をねじる。そうして雑巾もねじれ、結果的に絞れて水がしたたり落ちます。
この何気無い「ねじれ」というものは、実は人を引き付けるんです。国会にも「なじれ」なんていう言葉があります。おそらく、普通に考えればねじれていないのだと思います。ねじれていない状態、まっすぐな状態が、人にとってはスタンダードなんでしょう。
まっすぐでない状態、端と端が逆向きになっている状態というのは、おかしな状態なんです。普通でない状態。それなのに、この本ではそれを「本質」と言っているように思えます。著者に言わせれば、本質がねじれているんです。
というのも、この本で著者が言っていることは、すべてねじれいているような事です。普通であればまっすぐだと思うものをわざわざ捻って書いて、それを本質だと言っているんです。この本のタイトルは「本質を見通す100の講義」となっています。「本質を見通す」、です。ですので、この本の中には本質に関することが書かれているのでしょう。この本に書かれていることは、本質なんです。
なのに本を開くと、すべてねじれていることが書かれているように思います。逆のことを言っている方に感じます。1の次は2なので、その通りに言えばいいのに、「3だ」と言って飛んだり、「1.5もある」なんてひねくれたことを言ったり、「実は0.5だ」と変なことを言ったりです。一見、イコールにならざるものをイコールで言っているようです。
なのに、説明を読むとその通りだと感じます。著者の見解が正しいように感じます。「●●は□□だ」とい言っています。当然、この●●と□□は、普通に考えればイコールにはならない。でも「●●は□□」だと言って、その後でイコールでつなぐことができる説明をしています。その説明が当たっているように感じます。
ということは。ということは、ですよ。普通に見えることの方が、実はねじれていた、ということです。実は初めから、●●と□□はイコールだったんです。私たちはそれをイコールでつなぐことはできないと考えていた。我々には、●●と□□はイコールに見えなかったんです。ですが、著者にはイコールに見えていたんです。で、それを著者は、本質だと言っています。
一見、本質っていうのは、間違っているように見えるものなのでしょう。奥にあって、モヤがかかったようなものなので、姿をよく見ることができないものなんでしょう。私たちは、よく、表面的な事象にとらわれてしまいます。
なぜなら、表面的なものとは、分かりやすいからです。簡単に分かってしまいます。「分かっている」というか、「見えやすい」と言った方がいんだと思います。「分かっている」というと、少なからず「考えている」ことが意味的に入ってしまいます。ですが、この場合の私が言いたい「分かっている」とは、「考えている」まで踏み込んだものが入っていないものを指しています。だから、ただ「見えている」状態です。表面的なものは、見えやすいんです。考えなくても安心してしまいます。
考えるまでもないのです。なぜなら、簡単に見えてしまって、疑いようがないからです。疑う余地もない。簡単に分かったと思えてしまう。無意識のうちに刷り込まれている状態。そんな簡単に私たちが鵜呑みにしてしまうような情報を、表面的なものは与えてくれます。
ですが、それっていうのは、あくまでも表面的なんです。本質っていうのは、別のところにあります。もっと奥の方です。表面的な茂みをかき分けて、かき分けて、それから到達できる場所に、本質っていうのはあります。簡単にアクセスできないんです。
誰もが容易にアクセスできない場所にあるものが本質です。だいたい、見える人と、見えない人がいるんですから。見える人には見える。ですけど見えない人には見えない。それが本質です。一人の中にも、見える分野と見えない分野があるのでしょう。
見えるひとがすべてを見えているとは限りません。ある特定の分野ならば本質を見ることができるけれど、他の大部分の分野では本質を見えていない、というのは往往にしてあるでしょう。
だいたい、どれが本質か、は人によって違うものです。「ラーメンは具体的か抽象的か」と質問しているようなものです。ただ「料理」と言ったり、「中華料理」という言葉に比べれば具体的ですが、「●●屋の味噌ラーメン」とか「□□店の醤油ラーメン」というよりかは抽象的です。その言葉が具体的か抽象的かは、人によって違うし、その場によってもニュアンスが違ってくるんです。
何が本質かも、具体と抽象の問いと同じです。見る人によっても違うし、見る角度によっても違うし、時間によっても違うし、モチベーションによっても違うんです。
「挨拶は基本だ」という人がいるけれど、「しなくちゃいけないのか」と考えると、そうでもないです。挨拶をしてその場が悪くなるようなら、挨拶なんてしない方がいいでしょう。ですが、挨拶もしなくては人間関係も壊れるし。人間関係なんて、どうでもいいけれど、どうでもよくないし。
