優しさとは、ただのゲームだ(その3)

2019.08.11 (日)

で、ここでケンカする3年生と1年生。当然、間柄は悪くなる。が、それでも次の日には仲良くなる時がある。交流試合のハンドボールでは蹴ったり叩いたり、そんな試合で。試合後は「あいつ誰だよ」や「名前、なんてやつだ、あいつは」などと言って夜襲でもかけるような勢いなのだが、それでもいつの間にか仲良くなっている時がある。それは、共通点が見つかった時だ。「同じ中学の出身」とか「同じ先輩を知っている」とか「部活が同じ」だったり。たとえお互いがいがみ合っていたとして、仲良くなるには最悪の雰囲気の中でも、共通点が見つかれば、途端に仲良くなれるものなのだ。共通点が見つかれば、なぜか交流試合での険悪な雰囲気が水に流れてしまう。不思議だ。

 

 

 

イライラせずに優しくなるには、相手と仲良くなればいいし、仲良くなるには、自分と相手との間に共通点を見つけることなのだ。共通点とは、はっきりとしたものでなくてもいい。むしろはっきりとした共通点など見つからない時の方が多い。高校生のように、「出身の中学が同じ」とか「部活が同じ」とか「知り合いの先輩がいる」などというものは、実社会では滅多にない。はっきりとしたものでなくとも、なんとなく「自分と似ているな」とか「自分と同じ感じだな」と思えれば、それでいいのだ。

 

 

仕事ができない部下に対しても、「自分も若手の時はこんなだったな」と思えれば、厳しい態度を改めるのではないだろうか。思い通りに動いてくれない子どもに対しても、「自分も子どもの時はこんなだったな」と思えれば、イライラをぶつけようという気も起きなくなるのではないだろうか。自分の仲間に対しては攻撃できない。それはおそらく、集団で身を守る動物の本能に近いものがあるのではないだろうか。自分と同じ種に対しては寛容的になるものだ。肉食であるライオンだって、自分と同じ種ではなく、ヌーや水牛やインパラを狙うだろう。仲良くなるには、「なんとなく同じだな」と思うことであり、自分と相手を重ねて見られるようになることなのだ。

 

 

おそらくこれは、「相手の身になって考える」とか「自分ごととして考える」とか「相手目線になる」ということであろう。そこで必要なのは、何が共通点かを探す探査能力ではない。しっかりとした本当の意味での共通点度、滅多にない。ではどうするべきか。想像で共通点を作るのだ。

 

 

方法は二つある。ぼやかす方法と、骨組みにしてしまう方法。ぼやかすとは、抽象化することである。範囲を広げるのだ。例えば、「ブルドック→犬→哺乳類→生命体」という風に。これによって、ヒットする範囲が広がるだろう。骨組みにしてしまうとは、正確にはこれも抽象化であるが、幹だけを残すのだ。例えばブルドックを線でだけで描いてみたり。そうすると、線で描けるものはブルドックと同じものに見えるだろう。

 

 

相手と自分との間に共通点を見つけるのである。共通点が見つかれば、それは磁石のように引かれ合い、相手と自分とを重ね合わせてくれる。「アイツもオレと同じだな」と思えれば、相手の姿の向こう側に自分を見ることができよう。相手の姿に、自分を重ね合わせて考えることができるだろう。事実かどうかは分からないが、目に見える相手の姿の向こう、目に見えない部分、相手の目には見えない背景にまで、想像が膨らむことだろう。

 

 

全ては想像することなのだ。「相手はこういう人間だ。その場合、自分に置き換えると何になるだろう」そんな風に、自分と相手の共通点を探す、ただのパズルなのだ。だから誰でもできる。気合いを入れてテレビゲームをする人がいるあろうか。面白いからといって、「よし、今日もやるぞ!」と根性論でドラクエをやる人がいるだろうか。そうではなく、おそらく惰性でやるものだろう。なんとなく、「気づいたらボスを倒せるまでレベル上げをしていた」くらいの勢いだろう。

 

 

「共通点を探す」という穴埋めのゲームだから、誰でもできるものなのだ。共通点が見つかれば、相手と仲良くなれるし、そうすればイライラすることもなくなり、優しく寛容的に接することができるようになるのではないか。

 

 

次回は、このゲームをさらに楽にする、攻略本的な方法を書ければと思う。

 

 

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