子どもの非行を防ぐには、放っておくことに対する勇気を
子どもの非行を防ぐには、子どもを放っておくことが必要である。放っておくことには抵抗があると思う。自分のコントロール下から離れてしまうからだ。自分のコントロール下から離れてしまったら、余計に非行に走る環境が整ってしまうように重るかもしれないが、そうではないのだ。「非行に走らせまい」「まっとうな人生をおくってもらいたい」「ちゃんと成長してほしい」と強く思って、コントロールしようとするからこそ、余裕がなくなって非行に走りやすい環境ができてしまうのだ。
社会にはありとあらゆる情報が溢れていて、子育てに関する情報も例外ではない。ネットを開けば、SNSを開けば、たくさんの子育て情報にアクセスできるだろう。ネット経由だけでなくても、社会には子育てに関する情報が溢れている。母親や友人やご近所から、「こうすればいい子になる」という話を聞くだろう。さらには「あの家ではこうやって◯◯大学に入学できた」という話を聞いて、自分で「こうした方が良いのではないか」という情報を作ってしまうだろう。
この、自分で「こうしなければならない」というのを作ってしまうのがダメなのだ。非行に走る家庭での共通点は、余裕の無さである。多くの母親は、自分で「こうしなければならない」というハードルをつくり、自分で子育てを難しくして余裕をなくし、自分で子どもが非行に走りやすい環境を作ってしまうのだ。
余裕がないとどうなるか。イライラである。感情的になりやすくなり、自分の主観を優先して子どもや周りの人間の感情を置き去りにしてしまうのだ。どんなに勉強にはげむことができる環境があろうと、どんなにスポーツに打ち込める環境があろうと、イライラがあれば、それだけで犯罪や非行が出てきてしまうものなのだ。
昔、といっても古代ギリシャの時代、哲学者のプラトンは、イデア論を唱えた。そのイデア論はプラトニズムといって、思いのほか、我々の身近に影響を及ぼしているものである。プラトニズムの核は、具体と抽象である。「現実は目の前にあるが、それは大事ではない。目を向けるべきは、非現実的で抽象的な方である」というものだ。母親にとっては、アレコレと具体的なものを用意したほうが安心なのだろう。「これをしなさい」「あっちをしなさい」とすべてを子どもの目の前に用意した方が、安心するのであろう。たとえイライラしても自分が安心するために、子どもに何もかも用意してしまうのである。子どもに何もかも用意してやろうという行為は、実は自分が安心するためなのだ。心に子供のためを思うのであれば、あえて子どもを放り出し、自分のコントロール下から離れるように仕組むべきなのだ。
それは、自分が大事にしているものを手放す行為になるので、なかなかできないことだと思う。勇気がいることだと思う。けれど、自分のコントロール下に置くことこそが、子どもにとってデメリットなのだ。コントロール下から子どもを放り出して、本当にその子どもが非行に走らなくなるのか、その辺りは誰にもわからない。人生がどんな風に転がるのかは、誰にも予測不可能だからだ。
もしかしたら、コントロール下から放り出して、悪い人間に捕まってしまう可能性も否定できないだろう。そこは誰にもわからない。ただわかっていることは、イライラが犯罪や非行を生み出す、ということだ。子どもを自分の近くにおいて、コントロールしようとして、何もかも用意してやることで生じる余裕の無さ。それがイライラになるけケースが多いことだ。もしも自分がイライラしているのかもしれないと思うのであれば、タスクを減らそう。やらなければならない事を減らそう。そのために、「あれもこれも」と思っている自分に気づかなくてはならない。
やろうとしていることを、一つ一つ減らしていくのだ。それは、自分を否定することに似ている。浮かんでくる「こうした方がいいんじゃないか」「これをした方がいいんじゃないか」という考えを捨てなければならないのだが、そのためには自分を否定しなければならないのだ。『「やらなければならない」と思っている自分の方が間違っているのではないか』と、前に進もうとしている自分に待ったをかけるのだ。
たとえば、学校でテストを受ける時、テスト用紙を受け取ってまずしなければならないことはなんだろうか。すぐに問題を解くことだろうか。一見、それが一番早そうに思えそうだが、そうではない。「どこから解けば早いのか」を考えることが必要なのだ。「急がば回れ」である。いい結果を出したければ、目の前にある問題に惑わされずに、全体を見て、どれから解けば時間を有効に使えるのか、考えることが必要なのだ。
子育てをしていると「あれもしなきゃ」「これもしなきゃ」と、色々とやらなければならない事が出てくるが、それはすべて虚像である。真にやらなければならない事は、実はそれらを断捨離することなのだ。やらなければならない事を減らすことなのだ。時間的に余裕を持ち、イライラを減らすには、タスクを減らさなければならないのである。
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非行に走る子どもは自己中が多いです。頭が固く、自分の価値観に固執しています。周りの人間の価値観や考えを受け入れられず、自分を通そうとします。自分以外の価値観や考えがあること自体が、見えていないのです。自分が正しくて、自分以外の考えは間違いだという先入観から抜けられない状態です。
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