そんなモヤモヤとした考えが、日によって変わるし、心の状態によっても変わるし、相手によっても変わるし、場所によっても、年代によっても違います。色々な意見があるし、色々な見方があるんです。
そんなものです。話を最初に戻すと、世の中の簡単に見えてしまうこと、分かりやすいことは、本質ではないのでしょう。世の中に通説としてあるもの、多くの人が当たり前だと思っているもの、常識だと思っているもの。そんなものは、実は常識ではないんです。ねじれているのに、ねじれていないと思って過ごしています。ねじれている事に、誰もが気づいていません。
それをこの本で、著者は指摘しているんです。「ねじれているよ」と。誰もが無意識的に「ねじれていいない」と思って、当たり前のことだと思って過ごしているもの。そんな何気無いもの。それに対して、著者は「ねじれているよ」と問いを投げかけているんです。それがこの「本質を見通す100の講義」という本なんです。
著者にしたら、ただ自分の見方を伝えているだけのことなんでしょう。自分はこう思っている、自分にはこう見えている、自分の目にはこう映っている、ということを、ただただズラズラと述べているだけ、です。ですが、それが世の中の見方とは違っているんで、価値のあるものになってしまうんです。
この著者の冷めた目線、距離を置いた考えっていうのは、全体を見る視野です。全体を見ているから、ひとまとまりとして考えることができるから、更に大きなひとまとまりの存在を意識できるんです。普段、私たちは地球を意識していません。地面の上に立っているだけです。ですが周りのものをひとまとまりにして地球と考えると、地球の外にある宇宙とか他の星々を意識できるようになります。
視野が狭いままだと、なかなか外側を意識することはできません。広い視野を持って、初めて外側や他の選択肢を意識できるようになるんです。
ですが、人に対して「あなたは視野が狭い」と指摘することは、意味がないでしょう。視野が狭いかどうかは、自分が感じるものです。人から言われるものでありません。誰かに対して「あなたは視野が狭い」と指摘する人がいたとしたら、その人こそ視野が狭いのだと思います。
「素直さ」を考えるセミナーを定期的に開催しています。スケジュール・詳細はこちらをご覧ください。
自己中が思いやりに、
生真面目が寛容に、
怒りっぽさが優しさに、
そして非行が素直に変わります。
心よりお待ちしております。
[contact-form-7 id=”10255″ title=”セミナー申込みフォーム”]
30分の無料相談を承っています。子ども、非行、犯罪、警察対応、などのキーワードで気になりましたらご利用ください。基本はウェブ会議アプリを使ってのオンラインですが、電話や面談も対応できます。
モヤモヤ状態のあなたが、イキイキとする無料相談です。次の一歩を踏み出すために、お気軽にお問い合わせください。
下記お問い合わせフォームで「相談希望」である旨をお知らせ下さい。
[contact-form-7 id=”2700″ title=”お問い合わせ”]
プレゼントの無料小冊子を更新しました。「子どもの非行を防ぐための素直な頭のつくり方」です。
非行に走る子どもは自己中が多いです。頭が固く、自分の価値観に固執しています。周りの人間の価値観や考えを受け入れられず、自分を通そうとします。自分以外の価値観や考えがあること自体が、見えていないのです。自分が正しくて、自分以外の考えは間違いだという先入観から抜けられない状態です。
子どもは周りから吸収する度合いが強いので、子どもの成長は周りの大人次第の側面があります。「周りの大人が自己中から脱し、素直な頭を持つ事で、接する子どもにも好影響を与えよう」というのが、この小冊子の狙いになります。
頭の柔軟性があり、状況や相手に応じて変化できる事。自分だけでなく、相手の考えも認める事ができる事。一つ上から全体を俯瞰できる事。そんな「素直な頭」をつくるための気づきを、この小冊子から得ていただければと思います。
[contact-form-7 id=”4057″ title=”小冊子ダウンロード”]
関連する投稿
- どら焼きを食べながら「怒りについて」を読もう
- ローマ皇帝は桜木花道なのか。BBC「ザ・ローマ」に見るレトリックと詭弁
- すべての本の共通点。本には何が書かれているか〜ドラえもんの読書感想文が書ける
- 正当な対価という自己都合な倫理〜お金は銀行に預けるな
- どうして文章を書いていると考えがはっきりするのか〜伝わる・揺さぶる!文章を書く
現在の記事: ねじれに対して人は興味を持つ〜本質を見通す100の講義