非行を防ぎ、素直な子どもへ

非行の兆しを見せた子どもを素直に成長させるのに必要なのは、「子どもを放置しないこと」です。私は、一番大切なのは家族の愛情だと思っています。そしてこの場合の愛情を具体的に言うと、「子どもを放置しないこと」なのです。

「物理的に」よりも「心理的に」放置しないことです。「常に関心を寄せる」という意味です。たとえ子育てが面倒になっても、子どもが可愛くなくなっても、経済的につらくても、子どもを見捨てず、関心を寄せることです。

というのは、非行少年たちの家族には、子どもたちに関心がない家族がとても多いのです。

深夜に公園でたむろする子どもの親は、子どもが家を出て行くときにどういう心境なのか。子どもが万引きで捕まって、店から呼び出しを受けるときに、「今は忙しいので、一人で帰してください」と言うのは、どういう心境なのか。子どもが数日間も家に帰らず友達の家を転々としているとき、家で家族はどういう心境なのか。

子どもに愛情を持ち、子どもたちの様子を気に掛け、関心を寄せていれば、子どもの勝手な行動が許されるはずはないのです。

子どもが深夜に家から出て行こうとしても、家族が放置していなければ、出て行くのを許されない空気を子どもが感じて、出て行くことなんかできないはずです。家族が放置していなければ、「子どもが万引きした」なんて電話をもらったら引き取りに行くはずですし、その前に万引きなんてしないでしょう。家族が放置していなければ、家を無断で留守にして友達の家に行くなんて初めからできないはずです。

非行の兆しを見せた子どもを素直に成長させるのに必要なのは、放置しないことなのです。