子どもの非行を防ぐには、2つの世界を重ね合わせるのが要
昔、ジャンパーという映画がありました。瞬間的に空間を移動する特殊能力を得た青年の物語です。2つの世界をジャンプする者、という意味でジャンパーという名前の映画なのですが、子どもの非行防止を考えると、この映画を思い出します。というのも、2つの世界を繋ぐことが、子どもの非行防止には必要だからです。
映画では、川で溺れた青年が、「川から抜け出したい」と強く願っていたら、次の瞬間には図書館の中にいて、そこでジャンプという能力に目覚めるんです。ジャンプに目覚めてからは、青年は性格も内向的なものから外向きのものに変わり、ジャンプの能力をフルに使って生活しているのです。が、実はジャンパーには敵がいるんです。映画の中の話ですが、ジャンプの能力を持つものは、稀ですが、時々現れるらしいのです。でもそんなジャンプなんて、人間の能力を超えていますよね。もはや神様が使う能力といえます。「そんな神のみが使うことを許された空間移動を、人間が使うなんて許せない。そんな人間は抹殺してしまおう」という集団・パラディンがいるんです。そんなパラディンとの戦いが、このジャンパーという映画の魅力になります。
子どもの非行防止に、2つの世界を繋ぐことがどうして必要なのか。それは、自分の世界と相手の世界を繋ぐのが、相手の身になって考えることであり、優しさだからです。自分のことですから、自分の世界を十分に知っていると思います。が、問題は相手の世界、相手の頭の中です。相手の頭の中を想像しようとしても、なかなかうまくいきません。そこで必要なのが、アナロジーという考えです。自分の世界をベースにして、相手の世界を繋げます。自分と相手、2つの世界をジャンプするのに使うのが、アナロジーなのです。
どうやって相手の頭の中を想像するのか。何も難しいことはありません。アナロジーは、類推や連想と呼ばれるものだからです。例えば、急に「コーヒー→◯◯」と言われても、◯◯には何が入るのかなんて分かりませんよね。ですが、「牛乳→白色」「抹茶→緑色」という前提があったらどうでしょう。「コーヒー→◯◯」の◯◯に入るのは「茶色」であることが連想されます。「牛乳→白色」「抹茶→緑色」ときたら、「コーヒー→茶色」でしょう。こんな連想が、アナロジーの効果となります。
未知の世界を想像しようとしても、ゼロから想像することは難しいものです。ですが、自分の経験や自分の価値観や自分の興味、などをベースにすれば、相手の頭の中も想像することが可能になります。これが連想です。
この時に重要なのが、共通点です。共通点があると、自分の世界と相手の世界が、磁石で引っ張られるようにつながるのです。共通点を皮切りにして、自分の世界と相手の世界を重ね合わせることができるようになります。
私はずっと警察官をしていて、ケンカや言い争いの仲裁をする仕事をしてきました。そこでよく言われる言葉が、「分からない」とか「理解できない」というものだったのです。「お前の言っていることが分からない」とか「アンタの言うことが理解できない」とか。それっていうのは、自分と相手を別物として捉えていることになります。自分と相手を、お互いに理解できない別の種類の生き物として捉えているがゆえに出てくる言葉だと思うんです。
けれどそんな時に、「相手も自分と似ているところがあるな」などと思うことができたらどうでしょう。例えば、相手の境遇と自分の境遇を重ね合わせて「相手も自分と同じように苦労しているな」と思えたり。「相手にも自分と同じように家族がいるんだ」と思えたり。そうすれば、相手に対する「理解できない」が「なんとなく分かる」に変わり、さらにはイライラがなくなり、相手に対して共感する気持ちが出てくると思うんです。
ケンカ、言い争い、イライラ。そんな負の感情を、共感、思いやり、優しさ、などの正の感情に変えるのは、アナロジーであり、共通点を見つけることです。共通点を見つければ、イライラが優しさに変わり、理解できないと思われていた相手に対して、相手の身になって考えることができるようになるのです。
子どもの非行や犯罪は、負の感情の先にあります。氷山と同じで、氷山の海面下に隠れているのが負の感情、海面上に現れて具体的になっているのが非行や犯罪です。
ハインリッヒの法則が、重大な事故や災害を防ぐにために300のヒヤリハットをなくすものであるように、子どもの非行や犯罪を防ぐには、300のイライラをなくす必要があります。そのためのアナロジーであり、そのための共通点なのです。
子どもの非行を防ぐには、自分と相手という異なる世界を繋ぐ方法を身につける必要があります。映画ジャンパーでは、その能力はジャンプと言われていましたが、人間関係においては、アナロジーという考え方で、2つの世界を重ね合わせることができます。子どもの非行防止には、2つの世界を重ね合わせることが要になります。
「素直さ」を考えるセミナーを定期的に開催しています。スケジュール・詳細はこちらをご覧ください。
自己中が思いやりに、
生真面目が寛容に、
怒りっぽさが優しさに、
そして非行が素直に変わります。
心よりお待ちしております。
[contact-form-7 id=”10255″ title=”セミナー申込みフォーム”]
30分の無料相談を承っています。子ども、非行、犯罪、警察対応、などのキーワードで気になりましたらご利用ください。基本はウェブ会議アプリを使ってのオンラインですが、電話や面談も対応できます。
モヤモヤ状態のあなたが、イキイキとする無料相談です。次の一歩を踏み出すために、お気軽にお問い合わせください。
下記お問い合わせフォームで「相談希望」である旨をお知らせ下さい。
[contact-form-7 id=”2700″ title=”お問い合わせ”]
プレゼントの無料小冊子を更新しました。「子どもの非行を防ぐための素直な頭のつくり方」です。
非行に走る子どもは自己中が多いです。頭が固く、自分の価値観に固執しています。周りの人間の価値観や考えを受け入れられず、自分を通そうとします。自分以外の価値観や考えがあること自体が、見えていないのです。自分が正しくて、自分以外の考えは間違いだという先入観から抜けられない状態です。
子どもは周りから吸収する度合いが強いので、子どもの成長は周りの大人次第の側面があります。「周りの大人が自己中から脱し、素直な頭を持つ事で、接する子どもにも好影響を与えよう」というのが、この小冊子の狙いになります。
頭の柔軟性があり、状況や相手に応じて変化できる事。自分だけでなく、相手の考えも認める事ができる事。一つ上から全体を俯瞰できる事。そんな「素直な頭」をつくるための気づきを、この小冊子から得ていただければと思います。
[contact-form-7 id=”4057″ title=”小冊子ダウンロード”]
関連する投稿
- 犯罪を引き起こす要因、犯罪を減らす方法
- 犯罪をなくすためにできること。犯罪を3つに分類して対処する
- 金、地位、名誉をバカにする態度。「高踏的」を紹介する
- 非行グループから息子を離したいのですが、良い方法ありませんか?
- たとえば、子どもに無理にご飯をたべさせることの功罪
現在の記事: 子どもの非行を防ぐには、2つの世界を重ね合わせるのが要