優しさとは、ただのゲームだ(その1)
優しさとは、ただのゲームだ。だから、誰でも身につけられる。
まず、私の考える優しさとは、イライラの反対側に位置する。人に対して厳しく接したり、怒ったり、叱ったり。そんなものが優しさの対極に位置するものだ。こんな人、近くにいたら嫌じゃないだろうか。すぐに怒ったり、いつも人に対して厳しい態度をとる人だったり、よく人を叱っていたり。そのような人はよく近くにいるものだが、一緒にいる人は窮屈な思いをしているのではないだろうか。
それに、こんな負の感情の向こう側に、犯罪や非行は存在するものだと思う。「氷山の一角」という言葉がある。海に浮かんでいる氷山を思い浮かべてほしい。海面上に表れている氷山でもとてつもない大きさだが、実は氷山は、海面上に表れているのはごくわずかで、海中に隠れている方が割合が大きい。海面上の表れている氷山は、海中に隠れている氷山の8割でしかないらしい。このことから、ごくわずかな割合しか公になっていないことを「氷山の一角」という。犯罪や非行も氷山の一角で、イライラに代表される負の感情の中の、一定ラインを超えたごく一部でしかない。
あるいは、犯罪や非行はハインリッヒの法則にも例えられる。職場の安全をうたう際によく用いられるハインリッヒの法則。一件の重大なトラブルや災害の裏には、29件の軽微なミス、そして300件のヒヤリ・ハットがあるという。イメージとしては三角形だ。三角形の頂点にあるのが、重大なトラブルや災害。三角形の中腹にあるのが、軽微なミス。三角形の底辺に広がるのが、ヒヤリ・ハット。一件の犯罪の裏には、29件のトラブル、そして300件のイライラがあるのだろう。
警察官は犯罪や非行や交通違反を扱う職業だが、実は、実際の犯罪や非行や交通違反よりも、トラブルを扱っていることの方が多い。トラブルとは、犯罪や非行や交通違反にならないまでも、あと一歩でそうなりかねない。というものだ。言い争いだったり、子どもの生意気な行動だったり、無理な運転だったり。そして警察官は、常にイライラした人たちに囲まれて生活をしている。
犯罪を扱えば、「なんで俺が警察署に連れて行かれるんだよ!」などと怒る人間を扱うし。非行を扱えば、「俺は悪くねーだろ!」などと警察に対して当たるし。交通違反を扱えば、「今のはしょうがねーだろ。俺の頬かにも違反なんてたくさんいるだろ。なんで俺ばっかり切符切るんだ!」などとイライラされるし。
ハインリッヒの法則がピッタリと当てはまる。重大災害防止のためには、事故や災害の発生が予想されたヒヤリ・ハットの段階で対処していくことが必要なように、犯罪や非行や交通違反を防ぐには、トラブルの段階、あるいはイライラの段階で対処することが必要なのだ。
だから、世の中に優しさや寛容さを広げることが、言い争いやトラブルを防ぐことに繋がるし、ひいては犯罪や非行や交通違反を防ぐことに繋がるのだ。
では、どうやったら優しさを社会に広げることができるのか。どうやったら寛容的な社会になるのか。それはただのゲームなのだ。パズルや、テトリスや、ナンプレや、そんなものでしかない。優しさと聞くと、お釈迦様のような、「崇高な慈悲の心が必要なのでは……」と思われるかもしれないが、そうではない。やる気のない、ダラダラした、気の抜けた心でも、十分に優しさは実践可能だ。
逆に、体育会系さながらに、気合を入れて「優しくなるぞ!」という精神論でもない。今、メディアではしきりに「高校球児は、肩を壊す危険を犯してまで甲子園を目指すべきか」などという話を論じている。日本球界、さらにはアメリカ球界が注目する高校生投手が、地方の大会の決勝戦で投げることなく、試合に負けてしまった。その投手は、「投げれば肩を壊すかもしれない」という監督の判断で、決勝戦では投げなかったのだ。「野球に限らずスポーツとは常にリスクが伴うものだ」「その投手は、自ら『投げさせてください』と監督に直訴おするべきだった」「『甲子園に行く』という目標のために野球をしていたのに故障が怖くて投げさせないとは、監督は何を考えているのだ」などという意見が飛び交っている。肩の故障くらい「精神論で乗り切ろ!」というのだ。優しさとは、こんな風に精神論で語るべきものでもない。気合を入れて、大声をあげて実践するべきものでももちろんない。
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