◯◯の法則と起業する事の共通性とは 〜 非行や子育てについて考えるためのブックレビュー
生活でも仕事でも、「◯◯の法則」というのに助けられる事があります。あらかじめ知っていれば、よりよい選択をする上での参考になります。トラブルになった後から知っても「ああ、やっぱりこういう法則があるのか」と納得し、「自分だけじゃない」と気が楽になることがあります。
社会にはそんな◯◯の法則が多数あり、それらは大別すると「自然法則」と「経験則」の2つに分けられます。自然法則は、万有引力や熱伝導の法則のように、その関係に必然性や普遍性があり、絶対的な規則です。
それに対して「経験則」は、人間の行動や経験から生まれた規則を意味しています。この本で取り上げているのは「経験則」の方です。これはおおくの人の経験から帰納的に得られた法則で、事実の積み重ねから導き出されたものです。
人の経験をもとにしているだけに絶対的ではなく、必ず例外があります。経験則は、その例外があるからこそ味があるのです。
私は「起業」と「法則を発見する」ことは、とても似ていると思うのです。起業することは自分の考えを主張することであり、「私は◯◯だと思う」「◯◯に違いない」と自分の意見を述べなくてはなりません。
そこにはもちろん例外があるのはわかっていますが、自分の経験から導き出された共通性を主張し、そこから商品なりを展開していくのが起業です。特に形のない商品を売るコンサルタントやカウンセラーなどは、自分の経験を元に主張します。そこには科学的な根拠を示しませんし、必要もありません。
科学的根拠を得るには時間とお金が必要な場合もありますし、自分の望む結果が得られるとも限りません。それよりも、自分の経験を裏付けとした方が、素早く簡単に得られますし、しかも自分の望む通りに加工が可能です。
さらに、経験から得た主張の方が、リアリティや人間性を出しやすく、周りから共感を得られやすいのです。「科学的に◯◯と証明されている」というよりも「私は◯◯だと思う」という事の方が、周りの人を引きつけやすいのです。
「例外もあるのは知っているけれど、自分は経験上こう思う」と主張することはとても勇気がいることであり、そこに「◯◯の法則」の発見者に共感を感じるのです。
私がこの本を本で勇気づけられたのは、私のような「読者」は「◯◯の法則が絶対的に正しいことを求めない」ということです。求めるのは絶対的な正しさではなく、「その人がどう思っているか」であり、その人の視点なのです。
「ああ、こういう人はこう思っているんだな」という、その人なりの味のある視点を求めているのです。
ですから極端に言えば、「主張する事の価値」とは正しいかどうかではなく、「主張しているかどうか」なのだと思うのです。もちろん多くの人に共通していて、その主張に絶対性があればそれに越した事はないのかもしれませんが、そうでなくとも問題ないのです。
そんな◯◯の法則です。
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