子どもを学校へ行かせる方法
「コロナ禍の影響で学校へ行きたがらない子どもが増えている」という話を聞いたことがある。
家にいることが日常になって、わざわざ楽しくもない学校へ行くことが理解できないのかもしれない。
考えようによっては‥というか当然のこととして、人は僕たち大人も含めてわざわざ面白くないことをしようとは思わない。「快」と「苦」があったら当然のように「快」を選ぶのは、人として当たり前だし、人にそんな習性があることは2500年以上も前からわかっていたことだ。
「当たり前のように学校へ行く」「当然のように学校で勉強する」「普通に学校で過ごす」
そんな、大人になった身から見れば見過ごしてしまうようなことに疑問の芽をもつことは素晴らしいことだし、それを行動に移せるのは羨ましいことにも思える。
けれど、それでも「『学校に行った方がいい』という結論に行き着くのは変わらない」とも思う。
学校に行くことを当たり前だと思ってはいけないし、一般的に常識だと思われることを常識として見過ごしてはならない。が、それでも「学校に行ったほうがいい」という結論はたぶん変わらない。親であればなおさらである。
どうすれば、行く気のない子どもを学校に行かせることができるのか。
僕としては、このテーマは「育児」というよりも「ビジネス」の分野だと思う。子どものことと考えると、どうしても「育児」を軸にして情報を探しがちだ。親としては本屋に行っても「育児」とか「子育て」というテーマで「学校に行かせる方法」を探そうとするのではないか。
けれど、そこはビジネス本で長いこと扱われてきた分野だと思う。というのも、仕事では自分以外の人間をいかに動かすかが鍵だからだ。自分一人で完結する仕事なぞないし、周りとうまく付き合って成果を出すのが仕事である。そういう意味では、いかに周りの人を動かすか、どうやって自分の思い通りに動かすか、がビジネスの本懐だと言ってもいい。
と同時に、ずっと解決されていない問題でもある。考えてみてほしい。自分以外の人間を動かす確実な方法などあるだろうか。自分の思い通りに人を動かす方法など存在するだろうか。そんなことができる世界は健全だろうか。
つまりはそういうことなのだ。自分以外の人間を自分の思い通りに動かせるとしたら、そんな世界はもはや人間の世界ではなくなってしまう。映画「ターミネーター」のような、ロボットが支配する世界のようだ。自分の思い通りにはなかなかならない。自分の思いがなかなか伝わらない。だから人間的だとも言える。
上司も部下も自分の思い通りには動かない。他人はなかなか動かない。それは子育ても同じであって、子どもだろうと自分の思い通りには動かないもの。むしろ世の中に疑問を持っている、自分の意志を行動に移している、という意味では、実に興味深い。
とはいえ、そう言ってばかりもいられないので、1つの考えを提案する。これは、「スイッチ〜変われないを変える方法」という本に載っていた方法である。
この本は表紙にスーツを着た男性が見えるし、おそらくビジネス本の範疇にあるものだろう。外国の本だけあって、長いし厚い。けれど、「こんなことがありました〜」という例が豊富に載っていて、その中には学校の子どもたちの実践例も載っている。ビジネス本だけれど、子育てにも十分に通用する内容だ。
「他人をどう動かすか」というのはビジネス本の中でもずっと議論されている内容だし、そのテーマの本はたくさんある。内容は玉石混交だけれど、この本は僕が読んだ中では玉の方だと思う。
人間を感情が支配する部分(象)と、理論が支配する部分(象使い)に分け、それに環境もプラスし、いかにやる気のスイッチを押させるか、という内容である。
象は馬力があるけれど、なかなかやる気を起こさない。象使いはやるべきことを知っているけれど、非力で象には敵わない。そんな感情と理論をいかに組み合わせるかが、この本では論じられている。
僕が印象に残っているのは、「わざわざ〇〇してやる」という部分だ。これは「環境を整える」の章に載っていた方法。
環境を整えてやって、わざわざ〇〇してやるのだ。子どもと学校の例で言えば、たとえば「子どもが学校に行きやすいように学校の準備を手伝う」とか「途中まで一緒に登校する」となるだろう。
こんなことを書くと、「どうして親がそこまでやらなければならないのか」「親がやってやるのでは意味がないのではないか」といった声が聞こえてきそうだが、他人を動かすとはそういうことなのだ。
仕事でも、他人を思い通りに動かそうと思ったら、こっちがわざわざ〇〇してやらなければならない。道程を整えてやらなければならない。子どもも同じで、学校に行きやすいように道程を整えてやらなければならないのだ。
「どうして親がそこまでやらなければならないのか」「親がやってやるのでは意味がないのではないか」という意見もわからないではないけれど、それは傲慢でもある。「言われなければやらない若者が増えている」なんてことも聞くけれど、それは世の中がフラットになっていることの証拠。「自分の方が正しくて相手が間違っている」という価値観が後退し、同じ土俵に立つ対等の者という考えが浸透すれば、自然と他人(たとえ子どもでも)を動かす際のハードルは高くなる。
子どもが行きやすいように、わざわざ〇〇してやる。それが子どもを学校へ行かせる足がかりになる。
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