「正義って何?」と自分に問いたくなる〜正義の授業
面白かったですね。おすすめです。
「正義とは何か」
「正しいとはどういうことか」
「善とはどのように判断すればいいのか」
そんなことがわかる内容になっています。小説としても面白いです。ストーリーがあってそれによってより深く考えてしまうんでしょうね。登場人物に共感してしまうから、ダラダラと人ごとのように説明されるよりも感情移入されて、自分ごととして「自分だったらどうしようか」と考えるのだと思います。
究極的には、「何が正義か」というのは、日々の生活に直結しています。「人生は選択の連続」なんて言いますが、その選択ひとつひとつに正義の判断が含まれているのです。人間は、自分がいいことだと思った選択しかしません。悪いことをしようとしている人でも、犯罪を犯そうとしている人でも、これからドロボーをしようとしている人でも、その行為が自分にとっては善だと考えているんです。たとえ社会にとっては悪でも、「今の自分には必要」などと善の判断をするから、ドロボーなりの行為を選択しているのです。
何気ない選択もです。「今日の夜はラーメンを食べよう」という判断も、ラーメンを食べることがうどんを食べるよりも良いことだ、少なくとも自分にとっては善だと考えるから「夜にラーメンを食べる」という判断に至るわけです。家に帰ろうとして山手線を利用している時も、なぜ歩きではなく、バスではなく、京浜東北線ではなく、山手線なのか。その判断は、自分にとってはそれが善である、という判断によるものです。
ですので、少し仰々しいかもしれませんが、人生で判断を迫られる連続する決断、それらは全て「何が正しいのか」を問われていることでもあります。我々の生活に、「何が正義か」「善いこととは何か」「幸せになるにはどうすればいいのか」という抽象的な選択が組み込まれていることになります。
この「何が正義か」に代表されるような抽象的な問いは、我々の生活に関係ないようで、実はとても関係があるものなのです。突き詰めていけば、人生の問いが全て「何が正義か」に集約されるわけなので、「何が正義か」を考えることは、具体的で短期的な問い全てに当てはまります。「どの道を通って帰ろうか」も「明日は何時に起きようか」も「牛乳とコーヒー、どっちを買おうか」も、全て本質は「何が正義か」の問いなのです。
この本を読んで感じたのですが、私は本書でいう「強い自由主義者」になります。最終的に、その人がどう行動するかに対して、他の人間は口出しすることができないと考えています。たとえその人の道の先に崖があろうと。たとえその人が自殺をしようとしていようと。たとえその人が病気になるような行為をしていようと。説得はするかもしれませんが、説得が聞き入れられない場合には、それ以上の説得は余計な干渉だと考えています。
というのも、メリットとデメリットは常に混在していて、一見デメリットに見えても他の視点で見ればメリットになることがほとんど、というかそんなケースが全てだと考えているからです。私は、我々人間の判断は、絶対的な意味での善を判断することはできないと考えています。世の中に絶対的な善があるとしても、どれが絶対的な善であるのか、我々人間に判断はつかないのです。
だから、他人に対して余計な干渉はすべきではないのです。自分の判断が絶対的な善だという保証がないのですから。その時はデメリットに思えても、視点をずらせばすぐに反転してメリットに見えることが多々あると考えています。そのくらい社会は不確かさの塊だと思うのです。
おそらく、絶対的な善はあるのでしょう。人間の行動を一つ一つ判断していけば、膨大な選択肢の向こう側を予想して、何が善かをあらかじめ判断することができるのだと思います。ただ我々人間に、その判断ができないだけです。
だから何が正義かは、誰にも判断がつかないのです。当事者にも、当事者以外にも。だから我々にできることは、自分の行動に自信を持って突き進むことだけなのではないでしょうか。だって、誰にも「何が本当の正義か」はわからないのですから。親にも、先生にも、上司にも、どの選択肢があっているのかはわかりません。一見愚かな選択が、地球を救うことだってあるでしょう。突き進むしかないのです。自信を持って、胸を張って。自信を持って胸を張れるように、膨大なインプット、自分なりの咀嚼、アプトプットを繰り返すしかないのでしょう。その中で何が正義か、の判断は深いところまで入り込めるようになるでしょう。
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