全てのコミュニケーションギャップは、自己中に由来する
なぜ私がコミュニケーションギャップについて話すのかというと、コミュニケーションギャップを解消することが、社会の平和になると考えているからです。警察官をやっているがゆえに、コミュニケーションギャップについて詳しいんです。
私は警察官をしていたんですが、警察官っていうと、「犯罪や少年非行や交通事故を取り扱う」っていうイメージがあると思います。これ自体は間違っていません。ですが、この「犯罪や少年非行や交通事故」っていうのは、仕事の中のごく一部でしかないんです。氷山の一角、ピラミッドの石の最上段です。
ハインリッヒの法則って、聞いたことがある人は多いと思います。職場なんかでもよく言われていますよね。「安全第一」をいう時に、よく持ち出すものです。一件の重大なトラブル・災害の裏には、29件の軽微なミス、そして300件のヒヤリ・ハットがあるとされているんです。
このハインリッヒの法則は、犯罪、トラブル、イライラの関係と似ています。すなわち、一件の犯罪の裏には、29件のトラブル・言い争いがあり、そして300件のイライラがあるのです。
で、ここからが面白ところだと思うんですが、ハインリッヒは、その一件の重大なトラブル・災害を防ぐには、300件のヒヤリ・ハットを予防することだというんです。300件のヒヤリ・ハットの情報を分析、解析することで、事故が起きるのを防げる、というんです。
犯罪も、これと同じようなものです。一件の犯罪を防ぐには、どうすればいいのか。それは、トラブル・言い争いを防ぐことであって、そのためにはイライラを予防することなんです。イライラをしないようにすることが、社会の中から犯罪をなくすことなんです。犯罪をなくすって、世界を平和にすることですよね。マーベルとかのハリウッド映画みたいで、どこか現実離れした目標ですけど、そういうことです。イライラをなくすことが、世界平和に繋がるんです。
イライラって、どんな時に現れるでしょうか。おそらく、他人とのコミュニケーションにギャップが生じた時に起きるものだと思うんです。おそらく、世界にいるのが自分一人だけだったら、コミュニケーションギャップなんて起きないですよね。何事も自分一人で完結しますし、初めから「自分一人しかいない」という前提なので。でも、そこに人がいると、イライラが起きてしまうんです。その辺は、「嫌われる勇気」にも書かれているところです。
警察官をやっていると交通事故ってよく扱うんですけど、交通事故に付随するものが、言い争いです。交通事故の現場に行くと、よく当事者どうしが言い争いをしているんです。で、この交通事故の言い争いが、世の中のコミュニケーションを如実に表しているものだと思うんです。世の中のコミュニケーションギャップの全てが、この交通事故の言い争いに含まれていると思います。この言い争いを聞いていると、「これこそが人と人とのコミュニケーションだよな」と、達観した気分になるんです。
・車っていう視界が限られた中でしか自己を見ていないのに、自分の視界から見えた状況が自己の全てだと思っている。(見えている一部を全体だと思っている)
・片方が車や運転に詳しくて、片方が運転に詳しくない場合、フィルターの細かさが違うので、話し合いにならない。(専門家と素人の意見は、フィルターの細かさが違うので噛み合わない)
・片方は何ヶ月前の事故でも昨日のことのように覚えているのに、もう片方にとっては大したことではないと思っている。(関心の高さが違う)
・お互いに、自己の一連の流れの中の、別々の部分について話していて、別々の部分について話している。(問題の提起か解決か、の男と女の問題のように、時間的にも別々の部分について話している)
・事故の全体を示さずに、いつまで続くから分からない説明を自分視点でし始める。(はじめに全体を示した方が、聞いている方はイライラしない)
・自己の事実を聞いているのに、「いかに自分が悪くないか」ばかりをアピールして話している。(聞きたいことと話したいことのズレ)
・いくら謝っても相手は許してくれない。もっと謝ってほしいと感じてしまう。(お金をいくらでも欲しがるように、無限の広がりに気づかない)
などなど。こんなにもコミュニケーションがズレているのに、このズレにお互いに気づいていないことが、一番の問題なのです。これらの全てに当てはまるのは、「自己中」という言葉でしょう。だから、コミュニケーションギャップを解消するには、まずは「間違っているのは自分かもしれない」という自分が自己中であることに対する認識なのです。これが第一歩であり、大きなウェートを占める部分です。車を動かすのも、一番最初に大きな力が必要で、動いてさえしまえば、あとは惰性で動き続けるものです。一番最初が一番難しいのです。気付けるかどうかが一番の問題で、気づいてさえしまえば、あとは解決に向けて動き出すものなのです。
自分が自己中だという認識が、コミュニケーションギャップをなくし、それがイライラをなくし、それが言い争い・トラブルをなくし、それが犯罪をなくし、それが世界を平和にするのです。
「素直さ」を考えるセミナーを定期的に開催しています。スケジュール・詳細はこちらをご覧ください。
自己中が思いやりに、
生真面目が寛容に、
怒りっぽさが優しさに、
そして非行が素直に変わります。
心よりお待ちしております。
[contact-form-7 id=”10255″ title=”セミナー申込みフォーム”]
30分の無料相談を承っています。子ども、非行、犯罪、警察対応、などのキーワードで気になりましたらご利用ください。基本はウェブ会議アプリを使ってのオンラインですが、電話や面談も対応できます。
モヤモヤ状態のあなたが、イキイキとする無料相談です。次の一歩を踏み出すために、お気軽にお問い合わせください。
下記お問い合わせフォームで「相談希望」である旨をお知らせ下さい。
[contact-form-7 id=”2700″ title=”お問い合わせ”]
プレゼントの無料小冊子を更新しました。「子どもの非行を防ぐための素直な頭のつくり方」です。
非行に走る子どもは自己中が多いです。頭が固く、自分の価値観に固執しています。周りの人間の価値観や考えを受け入れられず、自分を通そうとします。自分以外の価値観や考えがあること自体が、見えていないのです。自分が正しくて、自分以外の考えは間違いだという先入観から抜けられない状態です。
子どもは周りから吸収する度合いが強いので、子どもの成長は周りの大人次第の側面があります。「周りの大人が自己中から脱し、素直な頭を持つ事で、接する子どもにも好影響を与えよう」というのが、この小冊子の狙いになります。
頭の柔軟性があり、状況や相手に応じて変化できる事。自分だけでなく、相手の考えも認める事ができる事。一つ上から全体を俯瞰できる事。そんな「素直な頭」をつくるための気づきを、この小冊子から得ていただければと思います。
[contact-form-7 id=”4057″ title=”小冊子ダウンロード”]
関連する投稿
- 子育てとは「シュレディンガーの猫」のようなものである
- マイクラを活かすのは文章表現だ。自分の好きを人生に繋げる接着剤
- 「テニスの王子様」越前南次郎。優しさとは距離をとることだ。
- 育児を楽にするには距離を置くことであって、そのためには書くことだ
- 子どもに与えたい、多様化の時代に必要な能力とは
現在の記事: 全てのコミュニケーションギャップは、自己中に由来する