非行の専門家が教える、子どもが非行に走るのを防ぐ簡単な方法とは
一人の時間を作っているだろうか。子育てで忙しいと、どうしても一人の時間を作るのが難しくなる。一人の時間を作ることに罪悪感も感じる。子どもを預けておいていいのか。一刻も早く、子どもの元に駆けつけるべきではないのか。子どもとの時間をつくるべきではないのか。そんなプレッシャーを感じてはいないだろうか。
それが盲点なのだ。そんなプレッシャーを真に受けてしまうことに、問題があるのだ。子どもとの時間を作るべき? そんなのは関係ない。非行に走る子どもを見てきたが、非行に走る子どもの親が、子どもとの時間を稀有にしていたわけではない。むしろ「頑張って子どもと向き合っている」という人が多いように感じる。私が思うに、無理に子どもと向き合っているのではないか。気持ちが乗らないのに、子どもと向き合っているのではないか。イライラしながら子どもと向き合っているのではないか。
無理に作った時間の中で子どもと一緒に過ごしたところで、イライラするだけである。気持ちが乗らない中で子どもと向き合おうとしたところで、自分の価値観を押し付けるだけである。必要なのは、「余裕」なのだ。持つべきものは「余裕」なのだ。まず作るべきは「余裕」なのだ。余裕を持ち、気持ちが落ち着いたところで、子どもと一緒に過ごすべきなのだ。余裕がないのなら、無理に子どもと一緒にいたところで、効果は逆になるだけだろう。イライラが子どもにも移って、むしろ非行に近くなるのではないか。
作るべきは子どもとの時間ではなく、余裕なのだ。ではどうすれば余裕はできるのか。おすすめは、一人の時間を作ることだ。忙しい日々の間に、インターバルを置くのだ。張りに張っている糸に、緩む時間を与えてやるのだ。
一人の時間を持つことで、自分と向き合うことができる。一人の時間がなく、友人とワイワイ、あるいは家族と一緒に過ごしていたのでは、日頃の自分を客観的に眺める暇もないだろう。具が入っている鍋のようなもので、日々の忙しい中で一人の時間をとれていないのは、鍋がかき混ぜられているようなものだ。具が水中に漂っており、これではどのくらいの具が鍋に履いているのか、客観的に見極めることができない。それならどうするか。具が鍋の底に沈むまで、しばし待つのである。インターバルを与えるのだ。そうすることで、具は鍋のそこにしずみ、正確に鍋の様子をうかがい知ることができる様になる。
一人の時間を使って何をするのかは人それぞれであるが、それというのは、一人の時間を持つことで見えてくるものだと思う。一人でぼーっと椅子に座っていると、色々と見えてくるものがあるだろう。それは、家族と一緒にいるだけでは見えてこなかったものだ。一人でいると「あれもしたい」「これもしたい」というのが見えてくると思うが、それは家族と一緒でなければできないような、誰かに頼った願望ではなく、自分ひとりでも達成できるような、自立した願望であるはずだ。
例えば、家族でいると、「家族で◯◯に行きたい」とか、家族そろっての願望が思い浮かぶだろうが、一人でいると「もし一人だけだったなら◯◯したい」というように、仮定でも一人でできるような願望が浮かぶはずだ。それこそが大事なのだ。家族を頼らない。家族を縛ることもない。一人でできる、自立した願望。それを考えるのが一人の時間なのであって、それにまさる幸せはないと考えている。
よく聞くことで、「子どもと向き合う時間が大事」とは言われるが、無理に子どもと向き合っている母親が多いように思える。確かに子どもと向き合う時間を否定はしないが、普段の無理しない程度に向き合えば、それで十分に思える。イライラするまで子どもと一緒にいて、それでイライラをぶつけていては、周りが見えていないことと同じではないか。子どもが恋しくなるまで、子どもと一緒にいることをまたしたくなるまで、それまで一人の時間を捻出しよう。「時間ができたら一人になろう」ではなく、「まずは一人になろう」である。そのためには、子どもの預け先、セーフティネットを活用するのだ。行政としては、いかに親が子どもを預けられるか、という環境を考えるべきであろう。
そのためには、まずは意識の改革である。子どもを預けやすい環境をつくるのだ。「お母さんは子どもと向かい合うべき」という前提を壊さなくてはならない。「休みなのに、暇なのに子どもを預けて……」という偏見に立ち向かうべきだ。その休みが、その暇が重要なのだ。子どもから離れて作った一人で考える時間は、子どもの将来にとっても必ずや有益なものになるだろう。一人の時間で練られた人生に対する考えは、子どもの将来、子どもの成長、子どもの進路、そんなことを考える際の材料になるのだと思う。
子どもの非行を防ぐには、余裕が必要なのだ。非行や犯罪は、余裕のないところから生まれる。余裕は、一人の時間を過ごすことでつくることができる。まずは、一人の時間を作ることなのだ。
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ようやくできました。「妄想スナイパー理論」です。タイトルとしては、「インパクトがある方が人目につくかな」と思って、こんなタイトルにしていますが、中身は「犯罪と非行をなくして、思いやりを育む方法」になります。
思いやりってけっこう、掴みどころのないものだと思うんですよ。昔から「思いやりを持ちなさい」とか「思いやりが大事です」なんて周りから言われることは多いと思いますが、「それって何なの?」と聞かれた場合や、「それってどういうこと?」と深く知ろうとした場合、それと「どうやって持つことができるの?」となった場合に、うまく答えられないと思うんです。
そこで、一つの具体案として、「スナイパーのようなものだと」というのを示したいと思います。スナイパーとは、遠くから銃で相手を狙う、狙撃です。思いやりとは、スナイパーのようなものなのです。もちろん、思いやりっていうのは頭の中のことなので、実際に銃なり狙撃なりはしませんが、遠くから狙うすスナイパーと思いやりっていうのは、似ています。
スナイパーと思いやりはどうして似ているのか。スナイパーと思いやりの間の共通点とは何なのか。スナイパーと思いやが似ているのだとしたら、思いやりを育むにはどうすればいいのか。そんなことを、この小冊子には載せてみました。35,222文字です。目次はこちらで公開しています。
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